パリ/家に求めるのは、心地よさとインスピレーション

Julie de Libran(ジュリー・ドゥ・リブラン)

job デザイナー
profile 南仏生まれ。ミラノでファッションを学び、 プラダ、続いてマーク・ジェイコブス期のルイ・ヴィトンで経験を積む。2014年より4年間ソニア・リキエルのアーティスティック・ディレクターを務めた後、同年自身の名を冠したファースト・コレクションを発表した。

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リビングルーム全景。中央に配置された大きなソファは、窓向きと暖炉向き、夏冬兼用のシーティングをという彼女の要望にこたえて、シャルル・ザナがデザインしてくれたもの。棚の中央のウィンドウに収めたのは友人のアーティスト、ケイト・マックグワイアーによる羽を使ったオブジェ

ジュリー・ドゥ・リブランが夫と息子と共に暮らすのは、パリ左岸の3フロアにわたるアパルトマン。

「ここは夫の父が経営する出版社の倉庫だった場所。最初は住まいにするなんて思いもよらなかったけれど、もともと同じ建物の上階に住んでいたこともあって、大改装に踏み切ったの」。こんな逸話を披露してくれたジュリー。自分たちで練った全体の構想では、天井の梁の木を取り去ってメタルをむき出しにし、インダストリアルなタッチをプラス。またカリフォルニア育ちの彼女は採光にもこだわりがあり、庭に面した部分には一面に大きなガラス窓を取りつけた。

彼女のインテリア・コンセプトは、自身のクリエーションに共通する3つの柱から成っている。ひとつは、フレキシブルなこと。たとえばリビングルームの壁を覆う棚は、トレイを挿入する位置を自由に変えられるシステムで、飾るアートピースそれぞれのサイズに対応可能。幾通りかの着方ができる彼女の服と、通じるものがある。次にクオリティ。素材のよさとクラフツマンシップは、家具やオブジェの吟味においても服作りでも、大事な基準だ。そしてヴィンテージやアップサイクルの家具は、単にデザイン上の好みではなく、サステイナビリティの観点からの選択。彼女は自身のコレクションでも、主にシャルベや生地メーカーの残布を使用しているのだ。

ジュリーは言う。「家は家族との暮らしの場であると同時に、インスピレーションを感じるところ。だから、こういった価値観へのこだわりは、とても大切にしているの」

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1 自身のコレクションからの定番のピーコートを羽織ったジュリー
2 リビングルームの一角は、モダニストの山小屋をイメージした暖炉にヴィンテージのアームチェアを添え、くつろぎのコーナーに
3  緩やかな曲線を描く階段
4 手すりの出発点を成す蛇のオブジェは、アーティストとして活動する従兄弟の作品。壁には額に収めた20年近く前のジョン・ガリアーノのバックステージ写真を飾り、モノトーンで統一。ジュリーの作品であるドレスがよく映える

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5 お気に入りのコーナーは、前述の従兄弟が描いた虎のドローイングと、現代アーティスト、ウーゴ・ロンディノーネのスカルプチャー
6 オリジナルのレンガの壁を残したダイニングには、大好きなプロダクト&家具デザイナー、マイケル・アナスタシアデスのランプでコンテンポラリー感を
7 リビングの一角に据えたオフィスコーナー。ヴィンテージのテーブルには、デザイン画や素材見本が広がる。生地の質感にこだわる彼女がルックを描くためにペンのほかに使用するのは、メイクアップコスメティック。特にシスレーを愛用

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