芸人・かが屋 加賀が会いたい人を撮りに行く。第1回 西 加奈子さん

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第1回 西 加奈子さん 小説家

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加賀 お会いするのは6年前に、自由律俳句のライブで共演したとき以来ですね。

西 加賀さんの写真連載の初回ということだけど、私は写真を撮るのがすごい苦手で。写真って明らかに“何を撮らなかったか”がわかるジャンルやん? 小説も自分が世界をどう見ているかの表明のような気がする。加賀さんの『おおあんごう』を読んでから、かが屋のネタを見るとめちゃくちゃ納得するんよ。 こんなふうにこの解像度で世界を見てたんやなって。

加賀 僕はもともと文章を書くことがすごい苦手で、何かぎこちない感覚になるんです。でも写真は諦められるんですよ。時間や場所の制約があって、撮れなくても仕方ないから。逆に小説は、誰かに読んでもらったときに「わけわからん」って言われるかもと想像しちゃいます。

西 でもさ、読んでもらえている時点で手に取ってくれてありがとうやし、そういうふうに解釈してくれたんですね、ってかわせるやん?

加賀 スカしツッコミみたいな(笑)。西さんって、日常生活でスベることありますか?

西 ないよ(笑)。職業的にスベりようがない。書いたものを読んでもらうだけやから。酷評されることはあっても、私は無傷。でも、恥をかく瞬間がないのはコンプレックスでもある。しかもちやほやされるから、作家同士で「調子乗ったらあかんな」って言い合ってる。お笑いの場合は、笑いの量という絶対的な尺度があるよね。スベる怖さをちゃんと経験するってすごい。人間の一番かっこいい瞬間やと思う。

加賀 西さんの本には人間らしさや恥じらいみたいなものがにじみ出ていて、すごく好きです。どんな人がこんなおもろい文章書いてるんだと思って写真を見たら、めっちゃニコニコ(笑)。

西 夏目漱石みたいな賢い感じの写真はないね。作家のパブリックイメージも変えたい。

加賀 ハッピーで、カウンター感がありますよね。ただ、そんな西さんでも撮影で小ジャンプを求められたことはないだろうと思って、今日はたくさん跳んでもらいました!

西 確かになかったし、加賀さんも一緒になって跳んでたで(笑)。

加賀 翔プロフィール画像
加賀 翔

1993年、岡山県生まれ。バラエティやラジオで活躍するほか、カメラ好きが高じ、写真の仕事も増加中。最近、左目まわりにやたらニキビができて困っている。カメラをのぞく際に当たっているようだが、自覚がないので怖い。

西 加奈子プロフィール画像
西 加奈子

1977年、イラン・テヘラン生まれ。2004年に小説家デビュー。情感豊かな人間模様と独自の言葉のセンスで評価を集め、数々のベストセラーを発表。2024年、『くもをさがす』(河出書房新社)で読売文学賞を受賞。