夏のチクビにご用心!ジェニファー・アニストンのノーブラは、見てはいけないものを見たような気持ちにする

「チクビ問題」というものを、またしても考えてしまう夏到来。以前、マイリー・サイラスがチクビは誰にでもあるものなのに、なんで女性だけ隠さねばならんのだ!と息巻き、やたらとチクビを見せる過激なシーズンがあったが、今回のジェニファー・アニストンの「チクビ問題」は、マイリーのとはちょっと違う。ジェニファーは、チクビを丸見せにしているわけではなく、ノーブラだったために、ドレスにくっきりとその熟女な“さきっちょのポチ”が浮き出ていたのだ。それは、丸見せというか、むしろ見るがいい状態のマイリーのチクビよりも、ずっと何かタブーなものを見てしまったようなドキドキ感があった。

言ってしまえば、若い女子の固くて青い胸ではなくて、『ブルーベルベット』(‘86年デヴィット・リンチ監督)のイザベラ・ロッセリーニのような熟れた女体が放つまったりとした甘美な毒だ。乳房の丸みは下方向に重力を持ち、いくぶん大きめなチクビの間隔は離れて、限りなく脇方向に近寄ってゆく。エクササイズで日々、体を鍛えているジェニファーですら中年になるとそうなのだ。それに比べて、若くてガリやせのモデルあたりがノーブラだったとしても、見てはいけない感がまるでない。セクシーですらない。やっぱり、セクシーさは、秘めておくべきものに対して感じるものなのだ。

 ジェニファーは、水着姿をパパラッチに撮られて、お腹がぷっくりとふくらんでいたために妊娠を疑われて、かなり憤慨したようだが、歳も歳だけにほっといてくれ!という心境なのだろう。誰だってバカンスに腹いっぱい食べれば、気も緩んでお腹が出っぱったりするものだ。しかーし、お腹よりノーブラのチクビに気をつけるべし、と中年もとうに超えた私は思うのだった。

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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