嗅覚で鑑賞するアートです

最近一目惚れ、というか一嗅ぎ惚れしたものがあります。それは、LABORATORIO OLFATTIVO(ラボラトリオ・オルファティーボ)BIANCOTHE(ビアコンテ/ホワイトティー)の香り。CIBONE CASEの店舗で出合って以来どうしても忘れられず、先日遂にこのルームフレグランスディフューザーを手に入れました。

「ラボラトリオ・オルファティーボ」とは、日本語で「嗅覚の実験室」という意味。香水ビジネスとは距離を置き、世界随一の調香師たちが実験的に香りを生み出している、イタリア発のインディペンデントなプロジェクトだそうです。

先週、遅ればせながら映画『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』を鑑賞したのですが、そこで登場したのが「知りたくなる女性」という言葉。当時マルジェラが打ち出した女性像です。このフレグランスを一嗅ぎすると、まさにそんな人物像を思い浮かべます。鼻をすっと抜けるような軽やかさがありながら、ほんのりと甘い色気があり、エキゾチックなミステリアスさもあるような。なんというか、一言で言い表すのが到底不可能なほど、様々な表情を持っているのです! 一度で理解し切れないからこそ、もっと知りたいと思ってしまう、虜になってしまう魅惑のボトルです。そして、安直に形容できない奥深さから、感覚で鑑賞するような味わいがあります。このプロジェクト、「香りのアート」をうたっているようなのですが、本当に芸術のよう。繊細なバランスを保ったアロマは、好奇心をくすぐりながらも心を浄化してくれるような、神聖さと安心感を兼ね備えています。香りの機微を自分の言葉で伝えられたらどんなに素敵だろうかと思いながらこの原稿を書いていますが、まずは実際に嗅いでみてほしい一品。マーケティングから離れて自由に創造された唯一無二の香りは、きっと人によって千差万別の感情を生み出してくれるはずです。

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エディターSASAYAMA

周囲の人の着こなしが気になって仕方ない私服ウォッチャー。
街でも目を光らせています。ミニマルで、少しひねりのある服が好きです。

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