2018.07.07

【LICAXXXのTalk Room vol.3】ゲスト:grooveman Spot

Licaxxx/リカックス
DJ、ビートメイカー。ウェブ「シグマファット」主宰。パーソナリティを務めるJ-WAVE「SONAR MUSIC」も注目。

GUEST
grooveman Spot/グルーヴマン スポット

sauce81とのユニット 「77 KARAT GOLD」としても活動するヒップホップDJ/プロデューサー/トラックメイカー。

何をやってもその人の音になる、シグネチャー・サウンド

Licaxxx groovemanさんの作るビートが昔から好きなんです。アシッドとかディスコ、テクノやサンプリングとかのバランスがすごくかっこいいんですよね。いわゆるディスコものをサンプリングしたハッピーなグルーヴがはやってる昨今、groovemanさんは私が番組で作品を紹介していた2年前頃すでにそれをやられていて。だから、今回の新作『Resynthesis(Green)』はどんな音でくるのかなと楽しみにしていたら、結構ダークに攻めているのが個人的にうれしくて(笑)。時代の2 ~ 3 歩先を打ち出していて、その中にもラテンっぽいリズムや、インド、アフリカっぽいサンプリングからくる土着的なグルーヴがあって、そのバランスが超かっこいいです。
grooveman Spot そんなに褒めてもらえると照れますね(笑)。時代の流れと同じことをやってもしょうがないとは思うけど、ファッションと同じで、いいと思うトレンドは取り入れます。そんな中、これだけは譲れないっていう部分とか、今っぽくないけど逆に新しいという感覚を大事にすることは、自然と考えてやってるかもしれないですね。僕は今、地元、仙台に住んでるんですよ。東京で活動してた頃は、生活のために自分の武器である音楽を作らざるを得ない切迫した感覚があった。今はすごくフラットな状態で制作できていて、「さて、どんな音楽を作ろうかな」とわくわくするし、集中できる。もしあのまま東京に住んでいたら、もうちょっとわかりやすい売れ線の音楽をやってるかもしれないですね(笑)。
Licaxxx そういえば最近は、プロデュースワークとかコラボレーションも、バランスよくやってらっしゃいますよね。
grooveman Spot 向井太一くんとか一十三十一さん、SKY-HIくん、MAY’Sさんとか、昔からの知り合いでもあるZEN-LA-ROCKには、僕の新作からは想像しにくい類いの楽曲を提供させてもらってます。僕自身いろんな音楽が好きで、DJするときもあらゆる曲をかけるから、「この人、何者なんだろう?」と思われがちで。でも仙台に戻って以降、好きなものは全部やろうと決めたんです。要は、何をやってもその人の音になる、つまり「シグネチャー・サウンド」になっていればいいと思って。
Licaxxx 今ってひとつのことだけ追求してる人ってあまりいないですよね。音楽のジャンルにしても、それに付随した服を作ってる人がいたり。
grooveman Spot 僕も音楽のジャンルを広げるだけでなく、デザインとか洋服とか、自分がやれる範囲のことは全部手をつけてみたいタイプです。あれやってみたかったなぁって思いながら死にたくはないので。
Licaxxx 音楽もアートもファッションも、カルチャーという大きいくくりの中にあるから、その中の何かひとつだけではなくて「全体のくくり」ごと考える。そういう考え方のほうが共感しやすいし、今の時代にも合ってるかもしれないですね。

PICK UP

『Resynthesis(Green)』
grooveman Spot 
/Jazzy Sport 

「ヒップホップを基盤にダブなどのロウな音を前面に出した実験的な作品」と語るとおり、研ぎ澄まされたビートがあふれだすエッジィな新作。

SOURCE:SPUR 2018年9月号「LICAXXXのTalk Room」
iinterview & text:Kanako Hayakawa photography:Takehiro Goto