【BTS東京ドーム公演レポート2026】7年分の想いが交差した夜──「おかえり」に全力で応えた渾身ステージと「また来ます」の約束 #BTS #BTS_WORLDTOUR_ARIRANG

「おかえり」に全力で応え、「また来ます」と約束した夜。兵役とソロ活動を経て完全体として再始動したBTSが、2026年4月17日、東京ドームで『BTS WORLD TOUR 'ARIRANG' IN JAPAN』を開催した。韓国・高陽公演を皮切りに世界34都市・全85公演を巡る本ツアーは、グループ史上最大規模。7年分の時間と経験を重ねた7人が、7年待ち望んだARMYの前で見せた渾身のステージをレポートする。

「おかえり」に全力で応え、「また来ます」と約束した夜。兵役とソロ活動を経て完全体として再始動したBTSが、2026年4月17日、東京ドームで『BTS WORLD TOUR 'ARIRANG' IN JAPAN』を開催した。韓国・高陽公演を皮切りに世界34都市・全85公演を巡る本ツアーは、グループ史上最大規模。7年分の時間と経験を重ねた7人が、7年待ち望んだARMYの前で見せた渾身のステージをレポートする。

INDEX

7年ぶりのBTSに、開演前から熱気に包まれる東京ドーム

ブルーの光の中で「SWIM」と歌うBTS7人

(P)&(C)BIGHIT MUSIC

BTSが日本でパフォーマンスを行うのは、2019年以来、実に約7年ぶり。世界中のファンが「チケットが取れない!」と悲鳴を上げるほどの状況の中、迎えた東京初日。埋め尽くされたARMY(ファンの呼称)は、開演前からただならぬ熱気と高揚感に満ちている。まだBTSメンバーは姿を見せていないにもかかわらず、7年分の想いが会場全体を包み込んでいた。オンラインやスクリーン前で待機していたARMYも同じ感情だったことは間違いないだろう。

会場中央に設置されたのは、360度開放型のメインステージ。そのモチーフとなったのは、朝鮮王朝時代に王が国賓を招き、祝いの宴を開いた「慶会楼(キョンフェル)※1」。昔と今をモダンな演出でつなぐステージ構成だ。

上に掲げられたワイドスクリーンには、水墨画のようなタッチの絵とハングルの書。韓国の伝統音楽を思わせるBGMも相まって、開演前から「ARIRANG」の世界観へと誘われる。

※1:BTSがカムバック公演を行った光化門の後ろに建つ景福宮(キョンボックン)内にある楼閣

「本当に会いたかったです」── 7年分の渇望が熱狂に変わる、宴の幕開け

Jung Kook自信が考えタラップを披露

Jung Kook (P)&(C)BIGHIT MUSIC

開演時間が近づくにつれて大きくなる「BTS! BTS!」という掛け声の中、大きな旗を掲げて走る一人のダンサーがステージへ。花火が上がる中、j-hopeのヴァースでスタートする「Hooligan」でステージが幕を開けた。メンバーひとり一人の顔が画面に映し出され、そのたびに大歓声が上がる。王者・BTSの帰還を祝う宴が始まった。

「ハハハハハハハハハハハハハハ、フーリガン!」意外にもJung Kookが考えたという、このユニークかつ難易度の高い「ハ」の連続を歌いこなすラップライン(ラップ担当メンバー)、そして会場のファンたち。ビートに合わせて上がる火柱がさらに高揚感を高める。アルバム通り、続く曲は「Aliens」。ケンドリック・ラマーの「Humble」の制作でもおなじみ、マイク・ウィル・メイド・イットの重厚感あるビートが体の芯にもビシビシ伝わってくる。

「共に走り続けよう」素足で駆け抜けてきた7人の、不変のアイデンティティ

会場の3階まで、天を見上げるSUGAR

SUGA (P)&(C)BIGHIT MUSIC

3曲目に披露されたのは、新譜からではなく「Run BTS」。2022年にリリースされたAnthology Album『Proof』に収録されている。「論峴(ノニョン)」という、彼らが練習生時代を過ごした街での過酷な日々、そこから上り詰めるまでの努力。 “素足で走ってきた”BTSのアイデンティティが垣間見える、ファンにとっても特別な曲だ。2026年のステージで歌う意味、それは「これからもお互いを鼓舞し合いながら、共に走り続けよう」というメッセージなのかもしれない。

