[vol.10] みんながガリ痩せじゃなくていい!プラスサイズのコメディエンヌがマルチに活躍して、大人気!

日本では太めの女優の主演作はヒットを見込めないせいか、アメリカで大人気のメリッサ・マッカーシーやエイミー・シューマーの映画は未公開だったりして、情報はかなり薄い。この2人、ニューヨークのクラブでスタンダップコメディアンとして下積みをした経緯や、脚本もこなし、舞台、映画、テレビで大活躍。ともにエミー賞を受賞して、ゴールデン・グローブ賞、アカデミー賞などにもノミネートされるほどの実力派なのだ。


なんといっても、しゃべりのうまさね。メリッサよりも10歳若いエイミーは、下ネタもバンバンいうけど、冗談と本音の絡め方が絶妙。同性からは友達になりたいと思われるだろうし、彼女を本気で愛する恋人(家具デザイナーのベン・ハーニッシュ)を、エイミーの大親友ジェニファー・ローレンスが絶賛。彼は信頼に値する人物に違いない。

要するに、彼女たちの仕事や人柄に共感を覚えて、その太りぎみな外見を含めて好きになってしまうってこと。「ありのままの私」ってことばをよく聞くけれど、ただその肥えぎみの体を差し出しているんじゃないのよね。彼女たちの志の高さっていうのかな、プロとしての笑いを表現してくれる肉体ね。それが丸ごと好き、みたいなことだよね。

エイミーもメリッサも、「ハリウッドは痩せているってことだけに固執しているけれど、自分のボディタイプはそうじゃない」と断言。メリッサは自分のファッションブランドも持っていて、いつもチャーミングだし、エイミーに至っては、コメディエンヌでは初の米『ヴォーグ』誌のカバーを飾っている。METガラにも堂々と登場していたエイミーを見ていると、プラスサイズというより、いつでもどこでもエイミーそのままだ。いろんな体型のセレブがいて当たり前。その方が、世の中楽しいに決まってると思わせるのだ。

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

https://twitter.com/michikaishikawa

 

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