CARTIERのクラッシュ ドゥ カルティエ【教養としてのジュエリー学 vol.10】

伝統と革新。芯の通った強さと、しなやかさ。パンクスピリットと、時を超越するエレガンス。いつの時代も相反する魅力を巧みに掛け合わせ、人々を魅了してきたカルティエ。時代に先駆けて打ち出した、オールジェンダージュエリーからそのフィロソフィーと革新性に触れる。

※この特集中、以下の表記は略号になります。WG(ホワイトゴールド)、PG(ピンクゴールド)

CARTIERのクラッシュ ドゥ カルテの画像_1

(右から)「クラッシュ ドゥ カルティエ」リング〈PG〉¥320,100・¥462,000・ブレスレット〈PG〉¥1,003,200

「ピコ」「クル カレ」とふたつのスタッズ状のモチーフを組み合わせた個性的なデザイン。エッジをきかせつつも、それぞれのパーツに丸みを持たせ、やわらかく動くようにセットすることでチャーミングな印象もプラス。インパクトがありながら手持ちのジュエリーとのスタイリングもしやすい。

CARTIERのクラッシュ ドゥ カルテの画像_2

リング(人さし指)〈WG〉¥343,200・(薬指)〈WG〉¥495,000・ブレスレット〈WG〉¥1,412,400/カルティエ カスタマー サービスセンター(カルティエ) ニット¥176,000/ドゥロワー 青山店(ドゥロワー)

 

ホリデーシーズンを彩るオールジェンダージュエリー

岡部(以下O) 一年で最も気分が華やぐホリデーシーズン。今年狙うべきおすすめのジュエリーはありますか?

本間(以下H) 私は最近アンティークを購入することが多いのですが、一方でジェンダーレスなムードのジュエリーにも注目しています。

 近年支持を集めるオールジェンダージュエリーはミニマルなデザインが主流ですが、個人的に気になるのは「クラッシュ ドゥ カルティエ」。2019年に発表されたコレクションで、ロックスピリットあふれるスタッズ「ピコ」のあしらいが特徴的で、ステートメントとしての存在感も抜群。

 かなり目を引くデザインですよね。カルティエのハイジュエリーにおいて、スタッズが最初に登場したのは1920年代。その後1930〜40年代にかけて度々登場するスタイルですが、コレクションを通してここまで全面的に打ち出すのはとても珍しいことです。

 歴史のあるメゾンのクリエーションというとクラシックな佇まいが多い中、カルティエは「トリニティ」や「ラブ」など、モダンかつエッジのきいたコレクションをいくつも打ち出してきたというのが面白いですよね。

 確かにそうですね!内面に強さを秘めた、先進的な人物像はカルティエのDNAのひとつ。「パンテール」をデザインした伝説のデザイナー、ジャンヌ・トゥーサンもその視点から数々の作品を手がけ、多くの女性たちに影響を与えてきました。

 メゾンの先進性といえば、先日カルティエが自社開発した新しいARコンテンツを体験しました。本間さんもご覧になりましたか?

 カメラを通して、ハイジュエリーのリングをバーチャルで試着できるものですよね。ARはここ数年ジュエリーの世界でも注目を集めているトピックですが、指を動かしてもリアルに見える、高い精度に驚きました。

 2017年発足のチームによって開発され、すでにアメリカのブティックでは導入されているようです。その場にいなくとも、一点もののハイジュエリーを試着できたら画期的ですよね。

 ハイジュエリーだけでなく、ブライダル需要にも重宝しそう。伝統を重んじながら、テクノロジーを駆使して新しいエクスペリエンスを提供する。その二面性こそが他のメゾンとは一線を画すカルティエの強みです。

 二面性は、「クラッシュ ドゥ カルティエ」のコレクションテーマでもあります。たとえば、とげとげしく見える「ピコ」は、実は触れるとやわらかく動くよう精密にセットされています。

 動物みたいで可愛いですよね。デザイン性の高さと、卓越したクラフツマンシップが共存しています。

 強くもあり、優しくもある。有名な映画のセリフみたい(笑)。洗練された印象のホワイトゴールドも捨てがたいですが、個人的にはピンクゴールドの温かみのある輝きに惹かれます。個性的でありながら、意外とさまざまなジュエリーと合わせやすいのも魅力。

 最近では男性のセレブリティやインフルエンサーに影響を受けて、身につける女性が多いと聞きます。シーンやスタイルを問わずつけられるので、ペアジュエリー、シェアジュエリーとして買うのもいいですね。

本間恵子
時計・ジュエリー専門ジャーナリスト。ジュエリーデザイナーという経歴に基づく鋭い目利きと、圧倒的な知識を武器に、幅広いメディアで活躍する唯一無二のエキスパート。

岡部駿佑
美しいものをこよなく愛するエディター。専門分野はランウェイ分析とジュエリー&ウォッチ。YouTubeチャンネル「シュプールTV」のナビゲーターも務めるなど、多方面で活躍中。

 

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