「こんまり」が世界を制した、その理由は?

Netflixオリジナルシリーズ 『KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~』独占配信中


遅ればせながら、Netflixオリジナルシリーズ『KonMari~人生がときめく片づけの魔法~』について書いてみたいと思います。片づけコンサルタント、近藤麻理恵さんがアメリカの各家庭に赴き、あふれているものを処分・整理するメソッドを伝授するリアリティショー。これが世界中で話題に。その一大現象っぷりのため、逆に反動や批判も起きましたが、私はとても楽しみました。しかも、「ものを捨てすぎる」タイプの一人として! 実用的に取り入れるところはそんなになかったものの、家や家族を更新するメソッドとして「片づけ」はすごく有効なんだな、と実感したのです。

こんまりさんが片づけを助ける家族の形はさまざまです。幼い子どもが増えて、いかにも育児疲れしている若夫婦。長年暮らした家にものが溜まりまくった老年の夫婦。人種が違うカップルのカルチャー・クラッシュが描かれ、女性同士、男性同士のカップルも登場してくるところは、いまの多様化する家族像をカバーする意志が感じられます。

そうした家族がそれぞれにうまくいっていないことが、ものを徹底的に見直すことで明らかになり、すっと風通しがよくなるところがこの番組の醍醐味。同じNetflixの『クィア・アイ』と同じで、ポジティヴな爽快感があるんですよね。結局、「ものの置き場所」を知っているのはお母さんの役目、と家族が思っていることが女性の負担になっていたり、最終的に家事に対する男女の不均等がわかることも多く、それが片づけを通じて修正される。女性同士のカップルでは、お互い服を融通しているからこそ、「境目がなくなって混乱する」という問題も起きるんだ、と気づいたりもしました。なるほど。

配信後もっとも批判されたのは、「ときめかない本は捨ててしまう」という点です。確かに本には、普通に使わなくなったものとは違う価値がある。ただこれまで本を処分して後悔した経験を持つ身としては、「後悔しないとわからないこともある」と言っておきたいです。こんまりメソッドが「ときめく」という言葉で表現しているのも、ものに対するごくパーソナルな基準を作っていくことなのでは? それを家族という共同生活のなかで尊重し、共存させる方法が、さまざまなテストケースとして見られるのが面白い。それに、私も視聴後ものは捨てなかったものの、靴下のたたみ方は変えました。それだけでもすっきりして快適です!

Netflixオリジナルシリーズ
『KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~』
独占配信中  

映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。

 

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