2020.06.29

みんなの生理、調べてみたら【SPUR.JPフェムテック調査団レポート vol.1】

近頃、生理にまつわる選択肢が増えている。アクティブな日にはタンポン、おうちでリラックスしたい時は吸水性のショーツ、旅行には月経カップ。そしてもちろん、慣れ親しんだナプキンも。気分によって生理用品を選べるだけではなく、ライフスタイルに合わせて低用量ピルや子宮内に装着するミレーナなど、生理そのものをコントロールする手段もあるし、今まで諦めていた生理にまつわる悩みをケアする製品やサービスも続々と開発されています。

SPUR.JPフェムテック調査団では、女性の身体にまつわる悩みを可視化し、世界中で盛り上がりを見せる「フェムテック」にできることを浮かび上がらせるべく、アンケートを実施。第一回では、フェムテックの入り口としてもっとも身近な「生理」まわりの問題を調査。2,681人の回答を元に、みんなが直面している悩みや意識に向き合い、シェアします。

Q1.「フェムテック」という言葉を聞いたことはありますか?

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7割以上の人が「フェムテック」について聞いたことがない現状が明らかに!

ちまたで注目を浴びる「フェムテック」という言葉。女性の身体や暮らしにたくさんのメリットをもたらす可能性を秘めた分野ながら、知名度はまだまだ3割以下。意外と聞いたことがない人が多いのが実情なよう。

Q2.「フェムテック」という言葉の意味を知っていますか?

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聞いたことはあるけど、意味はわからないという人が7割以上!

さらに、「フェムテック」という言葉は聞いたことがある人でも、その意味を知っていると答えた人はわずか23%と少数派。多くの人にとって「聞いたことがない」、聞いたことがあっても「意味を知らない」ものである「フェムテック」って、いったい何? 私たちにとって、どんないいことをしてくれるの? 

女性(Female)+技術(Technology)=フェムテック(FemTech)

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私たちの身体や暮らしに、「フェムテック」がもたらす恩恵は?

「フェムテック(FemTech)」とは、「女性(Female)」と「技術(Technology)」を組み合わせた造語。女性の健康課題をテクノロジーを使って解決する製品やサービスを表すジャンル名として、2016年頃に欧米で命名されました。生理ナプキンやタンポンのような私たちにとっておなじみの製品はもちろん、生理周期の記録管理アプリや膣トレデバイスなどの進化系から、バイブレーターのような性的快楽を主体的に楽しむアイテムまで。たくさんのプロダクトやサービスを含む言葉なのです。2025年までには市場規模が5兆円ほどに成長するとも言われ、日本でも既に51社のフェムテック企業が誕生(2020年4月fermata調べ)しています。

「こんにちは、フェムテックナビゲーターのクラウドちゃんだよ」

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「フェムテック」案内役のクラウドちゃん。

突然ですが、こんにちは。みんなにフェムテックのことをもっと知って親しんでもらうために生まれた、知恵の集合体クラウドちゃんです。

これまでバラバラで見つけづらかったものやサービスにまとめて「フェムテック」という名前をつけることができた。そのおかげで、私たちがモヤモヤしながらも見過ごしてきた身体にまつわる悩みや課題が、「当たり前」の「我慢すべきもの」じゃなくて、「解決してよいもの・解決できるものだった」ということが明らかになってきたんだ。それって素敵なことだよね。フェムテックは、女性の身体と心を見つめ直すきっかけと選択肢を与えてくれるワクワクなムーブメントとして、いま世界中で盛り上がっているんだよ。

Q3.生理の悩みはありますか?

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悩みがない人は13%のみ。たくさんの人が生理で悩んでいる!

生理に悩んでいる人は、全体の87%。実に9割近い人が生理にまつわる悩みを抱えていることが明らかに。その悩みの内訳は!?

Q4.生理について、どんなことで悩んでいますか?

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PMSの悩みや月経痛の悩みが圧倒的に多い結果となった。(複数回答)

圧倒的だったのが、生理前に起こる心身の不調「PMS(月経前症候群)」! 次点が、月経痛の悩み。みんなから集まった悩みの声を、クラウドちゃんがさらに分析すると……。 

「みんなの生理の悩み、あるある&意外な盲点がわかったよ」

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アンケート「あるある」と「意外な盲点」がわかったよ。

【あるある】経血やナプキンによる肌のかぶれ、かゆみ、匂い、ムレに悩んでいる人がとっても多いんだということがわかったよ。経血量が多いことだけではなく、少ないことを気にしている人もたくさんいたんだけど、そもそも他人の経血量を見る機会なんてないから、「これが標準の量」なんてわからないよね! あとは、生理周期が不安定で、いつくるのかわからないという人もたくさんいたよ。それって、ずっとリラックスできないし不安だよね。

【意外な盲点】このアンケートをとったことで、意外なお悩みがふたつ判明。まだあんまり認知されていないけれど、排卵日前後に体調が悪くなったり排卵痛があるという声が少なくなかったんだ。あとは、生理中って眠くなるイメージが多いけど、不眠や熟睡できないという声が意外と多かったのが印象に残ったよ。

他にもある! みんなの生理悩み

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知られざるみんなの生理に悩む声をキャッチアップ!

