2026.09.25

車いすバスケ日本代表の鳥海連志さんが、INIシュウ・フェンファンさんに明かした本音。連覇に向けた覚悟とは?【アジアパラ特別対談・後編】

10月18日から24日まで愛知県で開催されるアジアパラ競技大会に向けて、車いすバスケットボール男子日本代表エースの鳥海連志さんと、大会の公式アンバサダーを務めるINIのシュウ・フェンファンさんの対談が実現した。後編では、海外で挑戦することの意味やアジアパラ連覇への覚悟が語られる。

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10月18日から24日まで愛知県で開催されるアジアパラ競技大会に向けて、車いすバスケットボール男子日本代表エースの鳥海連志さんと、大会の公式アンバサダーを務めるINIのシュウ・フェンファンさんの対談が実現した。後編では、海外で挑戦することの意味やアジアパラ連覇への覚悟が語られる。

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INDEX

変化を恐れず、海外で挑戦する

INIのシュウ・フェンファンさん

シュウ 鳥海さんは2025年秋から、スペインリーグの強豪であるBSRアミアブ・アルバセテに入団されました。ヨーロッパには世界のトッププレーヤーが集まる名門チームがいくつもありますが、同チームへの加入の決め手は何だったのでしょうか。

鳥海 10代のころから親交がある、イギリス代表のフィル・プラットという選手がアミアブに所属していて、彼に学びたいと思ったからです。フィルは高確率でシュートを決められるのはもちろん、試合をコントロールするゲームメイク力が非常に高い選手です。自分だけのバスケットではなく、チーム全体がうまく噛み合うようにオフェンスを組み立てていくのが本当に上手で、二歩三歩先をいくライバルとしてリスペクトしています。

シュウ スペインでのファーストシーズンを終えて、いかがでしたか?

鳥海 相手との間合いの取り方やフェイクのかけ方、タイミングなど、ゲームメイクするうえでしっかりとポイントをおさえることを学びました。日本に帰ってきた今、まさにそれを実践しているところです。課題は常にありながらも、少しずつ身になっている手応えがあります。

シュウ 日本とスペインでは、どんな違いを感じましたか?

鳥海 一番は練習環境です。日本には車いすバスケのプロリーグがなく、チームごとにアリーナを持っているわけでもないので、練習場所も時間も日によってバラバラです。一方スペインでは所属チームの拠点があり、毎日決まった時間に同じ場所で練習できます。アルバセテはのどかな街で、地元の人たちもフレンドリーだったので、日々リラックスしながら競技に集中することができました。ただし言葉の壁があるので、チームメイトやコーチと意思疎通を図るのには苦労しました。僕が伝えたい内容をくみ取ってもらえるようになるまでに、かなり時間がかかりましたね。フェンファンさんはマルチリンガルですが、来日したばかりのころは大変ではなかったですか?

フェンファン 日本語が話せるようになったのは、来日して1年くらい経ってからだったのですが、僕の場合は話せるようになってからの方が逆に辛かったです。というのも、母国語をそのまま日本語に訳すと、直接的な表現になってしまうんです。そのために「言い方がストレートですね」と言われることがあって、初めはけっこう悩みました。今はもう慣れましたけれど、自分が思っていることを言えなくなった時期もあったほどです。なので鳥海さんが感じていらっしゃるコミュニケーションの難しさはよくわかります。

鳥海 今のお話を聞きながら、スペインでも言い回しや考え方の違いを感じることが多かったなと思い出しました。バスケットに関する大事な話は積極的に伝えようと頑張るのですが、気軽な雑談ができないことへのもどかしさを感じていました。

アジアパラの見どころは、障害に応じたプレースタイル

車いすバスケ日本代表の鳥海連志さんが、Iの画像_2

2026年9月に開催された世界選手権の予選リーグで、ポーランドの選手をディフェンスするローポインターの宮本涼平さん(写真右)と鳥海さん(写真左)(Photo by Justin Tang/The Canadian Press via AP)

シュウ 10月から始まるアジアパラ競技大会は、国内初の開催です。鳥海さんのご出身は長崎ですが、愛知には縁がありますか?

鳥海 U25日本選手権が毎年愛知で開催されているのですが、中学3年生のときに九州ジュニア選抜の一員として出場し、MVPをいただきました。そこから日本代表のキャンプに呼ばれるようになったので、愛知は代表に上がるきっかけになった地でもあります。

シュウ それじゃあ、縁起のいい場所なんですね。今回は日本のファンがたくさん見に来られると思うのですが、車いすバスケを観戦する際の見どころを教えていただけますか?