1回目のトークコーナーは、全員が流ちょうな日本語でメッセージを届けた。

RM「東京、叫べー!」

Jung Kook「東京ドームに帰ってきました。本当に会いたかったです」

V「たくさんのARMYが来てくれましたね」

Jimin 「久しぶりの新しいツアーがスタートして、わくわくしています」

SUGA「今回はいくつかの新しい挑戦をしました。少し慣れなくても、最後まで楽しんでくれたら嬉しいです」

Jin 「全力で遊べるARMY、メイク・サム・ノイズ!」 会場全体で大歓声!

j-hope「みんな後悔しないように、楽しんでいきましょう」

続いて披露されたのはVの愁いを帯びたボーカルから始まる「they don't know 'bout us」。画面中央には、韓国の伝統的な演劇に使われるお面(タル)が浮かび上がり、小型スクリーンを手にしたダンサーがメンバーをとり囲む。視線を遮り、断片的な映像を突きつけるその演出は、社会から向けられる偏見やゴシップなどに対するアンチテーゼを表現しているようだ。続く「Like Animals」へ引き継がれていく。

2026年のドームに響く、「FAKE LOVE」の掛け声

赤いライトの中「みんな一緒に!」と叫ぶJimin

Jimin  (P)&(C)BIGHIT MUSIC

「みんな一緒に!」というJiminの呼びかけで、ライブ前半で一番、というほど大歓声が上がったのは、代表曲の一つでもある「FAKE LOVE」。これまでのライブでも外せないテッパンであり、久々のパフォーマンスを待ち侘びていたファンも多かったことだろう。会場中に響き渡る、「FAKE LOVE!」というファンの掛け声は圧巻であった。音楽はそこにいる人々をひとつにし、ライブとは“アーティストとファンがともに作り上げるもの”だと改めて実感する。

幻想的な青い光と白い布、そしてステージに浮かびあがる光の波。「SWIM」の始まりとともに東京ドームが一瞬で水中となった。アルバム同様に、このリード曲をライブの中間に持ってきた理由はこの曲が持つ、“究極のフラットさ”にあるのではないだろうか。激しさや強い主張がないからこそ、その世界観に没入できる。「FAKE LOVE」で加熱しきったドームの空気の中を、ふわり泳ぐような7人のパフォーマンス。どんなに「世界のスター」と讃えられても、本来の自分を見失わずに「韓国から来た田舎者たち」を自称し、淡々と我が道を進む。そんな彼らの姿を投影した曲なのかもしれない。

そして、ボーカルラインの美しいファルセットが魅力の「Merry Go Round」が続く。回転するステージの上を歩きながら、7人が噛み締めるように歌い、語りかけるようにラップし、前半は幕を閉じた。

進化した「Not Today」と不変の「ミアネ、オンマ~!」

汗が滴り落ちるV

V (P)&(C)BIGHIT MUSIC

映像が流れ終わると、赤と青の布をまとったダンサーたちが登場する。ステージ上に浮かび上がったのは、韓国の国旗の中心に描かれている「陰陽太極図」。そのダンサーの輪の中から、7人が姿を現した。後半は「2.0」からのスタートだ。重低音が身体の奥まで心地よく響き渡り、メンバー全員がそろって踊る迫力あるダンスパフォーマンスに、会場から大きな歓声が上がる。続く「NORMAL」では、RMの「全員手を挙げて! 2階も、3階もレッツゴー!」という呼びかけを合図に、ドーム全体が一斉に揺れた。

「準備できた? 次の曲は一緒に歌ってください」とうい短いMCを挟んで披露されたのは、防弾少年団時代のヒット曲「Not Today」だ。「ON」や「DNA」に並び、メンバー本人たちが「キツイ」とこぼすほどの難易度の高い激しいダンスで、彼らのパフォーマンス能力の高さを世界に知らしめるきっかけにもなった。今回の公演では大人の風格を感じるアレンジに。対してそこから続く「MIC Drop」はダンスも含め、ほぼ原曲通り。キラーフレーズ「ミアネ、オンマ~(ごめんね、ママ)」はドーム外にも届くような大合唱となった。この瞬間を心待ちにしていたファンも多かったことだろう。

2つの「ファイヤー」が共鳴! BTSの“魂”と“進化”を刻んだ神メドレー

7人で歌い踊る「FYA」

(P)&(C)BIGHIT MUSIC

7人が真ん中で円陣を組み、始まったのは「FYA」。4つのサイドステージにメンバーが分かれて、パフォーマンスを見せる。絶え間なく上がる火柱と、揺れるフロア。東京ドームが“Club go crazy”状態となった中、シームレスに始まったのは、やはり「Burning Up (FIRE)」。コレをステージで披露することを見越して、同じく「ファイヤー」と読む曲を2026年に作ったのではないか?と思わせるほど完璧な流れだった。10年前の名曲と新曲がまるで兄弟のようにリンクする。ミュージックシーンのトップに君臨しても“あの頃の姿勢”は忘れない──BTSの神髄が覗く新旧メドレーだった。

