世界に羽ばたくプレーヤー、長谷川唯選手にインタビュー

プレミアリーグで活躍する冨安健洋選手や三笘薫選手と同じくらい、イングランドで高く評価されているのがマンチェスター・シティの長谷川唯選手。その目標は?

自分らしさを忘れず、確かな結果を残したい

長谷川選手

2022年秋にWSL(ウィメンズ・スーパーリーグ)のマンチェスター・シティに移籍。その年末には英紙『ガーディアン』が選ぶ世界の女子選手トップ100にランクイン。そこでは「これほど才能にあふれたプレーヤーが欧州のビッグクラブに入り、大きな影響を与えるのは新鮮だ」と書かれていた。長谷川選手への注目度はイギリスで日々、高まっている。

「あの記事はすごくよく書いてもらえました(笑)。やっぱり、今一番女子サッカーが盛り上がっているのがイングランドなので。施設や環境も抜群に整備されているし、試合はもちろん全部天然芝のピッチ。どこのリーグよりもそういう面ではトップを走っていると思います。観客も入るようになってきて、こっちに来てからは、何よりサッカー文化は大事だと実感します」

目の肥えた観客やメディアに評価されているのは、彼女がこれまでの攻撃的なポジションから一列下がり、アンカーとしてチームの要になっているからでもある。

「得意なポジションより後ろめで、当然難しい部分はあります。自分ではリスクを冒すプレーが持ち味だったんですけど、今は安全が第一のポジション。そこで要求されることと、チャンスメイク、リスクを負ってでも出すパスの使い分けを意識しています。ただまだモヤモヤしているところもあって、もっといいプレーができるのに、と。リーグも半分終わって慣れてきたので、もっと攻撃につながるプレーを出していきたいです」

とはいえWSLはスピードがあり、フィジカルや激しさも強いリーグ。そのなかで堂々とボールを捌き、回しているだけでもすごい。

「本当に縦に速くて。でも自分は自分らしく、周りに染まりすぎないように、というか染まれないですね(笑)。自分のよさは忘れないようにしようと思っています。もちろん、フィジカルで負けてはいけないところはあって、そこは妥協せずいきますけど、求められているプレーとやりたいと思っているプレーをバランスよくやりたい」

試合中の長谷川選手

憧れの選手、目指す選手を聞くと、アンドレス・イニエスタやケビン・デ・ブライネの名前が挙がる。バルセロナやマンチェスター・シティのパスをつなぐ、攻撃的なサッカーの名手だ。

「WSLではチームメイトのローレン・ヘンプの突破力がすごいですね。ドリブルもあるし、すっとかわして、抜き切らないでクロスにしたり。同じアンカーとしてすごいのは、アーセナルのキム・リトルと、シティからバルセロナに移籍したキーラ・ウォルシュ。キーラとは一緒にやりたかった気持ちがあります。バルセロナの女子はみんないい位置にいて、ダイレクトにワンタッチ、ツータッチで速くボールが回る。技術のところで、止める、蹴るがしっかりしてると思います」

ほぼ毎日朝からトレーニングで、午後はジムワークや週に3回、英語の授業。これから夏までWSLの後半戦を戦うとともに、その経験を日本代表に持ち帰ろうとしている。

「この環境で毎日やるのは大事ですね。代表で海外のチームと戦うときも、もう『思っていた感覚と違う』というのがない。以前は試合で、外国の選手のスピードや強さ、脚が長くて遠くまで届くタックルに慣れるまでに少し時間がかかったんですけど。序盤苦労していたのが、今はすぐに自分のプレーが出せる。7月のワールドカップの頃には海外に出て2年になるんですが、そこでどれだけ成長できたかを試す、いい舞台だと思ってます。あとは来年、シティでチャンピオンズ・リーグに絶対出たいので、出場権は必ず取らないといけない。そのためにも、個人としてもしっかり結果を残したいです」

 

長谷川唯  YUI HASEGAWAプロフィール画像
長谷川唯 YUI HASEGAWA

1997年、埼玉県生まれ。6歳からサッカーをスタート。2021年1月にACミラン、8月にウェストハムに移籍。2022年9月、マンチェスター・シティに移籍した。2017年から日本代表に選ばれ、2019年W杯にも出場している。

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