GWも注目の展示が目白押し。アンドリュー・ワイエス展も素晴らしいし、ロン・ミュエク展も見逃せない。やっぱりクロード・モネ展も観たいし……と大型の展示が話題に挙がりがちですが、同じくらいおすすめしたい展示がひとつ。それが21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2で開催中の企画展【スープはいのち】です。
スープから“生きること”を見つめる
他にはない個性豊かな展示で楽しませてくれる21_21 DESIGN SIGHTで、この春から始まった企画展【スープはいのち】。展示の副題として「スープは包む、いのちを満たす、はじまりの衣食住」とあるように、スープをきっかけに衣食住の根源を見直すという意欲的な内容です。
ディレクターの遠山夏未さんはかつてロシアや東欧を旅した際、唯一の温かな食事であった「スープ」に心身を支えられたそう。そこからさまざまに思いを巡らせてきた遠山さんは、スープをただの料理ではなく、身体を内側から「包む」ものとして捉え、外側から身体を包む「衣」や「住」と同列に考えて展示を企画しました。異色にして壮大、言葉にしてしまうとちょっと取っつきづらい気もしますが、映像やオブジェ、資料など五感で楽しむことができる展示は心躍るものばかり。スープが好きな人、スープで心が温まった経験がある人なら、誰でも引き込まれる内容となっています。
スープのレシピカードをお土産に!
展示の見どころのひとつが、会場に点在しているレシピカード。来場者は入口にある会場の地図が記された封筒を手に取り、料理家の皆さんがこの展示のために手掛けたスープのレシピをその中に収めていきます。そして鑑賞後も“つくる”や“味わう”といったスープをめぐる物語が続いていく……という嬉しくも楽しい試みです。
特に注目は《色をまとい、色を味わう ―身体を染める色と味―》という、衣服と食の関係性を視覚的に捉えた映像インスタレーション。五色の食材から染布とスープが生まれるさまにフォーカスしていて、人々が古来からまとい、味わってきた5つの色を見つめる……美しく、それでいて眺めているだけでお腹が空いてしまう展示なんです。そしてこのパートのレシピの担当は、我らが長尾智子さん。シンプルだけど食べるたびに発見がある、そんな長尾さんならではのスープの作り方を持ち帰ることができるなんて。“ターメリックと野菜のスープ”、“ごぼうと黒豆のポタージュ”……とほくほく顔でレシピカードを手に取りました。
心ほぐれる、穏やかな時間が流れる空間
21_21 DESIGN SIGHTはミッドタウン内にありながらも、比較的落ち着いて鑑賞できる日が多いのが魅力。さらに今回の展示は五感に訴えかける内容が多いため、静かで、没入感のある内容となっています。連休後半、出かけたいけどあまり騒がしいのは避けたい。そんな方におすすめしたい展示です。
“スープ”という誰もが触れたことのある普遍的な料理が入口となっているので、どんな人でも誘いやすく、みんなと語り合いたくなる内容。さらに約20組のアーティストが参加しているので、趣味嗜好に関わらず気になる作品が見つかりやすいのではないでしょうか。五感を研ぎ澄まし、食べること、生きることについて思いを馳せると、自分自身の記憶や生活にも向き合うことになる。不思議で、心地いい体験ができる展示に、ぜひお出かけください。
ワードローブの中心はデニムとメンズのシャツ。『スターウォーズ』シリーズに出てくるイウォークに似た犬と暮らしています。