ハードな楽曲が続いた後は“お水タイム(RM命名)”に。少しホッとした表情の7人がそれぞれペットボトルに手を伸ばす。「ARMYのエネルギーが完璧! 最高です」とJinが笑顔を見せた。

理解ではなく、体感──東京ドームに満ちた確かな一体感

ARMYを見上げながら、感情が高ぶっている様子のJin

Jin  (P)&(C)BIGHIT MUSIC

ブレイクも束の間、花火が上がると「Body To Body」が始まった。まるで再びライブが始まったかのように会場のボルテージが上昇する。Jinが認めた通り、この夜の観客のエネルギーは完璧で最高だった。『ARIRANG』の第1トラックであり、“裏タイトル曲”と言っても過言ではない。曲の終盤にはアルバム名の由来となった韓国の民謡「アリラン」が流れ、全体のテーマを最もストレートに表現している。ドキュメンタリー作品『BTS: THE RETURN』の中では、この民謡をどう扱うべきか議論されていたのを見た人も多いだろう。

ドーム中に響き渡る「アリラン」のシンガロングは圧巻としか言いようがない光景だった。悲恋を嘆く歌でありながら、この逆境を味わい尽くそうとする逞しささえも感じる。それは“アンダードッグ”として走ってきたBTSの根源にも通じるものだ。

ライブ後半の締めくくりとなる「IDOL」ではメンバーがステージからアリーナへ。ファンとより近い場所へ降り立ち、7人が大勢のダンサーとともにに練り歩くパフォーマンス。ファンたちの「オルッス チョッタ!」という掛け声も完璧だ。あえて日本語に訳すと「そーれ、よいぞ!」という意味の、韓国の伝統的な合いの手であり、まさに宴のクライマックスにぴったりの選曲である。2026年の“王者たち”が練り歩く、華々しいパレードで第二部を終えた。

5.5万人の「おかえり!」の声に、BTSから送られたファンソング

レインボーの光に照らされ、ステージと一体化して熱狂する会場

(P)&(C)BIGHIT MUSIC

幕間のARMY TIMEでは会場のファンたちのメッセージボードが次々と映し出される。子どもから「77歳のARMY」とボードを手にしたかたなど、幅広いARMYの姿がそこにあった。あるファンが掲げた「おかえりの声を届けませんか?」の文字に4万人の「おかえりー!」がドームにこだまする。まさに日本のファンがBTSにずっと届けたかった一言だ。

会場が暗転し、一面が紫のライトで埋め尽くされると、BTSが再び登場。『ARIRANG』のDeluxe Vinyl盤にのみ収録されている「Come Over」を披露した。SUGAが「僕の曲です! 以上!」とコメントした通り、彼がプロデュースした“隠しトラック”で、RMと j-hopeも制作に関わっている。ラップラインの3人が紡ぐ、温かなファンソング。思わずキュンとなる歌詞が魅力だ。

「犬のポチでも知ってる」メガヒット曲から、日本オリジナルソングまで

サングラスをかけラップを刻むRM

RM  (P)&(C)BIGHIT MUSIC

続いて、RMのユーモアあふれる曲紹介にドッと笑いが起こる。「みなさんの家の隣の犬のポチでも知ってる曲です」。ビルボードHOT100でほぼ10週連続1位の「Butter」と、全世界でメガヒットした「Dynamite」だ。“ポチでも知っている”持ち歌を複数持っていること、それがBTSのブレイクがまぐれではなかったことを証明している。一度頂点に立ってしまった者が抱えるプレッシャーと重圧、それらを克服したように、晴れやかな笑顔でパフォーマンスする7人。韓国公演での緊張感あふれる表情から一転、少し肩の力が抜けたような軽やかさを感じたのは筆者だけだろうか。

「ARMYは何が聴きたい?」「次は何がいい?」会場からさまざまな曲名が上がる中、始まったのは懐かしい「Save ME」だった。クオズ(95年生まれのJimin 、V)の息の合ったダンスに歓声が上がる。つられて踊りだすJung Kookに、最後は全員でダンスを披露。そこから続いたのは日本オリジナル曲の「Crystal Snow」。ステージで披露したのは2018年のファンミーティング以来ではないだろうか。完璧な合唱で応えたARMYの記憶力、そして長い日本語ラップを歌いきったRMの実力に拍手を送りたい。そして日本語の歌詞に呼応しながら、BTSからのBIGHUGを受け取ったかのような感覚が広がる。息が詰まるほどの愛情が、まっすぐに伝わってきた。まさにARMYたちの「おかえり」に対する、「ただいま」のようなステージだった。

