ベルリンから羽ばたく新星モデル Akari Higashi、世界へ

世界を舞台に活躍するアップカミング・モデル。名前はAkari Higashi、17歳。どこの国にいても自分らしいペースを貫く姿は“シン・人類”な可能性を秘めている。セリーヌの2021年春夏コレクションにも出演し、よりフィールドを広げる彼女から、めまぐるしく変化する世界を生きるヒントを学びたい。

いつだってオリジナルが鉄則

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理想のアイコンは持たず、自分らしいオリジナルなスタイルが定番というAkariさん。装いへのこだわりは、アクセントカラーを加えること。プラダのセーターにヴェロニク・ブランキーノのベストをオン。大好きなブランディ・メルビルのブラックデニムパンツと合わせることで、シックにまとめた。家族が集まるリビングルームには植物やデザイナーズ家具がずらり。ここではよく仲よしの弟妹と一緒にボードゲームをして遊んでいる。

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親子であり、モデル仲間
チャンピオンのゆったりしたTシャツとブランディ・メルビルのフーディを重ねてコージーに。アーバン・アウトフィッターズのパンツと合わせてカジュアルに着た。家ではリラックススタイルが多く、オーバーサイズでボーイッシュな装いを楽しんでいる。ときどき母・日登美さん(左)の服を借りることも。家では一緒にごはんを作りながら過ごすことも多い。「小さい頃から穏やかに見えて芯の強い娘。そのままの姿でこれからも世界を楽しんでほしいですね」(日登美さん)

Akari Higashi
2003年、東京都生まれ。モデルの日登美さんを母に持ち、現在はドイツ・ベルリン在住。2019年にベルリンのモデル事務所「VIVA Models」に所属し、活動をスタート。日本では「Bravo Models」に在籍している。Instagram: @akarihigashi

 

モデル活動を始めて1年。16歳でセリーヌ・ガールに

 Akariさんがモデルを始めたきっかけは、母・日登美さんのすすめだった。2018年の夏、日本への一時帰国中に母の所属していた事務所にお願いして撮影に参加。これを機に、’19年の夏にベルリンの事務所に所属し、本格的に活動をスタートした。
「最初はモデルに興味はなかったんですが、前から写真を撮られることは好きで。自分で鏡を見るのと、写真を撮られた自分では違うじゃないですか。でき上がった写真を見るときのワクワク感が好きなんです」
 2020-’21年秋冬シーズンではROKHのランウェイを歩き、パリコレクションにデビュー。その後、セリーヌの’21年春夏シーズンにも出演し、まさに今躍進中の存在だ。
「正直、オーディションではデザイナーのエディ・スリマンを前に緊張してしまい、自信がなかったんです。だからベルリンの空港へ着いたとき、今季の専属契約の通知が来て、本当に驚きました」

 

日本、ブラジル、ベルリン。文化の異なる3カ国での生活

 家族の転勤に伴い9歳のときに日本からブラジルへ、11歳で現在のベルリンへ。
「ブラジルでは、とてもアクティブな毎日でした。自宅近くのプールで、よく弟と泳いでいましたね。大自然の中、愛犬と一緒に走り回ったり、虫捕りをして遊んだり。その頃はモデルになるなんてまったく考えていなくて。ケーキを作ることが好きで、パティシエになりたかったんです。今住んでいるベルリンは、昔の建物やオーガニックな食べ物が多いところが好きですね。あと、ここでは地球環境や動物愛護に関するデモも日常的に行われているし、自由に自分の考えを伝えたり、選ぶことができる。とてもフリーな街だと思います」
 言語や文化が違う国へ移り住むことに葛藤はなかったのか。Akariさんの回答はいたってポジティブなものだった。
「毎回新しい言葉を学ぶのは大変だけど、国によってカルチャーやキャラクターが違って本当に面白いんです」
 現在は日本語、ドイツ語、ポルトガル語、英語の4カ国語を操るマルチリンガル。家族間でも、話す言語を使い分けている。
「双子の弟たちとはポルトガル語で会話しています。日本語もできるんですが、なんだかニュアンスが違うなと思って。よく4カ国語が交ざっちゃって、今もこうやって日本語で話すと言葉がうまく出てこないことも。そういうところは大変ですね」
 現在は、アビトゥア(大学入学資格試験)を目指して、自宅では勉強の日々。趣味で絵を描いたり、毎朝のヨガや友達と散歩をしたりして過ごしている。

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お気に入りのアイテムをいつもの場所で
よく散歩で通るという近所の橋にて。コーディネートの主役は、DJのペギー・グーが手がけるウィメンズブランド、キリンのスウェット。2020-’21年秋冬コレクションのルック撮影時にデザイナーのペギー本人からプレゼントされた思い出の一着で、愛用しているお気に入り。ガーリーなスタイリングは、全体を黒でまとめることでぐっと引き締まった印象に。

