エルメスのハイジュエリーから、ソーシャル・ディスタンスを守ったショーのバルマンまで 21SSパリコレ 2/4

9月30日

列席叶わなかったケンゾーのフィジカル・ショーをライブ・ストリーミングで見た後、エルメスのハイジュエリーのプレゼンテーションへ。新コレクションLignes Sensibles は、エルメス ジュエリー部門クリエイティブ・ディレクターのピエール・アルディが大好きだと言うビジュアル・アーティスト、アンジュ・レッチャによるフィルムから始まりました。光と影を交錯させ、抽象的に捉えた波や空と、ジュエリーを身につけた女性の顔や手、背中のクローズアップをオーバーラップさせた映像は、なんとも幻想的。数分の上映が終わって一旦室内が真っ暗になった後、一片の壁がライトアップされると暗闇から浮き上がったのは、ショーケースに並んだジュエリーの数々です。ダイアモンドやニュアンスのある色合いの石を配したピースはいずれもジオメトリックで構築的ながら、優しく、官能的。これまでエルメスのジュエリーの大筋はメゾンのコードに則っていましたが、今回はより自由なクリエイションで、なんと聴診器からインスパイアされたデザインも!もちろん器具の形をそのまま象ったわけではなく、音や振動と言った感覚に落としているのがピエールの凄いところなのですが。

さて、お昼に一度帰宅してドリス・ヴァン・ノッテンのビデオをチェックした後はガリエラ衣装美術館でのガブリエル・シャネル展内覧会へ。本展は数々の逸話に寄り道せずとにかくマドモアゼル・シャネルのクリエイションにフォーカスした回顧展。詳細は後日のミナコラムと本誌12月号(10/23発売)でお届けします。そして夕方、パトゥのプレゼンテーションは前回同様、本社にて。この機にレトロな画質のビデオも公開されましたが、このピンボケ画質の秘密も後日、ギョーム・アンリのインタビューと共にご報告するので、お楽しみに。

夜の部は、まずアクネ ストゥディオズから。撮影スタジオ風のスペースでモデルたちが円を描きながら歩くミニショーが始まりました。ゲストたちが異なる演出の隣のスペースに案内されると、新たなミニショー。こうして計4つのテーマが順に発表されました。いずれもハードとソフト、タイトとビッグ、シャイニーとマット、デリケートとラフ、とコントラストを遊んだコレクション。

そしてこの日の締めは、バルマンです。小雨が続くものの5区の植物園内に設置された会場は、屋外。入り口で配られたフード付きレインケープを被り、社会的距離を守った席につくと、向かい側のフロントロウを飾る液晶スクリーンの一連に気づきます。そこに表示されたのは、来られないセレブゲストたちの名前。暗くなった夜空を背景にアイススモークによる霧の中浮かび上がったシルエットは、なんとクリエイティブ・ディレクターのオリヴィエ自身ではないですか!姿を露わにした彼が椅子に座ると、聞こえてくるのはムッシュ・ピエール・バルマンが自身のクリエイションについて語る声です。続いてメゾンのアーカイブズ・ピースを纏って現れたのは、往年のトップモデルたち。ステージの向こうでは、液晶スクリーンの映像は“欠席ゲスト”たちの顔に変わっていました。このイントロダクションの後は、時にメンズを交え、強調された肩のグラマラスなルックが続きます。ロックダウンを経てコレクションを縮小したメゾンが多い中、バルマンのルックはなんと100余り!蛍光色からグレー、デニムのブルー、黒と色ごとにグループ分けした演出で、PFW 3日目はドラマチックに幕を閉じました。

各プレゼンテーション・ビデオの視聴やストリーミング再生は、メゾン名をクリック
*ルック一覧は同サイトのCollectionセクションにて閲覧可能

 Text: Minako Norimatsu

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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