THE ROW を知る - ネオ・ハイライフのためのessentials -

メアリー=ケイト・オルセンとアシュリー・オルセンが2006年に設立したザ・ロウが今、高い支持を獲得している。普遍的でありながら他のブランドとは一線を画す、洗練された表現で私たちを惹きつける。新時代のラグジュアリーの中核を担っていく、力強いクリエーションの魅力に迫る

そのシルエットは、唯一無二

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コート¥548,900・ジャケット¥473,000・中に着たジャケット¥298,100・セーター¥188,100・パンツ¥147,400・靴¥160,600/ザ・ロウ・ジャパン(ザ・ロウ)

ミニマルでありながら鮮烈な印象を残すフォルムが、熱い支持の理由のひとつ

ザ・ロウを語る上で欠かすことができないのが、シルエットの美しさ。着ることで浮かび上がる洗練された佇まいに、誰もが心奪われる。80年代のNYで働く女性たちのワードローブをイメージしたという今季のコレクション。そこで登場したコートも、品格を保ちつつゆとりを持たせたラインが類を見ない。

その素材は、あなたを開放する

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シャツ¥134,200・ノースリーブセーター¥134,200・パンツ¥161,700・ベルト¥71,500/ザ・ロウ・ジャパン(ザ・ロウ)

やさしく、やわらかく体を包み込み、着る人にリラックスできる時間を約束する

最高級の素材の採用を標榜していることも、多くのファンからの信頼へとつながっている。厳選されたソフトコットンのシャツとエクストラファインシルクによって編まれたタートルネックは、上質な風合いとストレスフリーな着心地を両立。肌にほどよくフィットしつつも締めつけはなく軽やかで、上質な服をまとう喜びを教えてくれる。

そのデザインは、細部まで美しい

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ドレス¥535,700・シャツ¥134,200・セーター¥188,100・スカート¥134,200・バッグ¥498,300・靴¥264,000/ザ・ロウ・ジャパン(ザ・ロウ)

妥協することなく考えられたディテールは、着るたびに新鮮な感動を与えてくれる

今季のコレクションの中でも人気の高いブラッシュドカシミヤのチュニックドレスにクローズアップしても、目の肥えた服好きたちをうならせる仕掛けが多く発見できる。ブランドが打ち出すレイヤードスタイルが映えるようワイドに設定されたネックラインやドレスでは珍しいシャツテールヘムの採用。さらに裾はあえて未加工で切りっぱなしにしたり、フロントにパッチポケットを配することでノーブルでありながら退屈じゃない一枚が実現。これらのディテールはもちろん、それをかなえる正確無比なテーラリングも手にした者たちの心を動かす。

その色は、定番だけど真新しい

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スカーフ¥499,400・カーディガン¥757,900・クルーネックセーター¥581,900・タートルネックセーター¥134,200・パンツ¥332,200・靴¥160,600/ザ・ロウ・ジャパン(ザ・ロウ)

見慣れた色の見たことのない表情を引き出す、先進的なアイデアも楽しい

ザ・ロウが採用するのはブラック、ホワイト、ネイビーなどごくベーシックな色が中心。それでもコンサバティブな"よくある服"で終わらないのは、表情豊かな素材やビッグボリュームといった革新的なアイデアで、それぞれの色の新たな魅力を引き出しているから。一枚で成立するファーカシミヤのニットをレイヤードする、フォトジェニックな着こなしの提案も素敵。

その小物は、時を超越する

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(右から順に)椅子に掛けたバッグ「N/S パークトート」〈H28×W17.8×D15〉¥294,800・椅子の上に置いたバッグ「マルゴー 10」〈H18×W25.5×D19〉¥391,600・靴「ジップドブーツ」¥218,900・オブジェの上のバッグ「E/W トップハンドルバッグ」〈H18×W33×D11〉¥347,600/ザ・ロウ・ジャパン(ザ・ロウ)

