やっぱり戦う女が似合う! 『ジョイ』のジェニファー・ローレンス


ジェニファー・ローレンスがデヴィッド・O・ラッセル監督と三度目のタッグを組んだ『ジョイ』(2015)。海外公開時から楽しみにしていましたが、日本では残念ながらDVD/配信となりました。物語はアメリカの起業家、ジョイ・マンガーノの実話を元にした「ハーフ・フィクション」。ジョイが「ミラクル・モップ」を発明し、困難を乗り越えてヒットさせるサクセス・ストーリーでありながら、女性にとってはありがちでややこしくて壮絶な、家族内での戦いの話だったりもします。

シングル・マザーのジョイはあるとき画期的なモップを思いつき、その発明を父の工場で試作しようとします。なのに「こんな絵じゃわからない」と却下され、「ビジネスは素人でしょ」と言われ、ミラクル・モップが当たってからもなんだかんだケチを付けられる。家族だからというだけで、何人かは勝手に決断を下し、代理人として行動しちゃったりもするのです。

「やりたいこと」に対して他人とは戦えても、家族にそういうことをされるとがっくりくるし、何より自信を失いますよね。私だったら、ロバート・デ・ニーロとイザベラ・ロッセリーニ(この二人が主にジョイに意見する役を演じます)の前に座らされただけでめげそう。ジョイも爆発したり、一度は諦めたり。でもそこから頭を冷やして、「自分にできること」を見直すところが偉い!

ジェニファー・ローレンスは『ハンガー・ゲーム』シリーズでもそうだったように、怒ったような顔で必死に戦う役がハマる。今回も自分を貫くタフな女性の役がぴったりです。だいたい失敗したって、そこでしか学べないこともあるし、他の人の気持ちもわかるようになる。「失敗する自由」は誰にでもあるべきなのです。みんながジョイのようになれるわけじゃないけれど、周りに「そんなのどうせ無理」と言われている人、言われたことのある人はガッツをもらえそうな映画です。




『ジョイ』
監督/デヴィッド・O・ラッセル
出演/ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、エドガー・ラミレス
DVD、各配信サービスでリリース中

映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。

 

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