光るイニシャルと小さな命【ソフィー ビル ブラーエ】#89

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デンマークの人気デザイナー、SOPHIE BILLE BRAHE(ソフィー ビル ブラーエ)が手がけた「Lettre de Lumiere(レター ドゥ ルミエール)」コレクションのリング。仏語で「光の文字」という意味だが、まさにその名称のとおり、アルファベットのモチーフが煌々と光り輝き、文字に命が吹き込まれたかのように、みずみずしいきらめきを放つ。

ソフィーさんのハンドライティングから生まれたイニシャルは、流れるような自然体なムードが心地よい。クラシック過ぎず、端正過ぎるわけでもなく、適度に力の抜けたラフさがある。リングをかたどるのは18Kリサイクルゴールドと、ソリッドに輝くダイヤモンド。クラリティの高いVVSクラスの石たちが、指をぐるりと囲むようにセットされている。貴金属と貴石の組み合わせとは思えないほどなめらかで、まるで1本の糸で描かれているかのよう。指につけると、刻まれたイニシャルが立体的に浮かび上がる。

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「Lettre de Lumiere」リング〈K18YG、ダイヤモンド〉¥1,720,000

さて、どの指に誰のイニシャルをつけようか。リングは身につける指によって、意味合いや効果が異なるといわれている。夢や目標を叶える力をもたらすという人差し指には、明るい未来を願って息子たちのイニシャルを。直感力を高める中指には、お守り代わりに自分自身のイニシャルを。絆を深める薬指には、深い愛を誓ってパートナーのイニシャルを。まとう指とセットでイメージすると、よりいっそうイニシャルの光が増すような気がする。

そういえば、前職の会社にイニシャルが「NG」の人がいた。私とはひと回り近く年の離れた先輩で、所属部署は違ったのだが、社内のトイレで頻繁に顔を合わせて雑談を重ねるうちに自然と仲良くなり、プライベートで一緒に旅行に行くほどの間柄になった。NGさんはとにかくアクティブで、休日ゴルフとホットヨガとアイドルグループの嵐が大好きな人だった。好みも感性も自分とはまったく違うのに、なぜかNGさんには心置きなく何でも話せた。イニシャルはNGなのに、海外生活が長かったせいか口癖のように「OK」と言う人だったから、それがひそかにツボでもあった。

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NGさんも私も別々のところに転職し、コロナ禍を経てめっきり会う機会が減ってしまった。先日、ふと近況が気になってラインを送ってみたら、「転職先の人と反りが合わず、塞ぎ込んでいる」と思わぬ返事が返ってきた。いつも太陽のように明るい人だったので、にわかに信じがたかったが、一抹の不安がよぎりランチに誘ってみた。何年かぶりに再会したNGさんは、拍子抜けするくらい変わっていなかった。大きく膨らんだお腹以外は。

「双子なんだよねー」とNGさんはうれしそうに話してくれた。以前と変わらない調子で、話の合間に「OK」をよく挟む。ラインの返事の真意を聞くと「そんなのジョークに決まってるじゃない」と軽やかに笑い飛ばしてくれたので、心底安心した。

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知らぬ間に誰かと結婚していたNGさんは、苗字が変わって「NO」さんになっていた。なんだかおかしくて、2人で小籠包を食べながら大笑いした。新メンバー2人の名前について尋ねると、まだ決まっていないという。

すらりと伸びた彼女の細い指に、2つの小さな命が2つの「光の文字」で綴られるのを想像した。2つのイニシャルをかたどったリングがしなやかに躍り、彼女の手の中で新たな言葉を紡いでいく。私は無性にワクワクした。生まれてくる子どもたちのイニシャルが、OとKだったらいいのにな。帰り途の電車の中で、そんなことを思った。


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