百々千晴の12 ESSENTIALS

シンプルなスタイルだからこそ際立つ確かな審美眼。百々さんの日々を彩る、12のキーワードを紐解く

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スタンプのようにきかせる赤リップ

スタイリング同様、メイクアップもナチュラルで無造作に仕上げるのが百々さん流。「基本的に日焼けどめをつけたら眉毛を描いてリップをのせるだけです。ベーシックカラーを基調にしたカジュアルな着こなしが多いからこそ、仕上げの赤リップで顔にポイントをつくるようにしています」。写真で使用したのは、エシカルなビューティブランドとして支持されているラ ブーシュ ルージュの「POP ART RED」。「マットなテクスチャーが今の気分です。顔がぼやけないように、深紅やボルドーなど肌になじみすぎない濃い赤をアクセントとして活用しています。似合わないのでテラコッタやベージュ系はあまり使いません」

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夏の足もとはマノロのミュールが鉄板

全体のバランスを左右する靴は、必ずスタイリングの最後に選ぶという百々さん。「デニムが基本なので、靴やバッグは高級感があって着こなしを格上げしてくれるものを選びます。木型がフィットするマノロ ブラニクの靴は、私にとっての必須アイテム。ヒールの高さは3〜5㎝が多く、夏は肌が見えたほうが抜け感があっていいので、パンプスではなくスリッパ感覚で履けるミュールを愛用しています」。黒いスエード素材のきゃしゃなストラップ、ポインティなイエロースエードにヌードカラーのパイソン型押しなど、ミッドヒールが揃う。「もう少しラフにまとめたい日は、ローファーやスニーカーを投入します」

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デイリーに活躍するバッグはザ・ロウで

「ザ・ロウはすごく好きなブランドの一つ。フィービー時代のセリーヌしかり、無駄がなく洗練されているところが好き。シンプルを極めた強さ、タイムレスなデザインだけどクラシカルすぎずフレッシュな表情があるのが魅力ですね」。洋服は白、黒、ベージュなどベーシックカラーが多いので、色をプラスするなら小物で。「ボルドーのバッグは、無造作にモノを入れられるバケツ型とちょうどいいサイズ感が最高。最近購入したリュックは、スポーティなナイロンキャンバスなのに気品ある佇まいが気に入っています。ザ・ロウのアイテムはギンザシックスの店舗で購入したり、ネッタポルテで通販することも多いです」

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ジュエリー感覚で身につける腕時計

「レアなモデルを追うような気質はなく、"出合って、ピンときたから買う"を続けて少しずつ集まりました」という時計のコレクションは、ベーシックでメンズライクなラインナップ。「毎日必ず身につけているわけではないですが、時間を確認するというよりジュエリー的な位置づけなんです。左のロレックスの『オイスター パーペチュアル』はハワイのアラモアナセンターで。真ん中のパテック・フィリップの『カラトラバ』は、青山のショップで購入。シルク素材のベージュのグログランとの組み合わせが気に入って、自分でつけ替えました。アップルウォッチはカッコつけてないムードがいいなと思っています」

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名作にあふれたリビングルーム

「インテリアにテーマやこだわりはない」と言いつつ、コージーでありながらゆるぎのないセンスが光る百々さんの自宅のリビングダイニング。存在感のあるアンティークテーブルは家具コレクターから譲り受けたピエール・ジャンヌレ。テーブルを囲む椅子は、ピエール・ジャンヌレやシャルロット・ペリアンなどデザイナーが異なるものの、絶妙な統一感を醸し出している。どっしりしたウッドの家具に華やぎを添えるのが、大きな絵画。LAのミッドセンチュリーを扱うショップで購入したクリス・ディ・ヴィンセントのもの。ほかにも自然を愛する百々さんらしく、ボリュームのあるグリーンもインテリアに欠かせない。日差しがたっぷり入るリビングですくすく成長しているモンステラはビオトープで。「テーブルも椅子も明るいトーンに買い替えたいんですが、家具って高いし処分するのも大変なのでなかなか踏みきれないですね」

