ヴァンドーム広場にブティックを構えた、最初のハイジュエラー

フレデリック・ブシュロン氏が1858年に、パリのパレ・ロワイヤルに最初のブティックをオープンして創業。1893年には、パリ・ヴァンドーム広場にブティックとアトリエを移転。宝石を美しく輝かせるよう、広場の中でも最も日当りの良い26番地を選んだブシュロンは、のちに “ジュエラーの聖地”となるヴァンドーム広場に店を構えた最初のハイジュエラーとなった。

創業当初から、時代を先取りする革新的なスタイルを生み出してきたブシュロンは、花や植物などの自然のモチーフをいち早く取り入れ、アールヌーヴォーやアールデコ様式の傑作品を制作。パリ万博博覧会でグランプリや金賞を何度も受賞し、早くからトップハイジュエラーとしての道を歩み始める。また、世界の王侯貴族やセレブリティたちに愛されたメゾンは、婚姻の贈り物や愛の証として、数々の高貴なジュエリーを創作。1894年にロシア皇帝が皇后アレクサンドラに贈った婚約式のティアラをはじめ、世界のロイヤルファミリーのウェディングシーンを華やかに彩ってきた。

そんな格式高いジュエリーを創作してきたフレデリック・ブシュロン氏は、情熱的な愛妻家としても有名だ。1887年に“世紀のオークション”と呼ばれたフランス王家の宝飾品のオークションに唯一のフランス人ジュエラーとして参加した彼は、ウジェニー皇后が所有していた最も美しいダイヤモンドを落札。それをリングに仕立て直し、結婚14周年の記念に最愛の妻・ガブリエルに贈ったことから、ブシュロンは“愛のジュエラー”として知られるようになった。また、事業の成功とともに世界中を飛び回るようになっていた彼は1888年、ある旅の前日、ガブリエルにお守りとしてヘビをモチーフにしたネックレスをプレゼント。以来、ヘビは愛と保護、そして永遠の幸福の象徴として、メゾンを代表する重要なモチーフとなっている。157年もの歴史を持つフランス流ハイジュエリーの伝統と、創業者の愛の精神を継承するブシュロンのブライダルジュエリー。卓越した職人技術でひとつひとつ丹念に作られた最高級のダイヤモンドリングは、ふたりの人生に幸せの光を照らしてくれる。

(イラスト左)1900年頃に描かれたイラストより。ヴァンドーム広場のブティックのショーウィンドウは、当時のおしゃれな女性たちを魅了 (写真右)ブシュロン氏から旅の出発前日に贈られた、スネ―クモチーフのネックレスを身につける妻のガブリエル 

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