「これからは日本にたくさん来ます」「ARMY、僕と付き合って?」

せり上がったステージに腰を落ち着けたBTSメンバー

(P)&(C)BIGHIT MUSIC

ほとんどのステージを終え、リラックスした表情の7人が思い思いに語り始める。

SUGA「久しぶりに東京ドームに来たら、昔に戻った気持ちになりました。また頻繁に来たいと思います」

Jung Kook「チンチャ(本当に)会いたかったよ! 本当に日本に来たかったのに、忙しくて来られず、申し訳なかったです。今日は皆さんからたくさんパワーをもらいました。できる限り、たくさん来ることをお約束します」

そしてカメラにズームアップされたJinが投げキッスをすると「キャー!」という黄色い歓声が会場に響いた。「この時間を待っていました。僕の愛を込めた投げキッスをお届けできる瞬間を」「もう一度受け取りたい人は、次のライブにも来てくださいね」

また日本でBTSのライブが見られる日は、そう遠くはないかもしれない。そう期待させてくれる言葉が続く。

RMはコロナ禍以降、プライベートでたびたび日本を訪れていたという。「街を歩きながら、日本の皆さんはこんな景色を見ながら暮らしているんだなと考えました」と、旅行中も日本のARMYに思いをはせてくれていたようだ。

Vは「僕たちは友達だから、タメ口で話すね」と前置きし、「このお店、絶対行ったほうがいいよとか、このジャズバーはめちゃ楽しいよ、という場所があったら僕にメッセージ送って」とコメント。そして最後に、「断ってください。ARMY……僕と付き合って? 断ってください」と、V流のARMYの心をくすぐるトークに大歓声。

「軍隊に行っている間に、日本語を全部忘れてしまった」と苦笑するJiminは、昨夜ホテルで書いたというくしゃくしゃになった手紙をポケットから取り出した。「久しぶりに見る皆さんは、相変わらず美しいです。これからはより多く、素晴らしい舞台を皆様にお見せできるよう努めて参ります!」と読み上げた。横にいたVに耳元で囁かれ、「付き合って!」とJiminも続くと、2人でうんうんと何度も頷いていた。それに応え、ARMYからは温かい笑いが溢れた。

「祖母も空から見てくれている」-hopeが秘めていた悲しみと、静かなる覚悟

会場赤一色の中、歌い上げるj-hope

j-hope (P)&(C)BIGHIT MUSIC

j-hope は最後に「韓国語で話したい」「重い話になってしまいますが……」と前置きし、これまで明かされなかった話を語り始めた。「日本に到着してすぐに、僕を育ててくれた(母方の)祖母が亡くなったという知らせを聞きました。驚き、動揺しましたが、メンバーと食事をして、リハーサルをする中で心を落ち着かせました」「きっと祖母は今日の公演も空から見て、喜んでくれていると思います」

深い喪失を胸に抱えたまま、それでもステージに立ち、パワフルに魅せていたj-hope。ここまで何も語らず、ただパフォーマンスで示したプロ魂に、ARMYは静かに応えた。送ったコールや拍手は、j-hopeへのエールであり、天国にいる祖母へ捧げる想いでもあった。

濃密な3時間を締めくくった、夕焼け色の「Into the Sun」

ARMYで埋め尽くされたドーム全体の熱狂風景

(P)&(C)BIGHIT MUSIC

アンコールの1曲目は「Please」。ショーの終わりを惜しむかのように、7人がしっとり歌い上げる。そして夕焼けのようなオレンジの光の中、アルバムのラスト曲でもある「Into The Sun」でステージが締めくくられた。

「みんな、ありがとうございました!」「久しぶりに会えて、本当にうれしかったです!」そして最後はVが「なんでやねーん!」という謎の関西弁を残して、ステージを後にした。追加公演で「もしや関西……」と願ったARMYも多いかもしれない。今後の発表に期待したい。



【セットリスト】(4/17)
1.Hooligan
2.Aliens
3.Run BTS
4.they don’t know ’bout us
5.Like Animals
6.FAKE LOVE
7.SWIM
8.Merry Go Round
9.2.0
10.NORMAL
11.Not Today
12.MIC Drop
13.FYA
14.Burning Up (FIRE)
15.Body to Body
16.IDOL
17.Come Over
18.Butter
19.Dynamite
20.Save ME
21.Crystal Snow
22.Please
23.Into the Sun

 

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