愛犬仲間にバディのおやつづくりを学ぶ【黒島結菜のHAPPY EVERY BUDDY!】Vol.2

黒島さんが持つおやつに熱いまなざしを向ける二匹。今回は、黒島さんの愛犬仲間である山本麻実さんに、フードロスの野菜などを使った犬用クッキーの作り方を教わった。おやつを作りながら話したのは、愛犬と人間が幸せに暮らせる社会について。

カーディガン¥20,350/ザ フォーアイド(パロマウール) メッシュトップス¥18,260(コリン ロカーシオ)・ベルトつきハーフパンツ¥106,704(ラ フェティッシュ)/LYDIA ネックレス¥33,000/フォーヴィレイム カスタマーサポート(フォーヴィレイム) ブーツ¥62,700/エドストローム オフィス(アワー レガシー) クッキーを入れたボウル¥3,300・下で着用したエプロン¥2,970/PUEBCO

愛犬も人も、気持ちよく暮らしていくために

保護犬のシャディとコハダと暮らす黒島結菜さん。彼女の世界は、二匹をきっかけに愛犬仲間と出会ったことでより広く深く広がったようだ。今回はそんな仲間のひとり、山本麻実さんに、犬用クッキーの作り方を教わることに。

「お散歩のルートが同じで顔見知りだった麻実さんとは、共通の愛犬仲間を介してすぐに仲よくなりました。犬を通して知り合った友人たちとは、日頃から動物も人も暮らしやすい社会について考えていることを熱く語り合い、自然と社会問題の話題になることもしばしば。なかには、日本の食料廃棄問題もありました。毎日大型トラック約1560台分もの食材が捨てられていると聞いたのが衝撃的で……。そんななかで、麻実さんがフードロスの野菜の端材を使って犬用のクッキーを作る活動をされていると聞いて感銘を受け、ぜひ一緒に作ってみたいと今回お声がけしたんです」

3匹の愛犬と暮らす山本さんは環境問題について、身近な問題をかけ合わせて解決できないかと、クッキーのアイデアを思いついた。お手製のチラシを作って近所のスーパーや八百屋さんに余った食材を譲ってもらえないかと説得しに回ったという。「最初は自分の趣味として小さく楽しくやれればいいと思っていたんですが、廃棄される野菜の量が余りに多いので、根本的な解決には、規模を大きくしてたくさんの人を巻き込んでいかないと、と考えるように。最初は怪訝そうだったお店の方も応援してくれるようになりました。ゆくゆくは魚や肉、いろんなロス食材を使って、クッキーの生産量も増やしていきたいんです」

この日集まったのはキャベツや紫キャベツ、それににんじん。山本さん考案の、自宅で余った野菜を使って簡単に作れるオリジナルレシピに挑戦した(犬が中毒を起こしてしまうネギ類やアボカドはNG。かぼちゃやさつまいもなどの甘みの多い食材は好まれる。使う場合は下準備として蒸す)。小麦粉にアレルギーのある犬もいるので米粉を使う、完全グルテンフリーのヘルシーなクッキーだ。細かくした野菜は、米粉と米油に混ぜて生地に。まとまるまで混ぜたら、打ち粉をふるったまな板の上で麺棒でのばして、型で抜いてオーブンへ。材料はいたってシンプルだが、野菜の組み合わせ方でさまざまな色彩が生まれ、作る人にとっても楽しい発見がある。焼き上がりを待っていると、野菜のほのかな甘い香りが漂ってきた。シャディとコハダも心なしかそわそわ。

「わが家では、おやつは特別なときやトレーニングの際にあげています。自分が口にするものに気を配るのと同じくらい、大切な家族である愛犬の口に入るものにも気を使いたい。何が入っているかわからないものはあげたくないので、手作りできるのはうれしいですね。犬たちが喜んでくれる姿を見ると、こちらの心も満たされます。こんなにも幸せなアクションが、フードロスの解消に少しでもつながっているのがすごくいい循環ですよね。広い視野で行動に移している麻実さんを尊敬します」。

山本さんとの関係性に対しても、笑顔でこう語る。「同じ街で愛犬と暮らしているという共通点は、些細なことのようですが、近しい価値観を共有している証しでもあるんですよね。どんなフードをあげている?なんて最初はたわいない情報交換から、その食材にある背景にも目が向いて、環境や社会の問題に気がつける。それを共有して、一緒に考えてくれる仲間がいるというのは、素敵なことだと思います。これも、犬たちがつないでくれたご縁ですね。今暮らしている街のことももっと好きになりました」

おしゃべりをしているうちに、クッキーがこんがりと焼き上がった。完全に冷ましてから、シャディとコハダたちへ。「普段は野菜やフルーツに興味を示さないけど、食べてくれるかな」という黒島さんの心配をよそに、興味津々で食いついた二匹は、すっかり気に入った様子だ。

「季節によっても食材が変わるから、どんな野菜を気に入ってくれるのか、試してみたいです。このクッキーを通して、多くの人にフードロスについて知ってもらいたいですね」

バディとの生活は豊かな時間を届けてくれるだけでなく、社会問題に目を向け、ともに課題に向き合う仲間との出会いもくれたようだ。

※愛犬に食べさせる場合は、体調に変化がないか、またのどに詰まらないよう、見守りながら与えてください。

写真右上は、クッキーの材料に使った、フードロスの野菜。市販される前に剥かれたキャベツの外側の葉だ。「大量の野菜をいただくので、傷む前に乾燥させてパウダーにするなど、日頃は工夫しています」と山本さん(右・下段写真の右側)。「紫キャベツが入ると色もきれい! これがゴミになってしまうなんてもったいないですね。黙々と作業をしていると集中できて、楽しいです」と黒島さんもクッキー作りに夢中

RECIPE

材料(7㎝のクッキー型約5個分)

余り野菜(今回はにんじんと紫キャベツ、キャベツ)… 合計で60g
米粉 … 40g、米油 … 6g、打ち粉(米粉を使用) … 適量

1 にんじん30gをすりおろし、葉野菜30gを細かくみじん切りにする。
2 1 の野菜と米油を混ぜ合わせ、米粉を加え生地がまとまるまで混ぜる。野菜の水分量が多い場合は、米粉を足して生地の硬さを調整。
3 打ち粉をふるったまな板の上に置いて麺棒でのばし、型で抜くか包丁で切る。
180℃のオーブンで12〜15分程度焼く(時間は目安)。
5 しっかり冷まして、完成。

教えてくれたのは

山本麻実さん
Mellowbear代表

3匹の愛犬と暮らす、黒島さんの愛犬仲間。犬のライフスタイルブランド『メロベア』を設立。日頃から環境問題に関心を持ち、フードロスの食材を活用した犬のおやつを開発。公式オンラインにて販売している。
Instagram: @mellowbear_official

今月の Happy moments with BUDDIES

写真を撮ることを趣味とする黒島さんご自身が撮影。「まだシャディがうちに来たばかりの頃の初々しいカットです。なんとも言えない表情がどことなく似ているふたり」

YUINA KUROSHIMA

1997年3月15日、沖縄県生まれ。映画『カツベン!』で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。映画『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』が公開中。2022年度前期連続テレビ小説「ちむどんどん」(NHK)にて、ヒロインを演じている。

SOURCE:SPUR 2022年7月号「黒島結菜のHAPPY EVERY BUDDY!」
photography: Shotaro Yamagoe 〈TRON〉 styling: Ayano Nakai hair & make-up: Momiji Saito 〈eek〉 text: Rio Hirai 〈FIUME Inc.〉

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