飽きのこないデザインと使うほどに味の増す素材で、長い時を共にできる小物

「時代を超越する視点と古典的特徴を融合させる」というブランド哲学の結晶ともいえる靴とバッグは、次世代の名品として評価が高い。どんなシーンにもなじみ、時を経ても色あせることのない存在は入手困難となるほどの人気ぶり。バッグに主に採用されているマットグレインカーフやアイコニックなブーツのラバーカーフなど、経年変化を楽しむことができる上質な素材も、その魅力を後押ししている。

THE ROW を知る人が語る、その魅力

高い審美眼を持ち、ファッションへの造詣が深い人たちからも支持されているザ・ロウ。 スタイルのあるふたりの女性に聞いた、ブランドとの出合いやそのクリエーションに惹かれる理由

朝吹真理子さん(作家)

身につけていないときでも、その美しさにうれしい気持ちになる

国内で活躍するデザイナーとの交流が深い朝吹さん。そのためワードローブは日本のブランドが大半を占める中、ザ・ロウはスキューバパンツやチュニック丈のドレスなど、例外的に多く所持している。
「シンプルな美しさに惹かれます。数年前に購入したものでもまったく飽きなくて、出番も多いです。この春に購入したワンハンドルのバッグは、ほぼ毎日持っています。原稿用紙など荷物がかさばる私にとって心強い、軽くて丈夫なキャンバス地。ステッチのない細いレザーエッジがエレガントです。きゃしゃなハンドルなのにバッグが重たくなっても肩に食い込まないのが素晴らしい。好きなところしかなくて、同じ形をずっと使いたいです」。
愛着は、使っていないときにもさらに増していく。
「ほどよく自立性があって、少したわむ姿もきれいで、家に帰ってきて、ぽんと置いてあっても、うれしくなります。白いローファーも、置いてある姿がきれいでひと目惚れしました。お店におじゃましたときも、シャルロット・ペリアンの家具とともにお洋服やバッグが置いてある静謐な空間で、美しかったです」

PROFILE

あさぶき まりこ●1984年、東京都生まれ。2009年に「流跡」を発表し、作家デビュー。2010年に同作でドゥマゴ文学賞を、2011年に「きことわ」で芥川賞を受賞。今年1月にはエッセイ集『だいちょうことばめぐり』(河出書房新社)が発売された。

中北紘子さん(画家)

多くを語らないからこそ、本来の自分を表現できる服

出合いは2018年、知人のすすめでNYのショップを訪れたことがきっかけ。
「ひとつひとつのアイテムが作品のように並べられ、デザイナーや職人の方々の緊張感が伝わる空間に魅了されました。そのときにシルク素材の小さなバッグを購入したのですが、これはブラックとネイビーのリバーシブル仕様。でもふたつの色が調和して、どちらの面も隙がなく完成されている。手にしてみてまたモノづくりへの真摯な姿勢に感嘆しました」。
以来、特別なシーンではこのブランドを手に取るようになったそう。
「操上和美さんにポートレートを撮影していただいたときにも、衣装としてブラックのロングドレスを選びました。ザ・ロウの服は多くは語らないからこそ、本来の自分を表現できる。洗練されたエッジをきかせつつも、主張をしすぎないから着る人それぞれの個性が引き立っていくのだと思います。そして同じ人物でも、違う日に着れば表情が異なってくるのも面白い。私自身もこの先、年を重ね成長することでもっと素敵に着こなしていきたいと考えていて。長い時間をかけて大切に向き合っていきたいワードローブです」

PROFILE

なかきた ひろこ●1981年、兵庫県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科 絵画科油画専攻修士課程修了後、本格的に創作活動を開始。2018年にはNYで個展を行うなど国内外で作品を発表。春には神戸の居留地に自身のギャラリーをオープンした。

SOURCE:SPUR 2021年12月号「THE ROW を知る」
photography: Jun Yasui 〈eight peace〉, Shinsaku Yasuima (THE ROW を知る人が語る、その魅力) styling: Natsuko Kaneko hair: Yusuke Morioka 〈eight peace〉 make-up: NOBUKO MAEKAWA 〈Perle〉 model: Olga

FEATURE