生理中の寒気、発熱、頭痛/カンジタ性膣炎になりやすい/匂いが嫌/皮膚が荒れる/生理中の眠気が辛い/生理前後の頭痛がひどい/始まりと終わりにダラダラと茶色の血がでる/貧血になる/夜、寝ている間に漏れる時もある/不正出血/経血の塊が多い/生理が重くて医者にいっても、ピルを飲むしかないと言われるが、他の方法はないのだろうか/生理前の肌荒れ/生理が煩わしい/下痢になる/下着が汚れる時があるのが辛い/生理が終わった後、毎月立ちくらみなどに悩んでいます/生理中トイレに行く暇がない/閉経が近づいて不安/ピルの代金が高い/むくむ/お風呂に入りたくない/生理後症候群で体力がなくなって、眠気が強く疲労感が辛い/経血量の多い日の仕事中は神経を使います(白衣なので)/薬を飲まないと生理が来ない/定期的なピル摂取の面倒さ/不正出血と子宮の痛み(エコーでは問題がない)/吐き気、食欲不振、生理前後の体調が35歳から急に変わって対応できていない/今使っているサニタリーショーツはその日に着られるボトムスが限られる/未だに生理というもの自体に嫌悪感がある/自分が普通なのかわからない/出血量と出血している期間にばらつきがある。セックスの予定が立てづらい/子宮筋腫との共存/スポーツをしている為、体脂肪率が減り過ぎると生理不順の心配があること/陰毛に経血がつくのが気になる/周期が40日超えのため不安がある

Q5.PMS(月経前症候群)でいちばん辛い症状は?

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生理の悩みワースト1のPMS。その悩みの内訳は?

PMSの辛い症状について自由に答えてもらったところ、大まかに11種類の悩みに分類できました。PMSにまつわる悩みは意外と共通点が多いみたい。

Q6.生理について周囲の人に相談したり、話題にしますか?

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生理についての話題は、周囲とシェアしにくい?

生理について周囲の人によく話すと答えた人は、わずか13%。歴史的に生理をタブー視する文化があった日本。生理の辛さや悩みについて、まだまだ気軽に相談したりシェアしづらい状況が浮き彫りに。

Q.7仕事やプライベートで、生理が理由でのトラブルを経験したことはありますか?

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生理にまつわるトラブルを経験した人が半数以上!

仕事やプライベートで生理によるトラブルを経験したことがある人は、約半数。ここで気になるのは、半数弱の人はトラブルを経験したことがないという事実。生理について話題にし辛い社会の中で、生理の重さ・軽さには個人差があることを理解し合えているのか、心配になってしまう結果に。

Q8.それはどんなトラブルですか?

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実は共通項が多かった、生理にまつわるトラブル

生理にまつわるトラブルで特に多かったのが、経血の漏れ、体調不良による早退・欠勤、PMSのイライラによる周囲とのいさかい。共通項が多く、「私だけじゃなかった」という気持ちになれる、みんなの生理事件簿をまとめてみると……。

私だけじゃなかった!みんなの生理失敗談

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みんなから届いた生理のトラブルを集めてみたよ!

【経血漏れとの戦い】
塾の椅子を血だらけに。パンツを汚して買わざるを得なくなったり、保健室で借りたりせざるを得なくなった/接客業で休憩が自由に取れなかった時、ナプキンとタンポンを併用していても漏れる心配がいつもありました/通勤時にモレてしまい、駅のトイレで慌ててパンツを洗ってびしょびしょのまま出勤/外回り営業をしていて、ナプキンを取り替える暇がないぐらい忙しかったある日、気づいたら営業車両の運転席に、赤黒いシミが……誰もいない公園の駐車場で、泣きそうになりながら一生懸命汚れを落としました/飲み会で頻繁にトイレに行くことができず 、出血が多過ぎてスカートにまで染みてしまった/飲みに行き友人宅に泊まり翌朝起きたら布団にまで真っ赤に漏れてしまった事がありました

【仕事や勉強に支障が……】
生理痛と吐き気が酷過ぎて起き上がれず会社を休んだり、仕事中に抜けて横になりにいったりする/学校では顔面蒼白で早退したり、勤務中の外回りでもロキソニンが効かず、女性クリニックに駆け込むことがありました/月経痛がひどく立つのもやっとだったけど、飲食の立ちっぱなしのバイトを休むことができなかった/生理痛が辛くて仕事を休むことについて、表面上は理解している態度を見せてはいるが、実際はそんなことで休むのかと思っている人が多い。男性だけでなく、女性からも理解されないところがある/月経痛がひどく仕事中に嘔吐してしまい早退した/大事な仕事に集中できず、思うように成果を上げられなかった/会議中に鎮痛剤の効き目が切れて急激にお腹が痛くなったがトイレにも行けず、男性ばかりの会議で生理痛とも言えず、冷や汗がだらだら出るほど耐え、会議が終わる直前に倒れてしまった/生理痛が酷くて倒れてしまい、職場の上司が救急車を呼んでしまった/レストランでの勤務中、生理の日に目眩がしていて、お客様の前で配膳する際に立ちくらみがして、お皿を派手に割ってしまいました/職場が男性ばかりなので、理解して貰えず女は便利な理由で休めていいな!と言われたり/大学入試や大学受験に向けた模試と生理が重なると不快感や生理痛で実力が出せないこと

