蟹座(6.22 - 7.22)

ひとりで生きているわけじゃないでも自分の気持ちを置いていかない

他者と深く関わることがテーマとなる、2021年の蟹座。特定の誰か――たとえばパートナーだったり、友達や上司だったり。そうした特定の“誰か”に対し、「もっと相手を知りたい」「相手にとって唯一無二の存在になりたい」という情念にも似た気持ちを抱いていた人は少なくないだろうと思います。自分はひとりじゃない、その人だっているし友達もいる。SNSに写真をアップすれば、誰かが「いいね」をしてくれる。それでも人間はあくまで「個」であって、わかり合えない・近づけない寂しさに、途方に暮れた日もあったかもしれません。深く関わろうとすることは、同時に関われない孤独も生むのですよね。

そんな途方もないとらわれの海から、ポーンと自由になれる星回りに移行したのが5月半ばのこと。目の前のことにたっぷりと注がれていたまなざしが、窓を開けて外を眺めるように切り替わっていくのです。ひとつに収斂していた思考がパッと拡散に転じ、未来が大きく開けたような気分になる人は少なくないでしょう。面白いこと、やってみたいこと。人生や愛といったものへの、答えのない疑問。その先に「もしあの人が、こうしてくれたなら」といった前提条件はありません。

下半期はこうした、拡散に転じた思考を整理・調整する流れからスタートします。あれもこれも面白そうだ、もっと考えたいしもっと学びたい。そうしたさまざまな欲求を分類し、紐で縛って出番がくる日まで押し入れにでもしまっておくのです。これが役立つのは2022年前半。それまで、大事にとっておきましょう。

上半期全体を覆っていた「収斂」の動きが戻ってくるのが8月から10月上旬にかけて。この頃、あなたは誰かに強く期待をかけることになりそうです。この人なら間違いはないだろう。この人なら信用しても、裏切られることはないだろう――5月から7月末にかけて得た「発見」が、その信念を強く後押しします。

間違いはないと思える人がいる、というのは幸せなこと。ただ、もしもあなたが何かの痛手を和らげようとして「今度こそ」と思う気持ちがあるのなら、少し肩の力を抜いていきましょう。人によって痛めつけられた心は、人によって癒やされます。ただ、「今度こそ」と思うとき、人はときどき誰かを「ひどい人が開けた心の穴を埋めるためのアイテム」として見てしまうことがあるのです。

あなたはやさしい人ですから、人をアイテムとして見るなんてひどいことができるはずもありません。それでも期待をかけすぎると、魔が差すこともあります。そしてこうした関係は、往々にしてまた心の穴を広げることにもなりやすいのです。穴を埋めるのは、自分なのだ。傷を癒やすのも、自分なのだ。そうしたことを、この時期のあなたはどこかでわかっているのだろうと思います。そのうえで人に頼れば、そのときこそ真に大切にすべき相手がわかるのだろうと思います。

他者との深い関わりを生きる一年。そのラストレッスンがスタートするのが10月中旬です。一年間、あなたは静かに自分と自分を巡る思考の営みを続けてきました。季節が晩秋に向かうなか、あなたの心のなかには「時間をかけて関係を育てていきたいのは、こんな人だ」という指標が明確に生まれているでしょう。自分を変えてまでも、大事にしたい人たち。自らの変容を覚悟して「活かし合う」、そんな発想に至るときなのです。

だからこそ、この2021年下半期にこだわってほしいのは、関わりをつくる相手はしっかりと「選択する」ことです。深く関わるのは、素晴らしいこと。でも飲み込まれることとは違います。あなたをいいように使ったり、あなたのやさしさを搾取したりするような人とは、少し距離を置きましょう。それは冷たいことでも、計算高いことでもありません。あなたを大切にしてくれる人とあなた自身を、大切にするひとつの過程なのだろうと思います。

だから、どうか自分の心は、置いてけぼりにせずにいましょう。人はひとりで生きているわけじゃないけれど、たったひとりの自分の心を置き去りにしてしまっては、生きていけないのです。

これまでどうしても変えることができなかった、自分の心の不器用さや突っ走るクセなどを修正する人も、いるかもしれません。

年末、あなたは夏の間に押し入れにしまっておいたものの紐をほどき、新たな世界に挑んでいくことになります。そのとき、2021年に大切に育ててきた誰かとの関係が一番の味方になってくれることは、言うまでもありません。

 

Message for Resilience

何かが起きたとき「全部自分のせいだ」「もしかして私が原因?」と思わなくても大丈夫です。あなたはやさしく、勇敢な問題解決思考のできる人です。ただ、相手の問題までも自分のものとして背負ってあげなくても大丈夫。

 

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