憧れの「ゴロー」で登山靴をオーダーメイド【井之脇海と、山の話 第2回】

井之脇さんは、オーダーメイドが人生初! 「買い物自体あまりしないので新鮮です」フードジャケット¥25,000・カットソー¥15,000・パンツ¥18,000/POULSOFFICE(BASISBROEK) 取材協力/ゴロー●東京都文京区本駒込6の4の2  ☎03-3945-0855

 今日は、登山靴を買おうと思って巣鴨の「ゴロー」にやってきました。父の影響で始めた登山。ずっと父が買ってくれた安めのトレッキングシューズで歩いていたんですが、だんだん行く山の難易度が上がるうちに、自分で選びたくなったんです。

 登山靴は、見た目よりも何よりも自分の足に合っているかが重要だそう。そして、岩が多い山道なのか、どれくらいの重さの荷物を背負うのか、さまざまなことが靴選びにかかわってくるそうです。登山靴のプロがいる店として、山好きの先輩に教えてもらったのが、そう、ここゴロー。冒険家の植村直己さん、プロスキーヤーの三浦雄一郎さん、そうそうたる登山家に愛されていて、とある大学の山岳部は入部と同時にゴローで靴を作ることが伝統とか。

"日本百名山" を全部登りたい!と思っています。登山を始めて8年目で8座登ったばかりなので、あと何年かかるかわかりませんが……。長い距離を走った車に愛着がわくように、靴もそうなったらいいな、とオーダーメイドすることにしました。何年も履き込んだ登山靴ってかっこいいし、手入れするのも楽しい。僕、車の洗車とかワックス掛けとか大好きで。ものは、メンテナンスしながら長く使いたいほうですね。

 さて、社長であり職人である森本勇夫さんに足を計測してもらいました。足を見るなり「いやー、いいかかとだね〜」と森本さん。僕の足はかかとの骨が丸くて、靴擦れがしにくい形だそうです。確かに、今まで靴が合わなくて痛くなったことは一度もないかも。「うん、いいかかとだ!」。2回も、かかとを褒められました(笑)。

 70代の男性が修理に持ってこられた靴を見せてもらったんですが、革が黒光りしていてすごい! 40年前に森本さんが作って、修理すること3回目。その男性はこれを履いて雪山に登り、山頂からスキーで下りてくるそうです。いつか冬山に登りたいから憧れます。修理しながら40年も履ける靴もすごいし、長く没頭できる趣味があるのもうらやましい。山っていいですよね。僕の靴ができるのは2カ月後。これで、遠くまで歩いていきたいと思います。

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登山靴も行き先、シーズンによってさまざまなモデルが。井之脇さんの靴は"ブーティエル"というモデル。「これで槍ヶ岳や谷川岳に行きたい!」

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これが40年物、3 回目の修理、という冬用の登山靴

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はだしになり足の形をトレース。左右のサイズが微妙に違うらしく、ぴったりになるよう調整してくれる

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色は薄い茶か焦げ茶か、黒か。悩みまくる井之脇さん

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靴ひもの結び方も教えてもらう。「今まで間違えたやり方で結んでました……」

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結局、味のあるヌバックに。ひもの色は、赤か黒か思案中

Profile
いのわき かい●俳優。1995年神奈川県・横須賀生まれ。幼い頃から子役として活躍し、日本大学芸術学部では映画を学ぶ。父の影響で登山を始め、"日本百名山"をすべて登ることが目標。TBS日曜劇場「集団左遷‼」(日曜21時〜)、6 月21日全国公開の映画『ザ・ファブル』に出演。

SOURCE:SPUR 2019年6月号「井之脇海と、山の話」
photography: Kazumasa Harada styling: Kentaro Higaki〈little friends〉 hair & make-up: Takeharu Kobayashi edit: Tomoko Yanagisawa

FEATURE