【PMSでイライラ】
恋人の前で、大した理由もなく泣いてしまった。不安定になって、人に当たる/PMSの影響で、彼氏や家族にイライラをぶつけてしまい、より自己嫌悪に陥った/イライラや落ち込みから被害妄想的になり、相手を攻撃してしまった/普段はなんでもない雑談の些事がひっかかり激しく抗議。職場でほされた/イライラしていて隠せなかったのか不機嫌な表情をしていたのか、お客様からクレームが寄せられた/普段なら抑えるところでも、上司に感情的に意見をぶつけてしまったり、彼氏に別れを切り出したりしてしまった/生理を中心に予定を組まざるをえないので、プライベートでの遠距離の人との予定を合わせることが難しく、付き合いが途絶える

【突然の生理!】
温泉旅行に行った際、「入るぞー!」となった瞬間、生理!/外出先で突然生理がきてナプキンを持っていなかったので焦った。トイレットペーパーを何回も折りたたんでナプキン替わりにして急場を凌ぎました/旅行中に生理になってしまい、入りたかった温泉に入れず同行者と言い合いになってしまったこと/海外旅行中に予定日より早く生理がきて、生理用品を持ってきてなかったため現地で購入したが、品質衛生面的に驚くほど悪かった

Q9.普段使っているフェムテック製品やサービスを教えてください。

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ナプキンと月経サイクル管理アプリが人気!

圧倒的に多かったのはナプキンユーザーで、月経サイクル管理アプリと併用する人も。話題のナプキン不要のサニタリーパンツや月経カップも、使っている人はまだまだ少数派。

Q.10今後使ってみたいフェムテック製品があれば、教えてください。

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経血吸収型のサニタリーパンツ、月経カップが人気!

人気だったのは、経血吸収型のサニタリーパンツと月経カップ。専用ソープなどのデリケートゾーン用コスメを試してみたいという人も多数。意外なところでは、タンポン未体験だけれど試したいという声。妊活デバイスや膣トレツールなどの最新プロダクトをチェックしている上級者も。

Q11.婦人科検診を定期的に受診していますか?

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意外と少ない婦人科検診受診率。

乳がんや子宮がん・卵巣がんなど、女性特有の病気をチェックする婦人科検診。1年に1回の受診が理想とされているけれど、定期的に受診できていない人が半数以上なのが実情。

Q12.かかりつけ婦人科はありますか?

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「いつものクリニック」がある人とない人が、半々という結果に。

かかりつけの婦人科に出会えた人と、そうでない人が約半分ずつ。生理の悩みやトラブルには、クリニックで解決できることも多いので、かかりつけが見つかってない人が半数というのは少し心配な状況。

Q13.子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)を接種しましたか?

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8割近くの人が接種していないことが明らかに。

子宮頸がんは、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)を接種することで、高確率で防ぐことができると言われています。しかし、日本では2013年に子宮頸がんワクチンの副反応の恐れが取り沙汰され、後に因果関係がないことが公式にアナウンスされた後も、国による接種勧奨が差し控えられたまま。先進国の中でも接種率が低いという現実を反映した結果に。

Q14.ピルを飲んでいますか?または飲んでいたことがありますか?

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ピルを飲んだことのない人が約6割。

経口避妊薬として知られる低用量ピルは、月経不順・過多月経・生理痛・PMSの緩和にも効果が。6割以上の人が「飲んだことはない」と回答。

次回は「セクシャルウェルネス」についてのアンケート結果を紹介するよ!

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フェムテック調査団が生理のモヤモヤ解決をサポートします。

毎月やってくる生理。自分の身体のことなのに、思い通りにならなかったり、まだまだわからないことだらけだよね。アンケート結果からも、みんなが日々モヤモヤを抱えていることが伝わってきたよ。

でも大丈夫! フェムテックの力を借りて、正確な知識を共有しあえば、モヤモヤが晴れる日はきっと近いはず。クラウドちゃんもフェムテック調査隊の一員として、今後の特集でしっかりサポートするよ。

vol.2は、生理よりもさらに霧につつまれた「セクシャルウェルネス」に関するアンケート結果をレポート。自分の心と身体が気持ちいいってどんな状態なんだろう?  一緒に考えてみよう。次回もお楽しみに!

illustration:Misaki Tanaka

 

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