6年越しのリベンジが実現した『The Blow Your Mind TOUR 2026』
SuchmosとFujii Kazeのコラボステージの様子。
コロナ禍により2020年に中止となった『The Blow Your Mind TOUR 2020』。6年越しのリベンジとなる今回のツアーには、IO、GLIM SPANKY、くるり、長岡亮介、cero、ハナレグミ、GRAPEVINE、The Birthdayといった面々が出演した。
Suchmosのギタリスト・TAIKINGは、Fujii Kazeのライブやレコーディングにサポートギタリストとして参加している。また、SuchmosとFujii Kazeには、かつてHonda 「VEZEL」のCMソングとしてそれぞれ「STAY TUNE」「きらり」を手がけたという共通点もある。
序盤からボルテージ最高潮のFujii Kaze
Fujii Kaze
スタジアムや国内外のフェスなどでグローバルに活躍するFujii Kazeが、国内のZepp会場でライブを行うのは今回が初めて。フロアはプラチナチケットを手にした観客の熱気に包まれ、バンドメンバーが音出しをするだけで大きな拍手と歓声が沸き起こる。
Fujii Kaze
「何なんw」のイントロが鳴り響くと、割れんばかりの歓声が会場を包む。Tシャツにラインジャージ、ビーニー、サングラスというラフな装いで登場したFujii Kaze。「何なんw」の終盤にはステージ中央のグランドピアノをスタンディングで奏で、そのまま「もうええわ」へ。初期の代表曲を立て続けに披露し、序盤から観客のボルテージを一気に引き上げた。
Fujii Kaze
Fujii Kaze
場内が真っ赤なライトに染まり、続いてはFujii Kazeの海外での知名度を一気に引き上げた楽曲「死ぬのがいいわ」。「まつり」ではスタンドマイクに向かい、踊るような手の動きやハンドクラップで観客と心をひとつに。Zeppのフロアが祝祭のようなムードに包まれた。
「Suchmosは日本の音楽を一気におしゃれにした人たち」
Fujii Kaze
「Suchmosが出てきた頃、私は岡山のただの青年でしたからね」と振り返ったFujii Kaze。「Suchmosは日本の音楽を一気におしゃれにした人たちだと思っていて。あれから日本でおしゃれなバンドが増えてきて、私もそれに乗らせてもらって……」と語ると、会場から大きな拍手が湧き起こる。そしてFujii Kazeは、「それでは聴いてください。『STAY TUNE』」とチャーミングなボケを交えた曲振りで盛り上げ、軽快なステップとともに「きらり」を披露した。
Fujii Kaze
ディストーションギターの音色から始まった「damn」に続き、「旅路」は8ビートのロックバージョン。普段は弾き語りやバンド編成、アコースティックなど多彩なスタイルで魅せるFujii Kazeだが、この日は大半の楽曲をハンドマイクで歌唱。ロックスピリットを色濃く打ち出したパフォーマンスは、Suchmosへのリスペクトの表れであったように感じられた。
Fujii Kaze
最後のパートでは、最新アルバム『Prema』収録曲を立て続けに披露。「You」「Okay, Goodbye」、そしてラストを飾ったのは、神聖な愛を歌う「Prema」だ。観客から大合唱が起こり、Fujii Kazeは「ありがとう。お歌が上手ですね」と微笑む。常に自然体でステージに立ちつつも圧倒的なスターのオーラを放ち続ける姿は“音楽に選ばれた人”そのものだった。
Fujii Kaze
Suchmosのライブは自由に楽しむ場
YONCE(Suchmos)
Fujii Kazeの素晴らしいライブの余韻に場内が包まれる中、ラグが敷かれ、ステージがSuchmos仕様に変身。YONCE(Vo)は深々と礼をしてから、「こんばんは、Suchmosです。お好きにどうぞ」とオーディエンスに呼びかけ、この場が自由に楽しむ空間であることを提示する。
Suchmos