 

背中を押してくれる母と、大事なアイデンティティ

 Akariさんにとって母の存在は大きい。最近は一緒に撮影する機会もしばしば。
「同じ現場にいると安心するし、何より楽しいです。カメラの前に立った姿を見ると、やっぱりプロのモデルだなと思って、圧倒されますね。自信がないときに励ましてくれるし、撮影時の姿勢やポーズといった立ち振る舞いについても教えてくれます。親子でモデルができるなんて思ってもみなかったので楽しいです。この仕事を始めてやりがいを感じるのは、撮影した作品ができ上がったとき。昨年はベルシュカの広告モデルを担当しました。実際に店頭で映像やビジュアルを友達と一緒に見たんですが、みんな喜んでくれて。うれしかったですね」
 まさにグローバルに未来を切り拓くAkariさんが大事にするのは、“マイペース”。
「私は周りからいつもいろんな意味で『マイペースだね』と言われます。それで最近自分でも究極にマイペースなんだと気がついて。幼い頃から変わっていないし、住む国が変わっても同じ。『自分とは何者か?』とは、実は今まであまり考えたことがなくて。どこにいても、自分の感じるように生きるのが一番だと思っています」
 自分らしさをナチュラルに貫くことがAkariさんの持つ魅力であり、強さなのかもしれない。多様な可能性を秘めた、彼女の挑戦はまだ始まったばかりなのだ。
「今はなかなか撮影ができないので、またこれまでのように再開できればうれしいですね。もちろんランウェイも歩きたいですし、日本でも撮影したいです!」

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人気ショップが立ち並ぶ繁華街、ハッケシャー・マルクトにある、海外セレブからも人気のカジュアルブランド、ブランディ・メルビルのショップ前で。よく友人たちとショッピングに訪れるというAkariさんの大好きなスポットだ。カーハートのフーディとNIKEのスニーカーでまとめたストリートライクな着こなしに、差し色で加えたイエローのバケットハットでポップなムードをひとさじ。

 

私のデイリー・スナップ

普段から写真を撮るのが好きだという、Akariさん。モデルと学業を両立する彼女のプライベートを、コメントとともにお届け。

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(右)2020年9月、セリーヌのキャスティングに呼ばれて、フランス南東部のニースへ。この日はさらに別の撮影のキャスティングもあって大忙し。ハードなスケジュールをこなした夕暮れどき、同行していたマネジャーと束の間の散歩中に撮影した一枚がこちら。実は、マスクをはずせたのはこのときだけ。ヨーロッパは新型コロナウイルスの影響で、仕事の移動がまだまだ大変だった。
(左)近所に住んでいる仲よしのクラスメイトとお散歩するのが日課。ドイツ人は散歩が好きで、よくあてもなく街を歩き回っている。あと、私のクラスは男女関係なくみんな仲よしで、以前はグループで料理やお泊まりをしたことも。

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(右)2020年10月、モナコで行われたセリーヌの2021年春夏コレクション。会場ではカイア・ガーバーをはじめ、憧れのモデルたちに会えて、いい刺激に。実はこのショーで着用したジャケットは総ビーズで重さはなんと約7キロ!暑い中、広い競技場を歩くリハーサルは大変だったけど、忘れられない思い出になった。
(左) 2020年9月、エディトリアル撮影にて。いろいろな スタイリングを楽しんだけれど、この日特にお気に入り だった服が、大好きなブランドのミュウミュウ。本当に可愛くて、バックルームでついつい自撮りしちゃった。この撮影で履いたスタッズのついた靴も欲しかった!

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(右)2020年8月、この日は私の誕生日。学校帰りに仲よしの3人とH&Mの試着コーナーで撮影した一枚。友達がスタイリングをして、指名された人がそれを着るっていうルールで遊んでたんだけど、すごく盛り上がって楽しかった! このあと大好きなタピオカを飲みに行ったんだけど、私は誕生日ってことでみんなにご馳走してもらったの。タピオカはベルリンでも大流行。
(左)2020年3月、ロックダウン前のベルリンで、6人きょうだい全員で記念撮影。姉(右)は今日本に住んでいるからめったに全員揃わない。双子の弟たち(左と奥)と、5歳の妹(右から2番目)と7歳の弟(右から3番目)とみんな仲よし。全員日本語も話せるけれど双子とはポルトガル語、小さな弟妹とはドイツ語、姉とは日本語で会話してる。

SOURCE:SPUR 2021年5月号「ベルリンから羽ばたく新星モデル Akari Higashi、世界へ」
photography: Rie Yamada edit: Yukiko Yamane