2017.12.15

モードガールに愛されるアイコン、MØ(ムー)のポップソング

interview&text:Hiroko Shintani photography:Takehiro Goto

パンク・スピリットを備えたダンスポップで、まずは地元デンマークでブレイクしたのが2013年のこと。その後、メイジャー・レイザーの大ヒット曲『Lean On』(2015年)にフィーチャーされたことをきっかけに、世界的なポップスターの仲間入りをした(ムー)が先頃来日。オシャレのセンスにも定評がある彼女は、自分のアーティスト・グッズのスウェット・シャツをカットオフし、PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKEのパンツとスタイリングして颯爽と現れ、気さくなトークを聞かせてくれた。



TOKYOの好きなところ

――来日は2016年のサマソニに続いて2回目ですね。東京の印象はいかがでしょうか?

そうなの。昔から日本独特の美意識とかファッションについてすごく興味があったから、去年初めて来た時は本当に興奮したわ。なぜか私は勝手に、静かで穏やかな感じの国を想像していて、東京の街のとほうもないエネルギーにビックリしちゃったけど(笑)。

――特に好きな場所はある?

原宿のキャット・ストリートが大好き。今回もショッピングのための時間をたっぷりとってあるわ。私がミュージシャンとしても尊敬する元ソニック・ユースのキム・ゴードンのブランド、X-girlのショップもあるし、前回来た時にスタッフと仲良くなったの。ほかにもTOGAとか、お気に入りの日本のブランドもチェックするつもり。

 

ヘアスタイルとファッション

――あなた自身のファッションのこだわりは?

基本的にはボーイッシュとガーリーのミクスチャーかな。そこに、パンクでエッジーな要素と、スポーティな要素も混ざってる。最近髪を切ったんだけど、ヘアスタイルがボーイッシュになった分、以前よりフェミニンなファッションでバランスをとっていて、私らしいスタイルでセクシーさを表現できるようになった気がするの。

トップスは彼女のオリジナルグッズから、パンツは「プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ!」

 

北欧ならではのポップ

――パンクといえば、今ではポップの世界で活躍していますが、若い頃はパンクバンドで歌っていたんですよね。

ええ。元々パンクロックもポップ・ミュージックも同じくらい好きだったの。で、最初はパンクバンドでシンガーを務めていたんだけど、ひとつの実験として、叫ぶんじゃなくてちゃんと歌える曲を作り始めたら、そっちが楽しくなったってわけ。だから今も、大勢の人にアピールすることを意識しながら、自分なりの主張があって、聴いた時に耳に引っかかるような曲を作っているつもりよ。あたりさわりのないポップスターを演じるのは、私には無理だから(笑)。

――北欧のアーティストはそういう、キャッチーだけどヒネリがあるポップソングを作るのが得意ですよね。

そうね。ほら、プロダクトのデザインにしても、北欧のブランドって、使いやすくて手頃なんだけど、どこかオシャレでカッコいいモノを作るじゃない? 多分音楽もそれと同じ感覚なんじゃないかな。

 

新曲について

――10月にEP『When I Was Young』を発表しましたが、これはどんな作品?

本当はそろそろセカンド・アルバムをリリースしなくちゃいけないんだけど、もう少し時間がかかりそうだから、その前に何か新しい曲を聴かせたかったの。みんなが知っているアゲ系の私とはひと味違う、ダークな面も披露しているわ。

――ゲストシンガーとしても引っ張りだこで多忙なあなたですが、オフの日はどんな風に過ごしていますか?

まず、ゆっくりお風呂に入ってたっぷり睡眠をとるわ。それから運動することも好き。からだにいいことは、常に意識して取り組んでいるの。あとは、頭をからっぽにしてネットフリックスでテレビ番組を見まくるのが、最近のパターンね。特に『ル・ポールのドラァグ・レース』にハマっているわ(笑)。

 

 

編集Iのインタビューのぞき見話

★シュプールを渡すとその場で楽しそうに読んでくれたムー。表紙のエリカ・リンダ―については「She is so coooool!」とのこと。
★写真撮影の際には特に指示を出さなくても自由にアクティブに動いてくれる。彼女のユニークなPVを彷彿とさせる、アーティな動きにドキドキ。
★カットオフしたスウェットのトップスからあえて黒いアンダーウェアのレースを見せるスタイリングは斬新。さすがファッション・アイコン!!

 

INFORMATION

『When I Was Young』
ムー

配信限定リリースEP(全6曲)
(配信限定/ソニー・ミュージック)

10月末にお目見えしたMØの最新作。ここ数年間にすっかり“EDMディーバ”のイメージが定着した彼女が、少しダークな表情も披露する、実験的な内容の6曲入りEPだ。ジャズやソウルの影響を感じさせるダウンテンポなサウンドに乗せて、シンガーとしての実力もぞんぶんに見せつける。

 

Profile

1988年、デンマーク生まれ。本名カレン・マリー・エルステッド。10代の時からパンクバンドで活動したのちに、としてソロ・デビュー。2014年にファースト・アルバム『No Mythologies to Follow』をリリースする一方で、アヴィーチーやメイジャー・レイザーといった人気ダンス・アーティストたちにゲストシンガーとして起用されて、一気に知名度を上げた。

 

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