物欲モンスターは、ミニマリストの夢を見るか #深夜のこっそり話 #1032

フェイスブックでは、過去の投稿を自動的に掘り起こして通知してくれる「On This Day(過去のこの日)」という機能があります。恐らくこの開発者は、過去を振り返り、センチメンタルな思い出に浸ってもらいたいと思ったに違いありませんが、私にとってこの機能は、過去のファッション黒歴史を再確認させられる忌々しい存在です。

グラムロックに傾倒した10代は、全身ヒョウ柄にハイヒールを履いて、黒いアイライナーを塗って毎日大学に通っていました。20代前半でクラブカルチャーと出会うと、ドレスアップの趣向はさらに過剰に。スパンコール、プリント、ロゴモチーフ、ネオンカラー、トゲトゲのスパイク、ゴールドチェーン、目に付いた派手なものは何でも取り入れてきました。

これらの経験があったからか、30代目前に差し掛かった今、シンプルかつ質のいいものを身に纏いたい、という欲望がふつふつと湧き上がってきました。もしかしたら、ロゴマニアブームに反抗する天邪鬼が疼いたのかもしれません。ミニマル主義の決定打となったのは、先日のある買い物。Tシャツが欲しいと思い、青山のプラダのブティックに入ったのですが、フロアで目を奪われたのは、ポップなプリントのTシャツではなく、無地の半袖ニット。聞くところによると、極限までハイゲージに編み上げたウールを使用しているとのことで、隣に並んでいたランウェイルックのシャツよりも値が張る代物でした。なんの変哲もない無地のニットに、この値段を払うなんて100年早い、そう我を戒めながらもとりあえず試着。すると、そのしなやかな光沢、そして絶妙なフィット感が引き立てるシルエットの美しさの虜になってしまったのです。

正直予算オーバーな上、本来探していた普段使いのラフなTシャツとはかけ離れたアイテムのチョイスに、若干の罪悪感を覚えたものの、半ば無意識のうちにお買い上げ。どうやらこのシリーズ、定番として毎年出ているらしく、このニットを毎年買い替えられる余裕のある大人になりたい、と強く思ったのでした。

追記。ミニマル志向に切り替える予定だったのですが、これまた衝動買いでギャルソンの春夏ランウェイで出ていた、総スパンコールのショーツも手に入れてしまいました。どこがミニマルやねん。

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