最後は、笑ってさよなら! 『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』

© 2017 UNIVERSAL STUDIOS
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海外ドラマを一気見したりしているせいか、シリーズもの映画で何年か間が空いてしまうと「あ、まだやってるんだ」と思ってしまうときがあります。で、コンプリートするため義務感のような気持ちで観にいくと、最初の頃の好きだった気持ち、よかった場面を思いだして、意外と満喫したり。今年では『メイズ・ランナー:最期の迷宮』の結末に涙し、完結編『フィフティ・シェイズ・オブ・フリード』のB級エロティック・スリラーなノリを楽しませてもらいました。『フィフティ~』シリーズは男女のSM的支配/被支配を描く話だったはずなのに、いつの間にかリッチな若夫婦の話になっていて、でもその臆面のなさも面白い。

女子学生アカペラ・グループ、べラーズのドタバタをつづる『ピッチ・パーフェクト』シリーズも、この第三作で完結します。アナ・ケンドリックの出世作となった第一作では、女の子たちの弾けたキャラに大笑い。ブリトニーらの超メジャーなヒット曲をアカペラで歌うのも新しく、ダサかっこよさが絶妙でした。第二作から加わったヘイリー・スタインフェルドは実際ポップ・スターになったほど。ただ『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』では彼女たちも大学を卒業し、新米社会人として冴えない毎日を過ごしています。その鬱憤を吹き飛ばすきっかけは、やっぱりみんなで歌って踊ること!

今回は南欧を舞台に、ライバルは楽器を演奏するミュージシャン。なんとアクションもあり、盛りだくさんですが、このシリーズでいちばん大事な「シスターフッド」は健在です。一緒に笑い、泣き、いざというとき支え合う友だちがいるからこそ、ひとりで頑張ることもできる。女性群像劇だとどこかに「足の引っ張り合い」や「裏切り」みたいな要素が入りがち。でも、べラーズのそうじゃない関係性にずいぶん元気をもらったんだなあ――と、スタッフにも女性が並ぶエンド・クレジットを見ながらジンとしました。ラストの重要曲はジョージ・マイケルの“フリーダム'90”。女の子たちよ、自由であれ!

『ピッチ・パーフェクト ファイナルステージ』
監督/トリッシュ・シー
出演/アナ・ケンドリック、レベル・ウィルソン、ヘイリー・スタインフェルド
10月19日、TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国ロードショー

映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。

 

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