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いつだってスタイルの軸にあるのはデニム

百々さんのトレードマークといえば年中はいているデニム。深い愛が高じて、デニムにフォーカスしたスタイルブックを出版したり、自身のブランドTHE SHISHIKUIでもプロデュースを手がけている。今日はTHE SHISHIKUIのタンクトップとジーンズにユニクロのベルトを合わせ、小物はザ・ロウのバッグとシャネルのバイカラーシューズを選択。最後にシャルロット・シェネのブレスレットをアクセントに投入。「基本はスタイルよく見えるシルエットが好きで、一番着用頻度が高いのはハイウエスト。リーバイスの501に着想を得て作ったこのデニムもお気に入りです。デニムってシンプルゆえに、難しいアイテム。だからこそ体型をキープしようと思うし、年を重ねてもデニムが似合う女性でいたいというモチベーションにもなる。気負いのないカジュアルだけど、ちゃんと個性がある。そんなスタイルのある女性を目指しています」

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Tシャツはサイズ感と透け感にこだわりあり

「今年スリードッツとコラボしたTシャツは、クセのない普遍的なシルエットと透け感にこだわりました。肩を合わせてジャストサイズで着るのがオススメ。あえて黒いブラを合わせて、インナーが透けて見えたほうが逆にヘルシーな印象になって素敵かもしれないですね」。THE SHISHIKUIのジーンズにシャネルのサンダル、パテック・フィリップの時計、アリータのネックレスを合わせて、ベージュのワントーンで仕上げた。「気に入ったものになかなか出合えないから、Tシャツを作るときには納得のいくでき上がりを追求します。気に入った一枚がへたっていくのは悲しいけど、かと言って耐久性に優れすぎているTシャツは実は苦手なんです。洗濯していくうちに首まわりがヨレてくるのも味があっていい。デニムもそうですが、こなれたユーズド感を育てていくのが醍醐味だと思います」。THE SHISHIKUIでも"なんでもないTシャツ"を出す予定。

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まとうのは、マニッシュな香り

「フレグランスは、ル ラボとバイレードのほぼ2択。スモーキーでマニッシュな香りが好みです。左のバイレードの『ナイト ヴェールズ セリエ』は夜を思わせるパフューム。中央は、アスティエ・ド・ヴィラットの『トゥーソン』。お寺を連想させるような和の要素がミックスされているところが好みです」。ル ラボのキャンドルは「ENCENS 9」を愛用。「ルームスプレーじゃなくてキャンドルを焚いたときの香りや温かさが好き。自分だけの時間に焚いてリラックスしています」

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休暇はサーフィンやスノーボードを

自然の中で楽しむスポーツが最高のリフレッシュ。サーフィンは地元である宍喰で覚えたという。「田舎が好きじゃなかったので、当時は特に思い入れもなかったんです。ただサーフィンを通じていろいろな出会いがあり、スタイリストになれたと思うので、今は感謝しています」。2018年からスノーボードにも挑戦。雪山の怖いくらいの美しさにはまり、以来毎年訪れているという。「神田のTHE SUNSというお店でひと目惚れしたボードは、ブルーのグラデーションが気に入っています」

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着こなしの鮮度を上げるサングラスも必需品

スタイリングのレベルを底上げするサングラスも欠かせない存在。中央と下は自身にとって初のプライベートブランドとなるTHE SHISHIKUIからローンチしたもの。環境への配慮はもちろん、鯖江産にこだわり、福井県のアイウェアメーカー金子眼鏡と共同開発している。「シックなのに華がある柄タイプはオススメ。丸みのあるボストンシェイプを進化させた、ごつい存在感のあるものも気になります。一番上はロエベのもの」。次シーズンは横に長いナローシェイプに注目しているそう。

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心地いい空間をつくる名作チェア

ウッドとストローを組み合わせたミニマルなヴィンテージチェアは、フランスの女性建築家シャルロット・ぺリアンのデザイン。大阪の家具店で見つけたもの。忙しい毎日を少しでも心地よく過ごすため、上質な椅子も大切な存在。「家具は詳しい人に紹介してもらったりして、主にネットで探しています。関西によいお店がたくさんあるので、こまめにチェック。次に狙っているのはジャン・プルーヴェのスタンダードチェア。ダイニングの椅子をこちらに替えたいなと思案しています」

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カジュアルを格上げするゴールドジュエリー

チェーンネックレスはカルティエ。リングは上から、ダイヤを飾ったマリー・エレーヌ・ドゥ・タイヤック、ラッキーチャームでもあるホースシューはTASAKI。チェーンリングはSHIHARAで購入。「いくつになってもカジュアルな格好をしていたいから、装いをぴりっと格上げしてくれるジュエリーと時計は手放せない。トレンドに左右されにくいので長く愛用できるし、おばあちゃんになっても身につけられる。思い出の詰まったアイテムを、しわしわになった手につけるのも楽しみ!」

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