[voi.99] ファッション界の女王アナ・ウィンターさまの超フツーな かっこうを見て、今が非常事態なのだと実感する!

新型コロナウイルス蔓延による世界的な「ステイ ホーム」の状況にあって、おしゃれもへったくれもない日々。春の陽光を窓越しに見ていると、きれいな色のお洋服で外に飛び出したいところだが、行く先は近所のスーパーか公園だけ。マスクと花粉症対策のサングラスをかければ、メイクすら必要なし。楽といえば楽だが、おしゃれと無縁の日常は味気ないものだ。海外のセレブといえども、撮影もライブもエンタメ活動全般が休止状態で、彼女たちがスーパーに買い出しに行くかっこうはデニムかスウェットで一般人と同じようなもの。このパンデミックな世の中にあって、着るものにかまっちゃおれん感がひしひしと。 

そんな状況の中、あのファッション界の女王、アメリカンヴォーグ誌編集長のアナ・ウィンターまでもが、世にも珍しいボーダーニットにデニムという超カジュアルなかっこうでインスタにアップされた。アナ自身のビデオ投稿によると、彼女の医者の息子(35歳)がニューヨークのICUで勤務中に新型コロナに感染してしまったが、彼は回復次第すぐに仕事に戻る予定だという。自分の息子を誇りに思うと結ぶアナ・ウィンターは、もはやウィンブルドン選手権ですら花柄ワンピースに重ね付けしたネックレスという彼女の定番スタイルからほど遠い、そこらのお母さんとおんなじファッション。驚きました。家の中でも女王陛下と一緒でもサングラス、という頑なさは相変わらずでしたが、あまりに小ざっぱりとしたその服装から、まさに非常事態の今を私は悟ったわけです。  

世界中が、今が我慢のしどころジミに家に留まっているわけだが、命あっての色々な楽しみは、少し先までとっておこう。まさに生きてるだけで丸儲けだと思えば、自由に息を吸ったりはいたりできる自分が幸せだと感じられるはずだから。 

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イラストレーター&エッセイスト 石川三千花

映画、ファッションを独自の視点からイラスト+エッセイで斬る!著書に『石川三千花の勝手にシネマ』、『勝手にオスカー』など。

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