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【2023年春夏ミラノコレクション】SPURのベスト3コレクション! 軽やかで解放的、色にもあふれたポジティブムード

9月21日からスタートした2023年春夏ミラノファッションウィーク。今季はエトロ、バリー、フェラガモの新クリエイティブ・ディレクターのデビューなどフレッシュなニュースから、パリス・ヒルトンやカーラ・ブルーニ、ケイト・モスなど往年のアイコンたちの活躍にも目を奪われる、話題に事欠かないシーズンでした。春夏ということもあり、登場した装いは軽やかで華やか。“ポスト・コロナ”の流れが定着したように、優しく寄り添うペールトーンからビビッドなワントーンまで明るい色にフォーカスしたブランドも多数。秋冬を目前にした今、すっかり気持ちは次の春夏へと向かっています……。ここでは、編集部が気になった3ブランドを独断と偏見でピックアップします。ベストルックとともにダイジェストとしてお届け!

【DIESEL】 “クチュールデニム”の真骨頂。セクシーでパワフル、快活なムードに夢中

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登場したファーストルック。退色させたデニムにヘルシーな肌が映えます。

「グレン・マーティンスさん、ノッてますね!」と思わず呟きたくなるような進化を続けるディーゼル。2020年の就任以降、若い世代からの根強い支持もあり、毎シーズン楽しみにしているブランドのひとつです。今季、まず目を引いたのは会場中央に鎮座する、4つの体が絡み合う(さながらツイスターゲームのよう……)バルーンの人形。前シーズン、東京でのショーにも現れたことが記憶に新しいですが、今回は世界最大のサイズ! ギネス世界記録更新も打ち立てました。ショーのテーマは、デニム・デモクラシー。デニム、ユーティリティ、ポップ、遊び心を掲げました。デニムが自由に裂かれたり、組み合わされたり、加工を施されたり……とあらゆるアイディアが駆使されています。ボトムスはローライズを軸に、たとえばファーストルックでは、肌が透ける下地にデニムのような加工が施され、重ね履きをしているようなデザインに。デニムを細かく裂いて巨大なコートに仕立てたルックもインパクトたっぷり。ニットにも日焼けをしたようなニュアンスがあったり、どこかサイケデリックなムードの花柄ドレスが登場したり、とアイデアの宝庫。ワークウェアらしいポケットやジップが配されたパンツも、コンパクトなトップスと重ねて着たいな、という物欲を刺激されました。ファッションとはポジティブで民主的、そして誰にでも開かれるべきもの、というデザイナーの考えを反映したショーに、たっぷりエネルギーをもらいました。

【ETRO】リアリティと夢を持って、シグネチャーをモダンにアップデート

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デニムは引き続きローライズが主流だと確信。ペイズリーモチーフを立体的にカットアウトしたトップスが新鮮。モデルのメイクアップのサイケデリックなムードも今らしいムード

イタリア人のマルコ・デ・ヴィンチェンツォが手がけるファーストシーズン。どんなショーになるんだろう、と楽しみだった理由は、ショーの開催前に公開されたマニフェストの「ETROPÍA」(エトロピア)に心惹かれたから。公開された10カットのポートレートは、モデルたちがカラフルなボディペイントを纏い、サイケデリックで異国情緒も感じさせるもの。ファッションは体と色彩の対話である、という哲学がどう服に落とし込まれるのかとても期待していたんです。結果、新たな未来を感じさせる、とても素敵なコレクションでした! テーマは「自分らしさを求めて、現実と想像を行き来する旅」。ブランドを象徴するペイズリーパターンもモダンに落とし込まれ、ロゴのモチーフは立体的な刺しゅうなどで登場。リアルでありながらファンタジーも感じるミックス感覚が絶妙でした。ビッグシャツの上にテキスタイルのミニスカートを重ねるスタイリングは素直に「真似したい!」となり、心にメモ……(今季、他ブランドからも“腹巻き”的なアイテムが登場し、すっかりウエストコンシャスなマインドになりました)。手染めのグラデーションニットも気分。新たに登場したホームコレクションのアーカイブファブリックをアップサイクルしたアイコンバッグ「ラブトロッター」も気になる存在です。

【BOTTEGA VENETA】多様な人に寄り添う、イタリアン・ラグジュアリーの新境地

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マチュー・ブレイジーが就任して2シーズン目。上質なクラフツマンシップを昇華したファーストシーズンに続くクリエーションの発展形が見られました。「これは実物に早く触れたい……」という気持ちと戦いつつ、コレクションを凝視。今回もデニムに見えるのは、しなやかなヌバックレザーにプリントを施したもの。そして目を奪われたのは、ケイト・モスが着たことでSNSでも拡散されていたこちらのルック。中にシンプルなタンクトップを仕込み、スエードのチェックシャツをオン。全体のシルエットや、ちょっと捲った袖など少し野暮ったさの片鱗を感じるくらいのバランスが逆に新鮮に、そしてエレガントに映りました。足元はローヒールやフラット、チャンキーヒールを中心に軽快なムードを感じます。後半にかけてのドレスライクなセクションでも、透けるチュールにビジューや花のモチーフが施されていたり、ジャガードパターンのドレス、そしてレザーのテーラリングを活かしたルックなど、どれも技巧が凝らされた美しい服。けれど大上段に構えるわけではない、さりげなく寄り添ってくれるような雰囲気がとてもいいんです。成熟しているけれど、ピュアネスもある。そして今回会場のセットデザインを手がけたのは、アーティスト・建築家のガエタノ・ペッシェ。彼が語る「この空間は多様性のトリビュート」という言葉にも胸を打たれます。会場に並べられたシートには手描きのドローイングが施され、one of a kind。クラフトによる、あらゆる人のための賛歌なのだな、と個人的には受け止めました。

靴、バッグ、インビテーション……。ミラノこぼれカットとともにお届け

今回見ていて「可愛い〜!」と本能が揺さぶられたのは、アイコニックな靴とバッグ。現地での展示会のショットとともに、こぼれ話としてお送りします。会場セットやゲスト、インビテーションにも注目。

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エディターSAKURABA

好きな服は、タートルネックのニットと極太パンツ。いつも厚底靴で身長をごまかしています。

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