海外メディアで絶賛されている最新作『正義の異邦人：ミープとアンネの日記』から、セス・ローゲンのコメディセンスで男女の関係を描いた注目作『プラトニック』まで、サブスクで見られる完結型の最新作を海外ドラママニアが厳選！ イッキ観にもおすすめな、観て損はさせない良作ばかり。秋の夜長のおともにぜひ選んでみて。
プラトニック／男女の友情は成り立つ？ セス・ローゲン製作コメディ
近年イッキ観型の良作が増えているAppleTV+より、ライトに見られるコメディ『プラトニック』をご紹介。コメディ映画でお馴染みのセス・ローゲンと『ピーターラビット』のローズ・バーンが恋愛感情なしのプラトニックな関係を模索する男女を演じた全10話のコメディ。
昔は男子とよく一緒に遊んでいて親友と呼べる仲だったのに、いつの間にか疎遠……。子ども時代はシンプルだった付き合いも、大人になってこじれてしまうこと、ありますよね？ 男女の友情は成り立つのか？ そんな永遠の問いにひとつの答えを出してくれるのが『プラトニック』です。
学生時代に一緒に騒いで遊んで楽しんだシルヴィアとウィル。その後、弁護士の道に進んだシルヴィアは同業のチャーリーと結婚して３人の子どもを出産し、今は専業主婦として狭い家を切り盛り。ある日、かつての親友ウィルが離婚したと聞いて連絡を取ってみることに。再会後すぐに元通りの仲に戻った2人は昔のように楽しもうとするものの、周囲からは理解不能で……。
本人たちは、お互いに恋愛対象として見ているわけではないのが視聴者側にも伝わるのですが、そんな関係は絶滅危惧種レベルに（!?）レアで、周りからしたら信じられない！といった反応。いわゆる中年の危機に一歩足を踏み入れている時だからこそ、恥ずかしい点もすべて見せられる親友がほしいのに！ 人付き合いって難しいよな～としみじみ痛感させられます。
実は主演の２人は映画『ネイバーズ』シリーズで夫婦役を演じて以来の関係！ 9月22日（金）公開の映画『ミュータント・タートルズ：ミュータント・パニック！』でもセスとローズが声の出演でコラボ。プラトニックな関係で次々と笑いを届ける２人に今後も期待大です。
正義の異邦人：ミープとアンネの日記／アンネを匿った平凡な女性秘書の実話
『ザ・モーニングショー』や『ミレニアル・ガールズ～ロンドン無計画ライフ～』はじめ話題作への出演が続く注目俳優ベル・パウリー主演の新作ドラマ。初主演映画『マイ・プレシャス・リスト』出演当時から８年経った今、役ごとにハッとさせられる美しさを持つ俳優へと成長しました。
ディズニープラスのナショナル ジオグラフィック チャンネルで配信中の本作は『アンネの日記』で知られるアンネ・フランクの父オットーの秘書で一家をナチスから匿ったミープ・ヒースの実話に基づく伝記ドラマ。８月の日本配信に先駆けて本国では４月に解禁されていたのですが、直後から海外メディアが大絶賛。Rotten Tomatoesで100％フレッシュの完全スコアを叩き出すなど高評価で、間違いない一作と言えます。
その歴史的価値とは裏腹に苦手意識を抱く人も多い戦争もの。しかし本作が描くのは、その時代に生きたひとりの女性の半生。親から「婚期を逃すな」とプレッシャーをかけられるのは、どの時代でも同じ。私たちとなにも変わりない普通の女性だったミープが、何を見て心をときめかせ、誰と恋に落ち、何を生き甲斐としていたのか……そう聞くと、興味が湧いてきませんか？
「完全に女性視点で語られているのも、この作品について心が躍ったことのひとつにあるわ。いま仕事をして15年経つけれど、いつもこういう役を探していたの」ととあるインタビューで話しているベル。隠れ家の中で息を殺して生きていたフランク一家たちだけでなく、匿うことを決めた外に生きる人間もまた極限の精神状態で日々を生きていたことを目の当たりにさせられます。残念ながら悲しい歴史を繰り返している現代。時にはダイレクトに教訓を学ぶのもいいかもしれません。
デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃／ライブ気分で楽しめる！
Amazonプライム・ビデオで配信され、世界を沸かせた『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』。米国出身作家テイラー・ジェンキンス・リードのベストセラー小説を実写化。原作に惚れ込んだリース・ウィザースプーンも製作総指揮として参加しています。
1983年生まれの原作者が13歳の時にみた「フリートウッド・マック」のリユニオン・ライブが忘れられず、今となっては味わうことのできない熱狂や興奮をもたらした時代にタイムスリップしたいという思いから作られたという本作は、1970年代に活躍した伝説的ロックバンドが当時の絶頂期を振り返る音楽ドキュメンタリー形式のドラマ。
バンドメンバーのみならず、プロデューサーやツアーマネージャーなど業界人が登場して各視点で描かれるバンド解散までの道のり。主演のサム・クラフリンやライリー・キーオなど、バンドメンバーが実際に演奏しているのは有名な話ですが、そのクオリティが凄まじい。演技だけではなく音楽的スキルも求められ、さらにはメンバー同士の相性まで……ってどれだけ奇跡的なキャスティングなの！と考えるだけで興奮せずにはいられません。
キャスティング担当によると、レディ・ガガの『アリー/ スター誕生』のように演技ができる歌手を探していたそう。しかしライリーに出会ってすべてが一変したのだとか。
最後にはとびっきりのサプライズも待っていて、ハンカチ必須です。リミテッドシリーズなのでシーズン２の予定はないものの、キャストがキャラクターとして実演するライブ開催を検討しているとか。ぜひとも実現した際には、ツアーで世界を回り、来日も果たしてほしい！
【海外ドラマ ナビゲーター】
Kanako Iizuka
ミレニアル世代の映画・海外ドラマライター。日々現地メディアで海外ドラマの最新情報を収集しつつ配信メインで海外エンタメ漬けの毎日をおくる。音楽アプリ“Shazam”片手にドラマを観るのが好き。アメコミにアンテナを張りつつ、『YOU ―君がすべて―』『イージー』『Fleabag フリーバッグ』といった攻めた恋愛ものも大好物。最近はスペイン語の勉強を兼ねてスパニッシュドラマも探求中。
