京都で考えた、YOU ARE WHAT YOU EAT #深夜のこっそり話 #1714

私たちにとても身近なあるものが、今年、ユネスコ文化遺産登録10周年を迎えます。それは、日本人の伝統的な食文化である「和食」。そんな節目のタイミング、何気なく口にしつつも深くは考えてこなかった和食、そして国の登録無形文化財である京料理の伝統や進化に改めて触れるため、弾丸で京都に行ってきました。

最初にお邪魔したのは、「京都・和食の祭典2023」フォーラム。ユネスコ登録の立役者でもある老舗料亭・菊乃井の村田吉弘さん、和食に欠かせない昆布を代々扱ってきた奥井海生堂の奥井隆さん、純米にごり酒「月の桂」で知られる増田德兵衞商店の増田德兵衞さん、「きょうの料理」の講師としても活躍する料理研究家の大原千鶴さんらが登壇し、無形文化としての和食や京料理、その継承や発展について貴重なお話を伺いました。

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左から、村田吉弘さん、奥井隆さん、増田德兵衞さん、大原千鶴さん

村田さんご本人がユーモア交じりにお話しくださるユネスコへの道のりはとても興味深く、日本人の食生活の変遷や自給率など耳の痛いキーワードもありつつも、私たちを育んできた和食を守ってつないでいく第一線にいる皆さんの姿勢やお言葉が軽やかで未来を向いていて、すっかりファンになってしまいました。

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創業は昭和3年。たたずまいに風情のあるたん熊北店 本店

和食や京料理の現在地とこれからについて学んだ後は、老舗料亭のたん熊北店 本店で会席料理をいただきました。料亭に対して敷居の高さを感じていたのでドキドキしていたのですが、フォーラムの中で「敷居は行く側が上げている」というひとこともあり、少し肩の力を抜いて端正な手仕事とおもてなしを堪能できました!

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3月ということもあり、前菜の盛り合わせの主役は夫婦雛。春の食材が目にも楽しい
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たん熊名物の丸鍋。すっぽん、初めて食べたかもしれません……!

翌日は瓢亭 別館で名物の朝がゆと瓢亭玉子をいただいた後、プロの料理人から絶大な支持を集める石割農園を視察したり、石割農園の採れたて野菜を使ったリストランテ ディボ・ディバでのランチを楽しんだり、“料理の神様”を祀った山蔭神社を参拝したり、老舗京菓子店・甘春堂での和菓子作りを体験したり、と盛り沢山の内容に大満足!

今回の旅で受け継がれてきた伝統やプロの技に感銘を受けたとはいえ、和食が日本の気候や日本人の感性によって発展してきたものだと考えれば、せっかくの気づきを日々の暮らしにも活かさねば。というわけで、以前も白状した通り、料理上手とはいえない私ですが、 菊乃井のだしパックと村田さんが動画で教えてくれるレシピに背中を押してもらい、(ぎりぎり)一汁三菜にチャレンジ。

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・豚の生姜焼き(村田さんのレシピ)
・菜の花&スナップいんげん炒め(生姜焼きのタレを流用)
・ピーマンの塩昆布和え(村田さんのレシピ/フジッコでなく奥井海生堂の塩昆布を使用!)
・ごはん(いつもの白米)
・味噌汁(菊乃井のだしパックを使用)
・漬物(京都で買ってきたしば漬&さくら漬)

私以外の家族は男性というのもあり、ついつい品数やタンパク源にとらわれがちでしたが、しっかりだしのきいた味噌汁の満足感の高いこと! 普段は食べ過ぎていたのかな、と思うくらいにきちんとおなかもいっぱいになり、毎日は難しくても定期的に「和食の日」を取り入れていきたいな、と思いました。

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この日の食卓を支えてくれた、奥井海生堂の塩昆布の佃煮と菊乃井のだしパック

洗練された料亭の味は、人生の節目や特別な日のためのとっておきとして、和食を支えていくのは私たちのいつもの暮らしなはず。そして子を持つ親としては、受け継がれてきた味を次の世代に伝えていく義務がある! 食べたいものはほぼ何でも、そしてすぐに手に入る今だからこそ、この旅をきっかけに、未来の自分を作る食事に意識を向けることができました。皆さんも次回の京都への旅の目的に、和食の楽しみを加えてみてはいかがでしょうか?

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みやび堂の「あぜくら」。100gで594円です

ちなみに、今回の自分土産はこちら。編集長にお土産でもらってすっかり虜になった山椒のきいたスパイシーなあられ、みやび堂の「あぜくら」。通販もできるようですが、大丸京都店では量り売りで購入でき、山椒マシマシをオーダーしました。山椒のしびれに目がない皆さんに全力でおすすめします!

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エディターMATSUE

モードとカルチャーの狭間で15年。音楽と鉱石とフレンチフライから逃れられません。

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