鳥海 選手それぞれに、障害に応じたプレースタイルがあります。なかでもローポインターという障害が重い選手は、味方がよりよいシチュエーションでシュートを打てるように40分間走り続ける、いわば縁の下の力持ちのような存在です。彼らの役割はテレビのハイライトでは取り上げられにくいのですが、そういった部分こそが車いすバスケットボールならではの面白さだと思っています。彼らのアシストによってシュートが決まったとき、お互いに喜び合える関係性に僕たちは魅力を感じています。会場に見に来てくださる方には、ぜひ彼らの貢献にも注目していただきたいです。

東京パラ以来のプレッシャーを、いい緊張感に

車いすバスケ男子日本代表の鳥海連志さん

シュウ 前回のアジアパラでは見事優勝されました。目指すは連覇ですね。

鳥海 はい。これまでの国際大会を見られなかった日本の方にも見てもらえる機会なので、気合いが入っています。パリを逃して以降、海外で挑戦したり国内で強化したり、それぞれが取り組んできたことをしっかり表現し、アジアでは僕らが1位だということを証明したいです。

シュウ それぞれの身体的特徴を最大限に活かしながらチームとしての力を発揮するというのは、本当に見ていて面白いし、励まされます。ちなみに前回大会の開催地である杭州は、僕の出身地に近い都市でもあります。中国出身者として、前回のバイブスを引き継ぎながら、国境を超えてみんなで一緒にパラスポーツを盛り上げていきたいです。

車いすバスケ日本代表の鳥海連志さんが、Iの画像_4

2026年9月に開催された世界選手権の予選リーグでポーランド戦に勝利した後、チームメイトの髙柗義伸さんと健闘を称える鳥海さん(Photo by Justin Tang/The Canadian Press via AP)

鳥海 ありがとうございます。男子日本代表は、これまで順調に歩んできたわけではなく、いい結果を残せているパラリンピックは東京だけなんです。さらに、パラリンピックの男子の出場枠が12から8に減ってしまったこともあり、この先も茨の道を進むことになります。それでも、もう一度パラリンピックでメダルをとれるところまで持っていきたい。日本が強豪国と言われるようになることが、僕たちの望みです。

シュウ エースとしてのプレッシャーは感じていらっしゃいますか?

鳥海 実は今、東京パラ以来のプレッシャーを感じています。今の日本代表でやっているバスケは、僕が最初に得点して、相手の脅威にならないと実現できないゲームプランなので、僕の入り方次第で試合の色が変わってしまうからです。ただし、それはいい緊張感だとも思っています。だからこそ、みなさんに応援していただけたらとてもうれしいです。

鳥海連志さんの著書が発売
『僕の人生には「挫折」がない 失敗を成長に変えるポジティブ思考術』(集英社)

商品名

:

『僕の人生には「挫折」がない 失敗を成長に変えるポジティブ思考術』(集英社)

価格

:

¥1,890

車いすバスケットボールのトップ選手・鳥海連志。銀メダルを獲得した東京パラリンピックではMVPを受賞。一躍スター選手となったが、パリ大会では予選敗退により出場権を逃した。ロサンゼルスパラリンピックでのリベンジを期して、成長を求め2025年秋からヨーロッパ、スペインリーグに挑戦。新しい世界での経験を綴ると共に、自らの性格やくじけないアスリート精神の根本についてもふり返る。

シュウ・フェンファンさんプロフィール画像
INIシュウ・フェンファンさん

1998年6月12日生まれ、中国浙江省出身。2021年にオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN SEASON2」に出演し、同番組から誕生したグローバルボーイズグループ・INIのメンバーとしてデビュー。2026年にフジテレビ系月9ドラマ「ヤンドク!」に出演。エッセイの執筆や、日本テレビの情報番組「DayDay.」でコメンテーターを務めるなど、活躍の場を広げている。

鳥海連志さんプロフィール画像
プロ車いすバスケットボールプレーヤー鳥海連志さん

1999年2月2日、長崎県生まれ。両手足に先天性の障害があり、3歳のときに両下肢を切断。中学1年で車いすバスケットボールを始め、2014年に日本選手権初出場。2015年に高校2年生で日本代表入りを果たし、リオデジャネイロ2016パラリンピックに日本選手団最年少で出場。2021年の東京2020パラリンピックでは銀メダル獲得に貢献し、大会MVPを受賞。2023年にプロパラアスリートとして初めてアシックスと契約。2025年秋からは、スペインリーグのBSRアミアブ・アルバセテに加入し、研鑽を積んでいる。

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