幕開けを飾ったのは、デビュー時からの代表曲「Pacific」。波がたゆたうような心地よいサウンドが響き、照明が爽やかなミントグリーンに染まると「MINT」へ。YONCEが「このツアー最後のチャンスです。歌うことは好きですか?」と問いかけると、ミラーボールがドラマチックに回転し、観客から大歓声が上がる。ハンズアップして音に身を委ねるオーディエンスを、YONCEは愛おしそうに見つめていた。
TAIKING(Suchmos)
社会への鬱憤を歌った「Alright」では、エモーショナルなボーカルとコール&レスポンスが会場のボルテージを押し上げ、バンドは息ぴったりのユニゾンで観客を魅了。ファンキーなロックナンバー「DUMBO」ではYONCEが激しくヘッドバンギングし、耳をつんざくようなアンプのフィードバック音に合わせてライトがまばゆく点滅する。さらに再始動後にリリースした「Whole of Flower」「Marry」と続け、Suchmosの最新形を堂々と示した。
TAIHEI(Suchmos)
ここまでノンストップで駆け抜けてきた6人。MCではYONCEが上階へ視線を向け、それまでSuchmosの演奏を楽しみながらノリノリで踊っていたFujii Kazeに手を振る。
Ren Yamamoto(Suchmos)
そして18公演に及んだツアーを回顧。YONCEは9組の対バン相手について「みんなバラバラすぎて超面白かったですよ」と話しつつ、「『バラバラ最高だよね』っていうことを、今日は言いたいと思います。一応聞きますが、ひとつになっちゃったりしてますか? ぜひバラバラでお願いします。この地球は『いかにバラバラか』にかかっていると、俺は思っています」とコメント。その場に存在する全員の個性を讃えるようなメッセージを投げかけた。
全員が“バラバラ”だったツアーを回顧
Kaiki Ohara(Suchmos)
「ここから過激な表現が続きます」と予告して突入したラストセクションでは、メンバー全員が自身を解放するかのような演奏を披露。「YMM」ではTAIKINGの切れ味鋭いギタープレイとKaiki Ohara(DJ)のスクラッチが冴え渡る。
OK(Suchmos)
OK(Dr)がフロアタムで音頭のようなビートを刻むと、YONCEがFujii Kazeにアンサーするように「聞いてください、『きらり』」と曲紹介してからヒット曲「STAY TUNE」へ。YONCEはステップを踏んだり、観客を観察したり、Ren Yamamoto(Ba)とともにお辞儀をするなど自由なパフォーマンスで魅了した。
Suchmos
あらゆる属性の人々へ「Dance your dance!」という魂の叫びを届けた「GAGA」では、途中に激しいダンスミュージック調のアレンジが盛り込まれ、会場の熱気は最高潮に。そして世界中がサッカーに熱狂する時代の空気に呼応するように、2018年にNHKサッカーテーマソングとして使用されたアンセム「VOLT-AGE」で、Suchmos本編の幕をエネルギッシュに閉じた。
「さしずめ音楽界の大谷翔平!」
「Miree」を一緒に歌うSuchmosとFujii Kaze。
Suchmosのアンコールでは、2組の夢のコラボが実現。まずはSuchmosが再登場し、YONCEが「気の利いた何かを言おうと思っていたけど、忘れましたので……」と切り出す。バンドメンバーによるチルな演奏をBGMに“思い出しタイム”へ突入し考えを巡らせるも、最後まで思い出せなかったようだ。
YONCEが「あの人を呼んでいます。ピアノと歌を自在に操る、さしずめ音楽界の大谷翔平!」と紹介すると、Fujii Kazeがステージに再登場し、観客は大歓声で迎え入れる。
Suchmos
2組が披露したのはSuchmosの「Miree」。サビではYONCEとFujii Kazeが艶やかで渋みのある歌声を重ね、Fujii Kazeは「渋谷で待って」という歌詞を「羽田で待って」とアレンジ。さらにTAIKINGがギターソロでFujii Kaze「青春病」のフレーズを奏でると、Fujii Kazeもその一節を歌唱し、会場を沸かせた。この日限りのプレミアムなコラボレーションはTikTokとInstagramでもライブ配信され、世界中のファンがその瞬間を見守った。
Suchmos
Fujii Kazeがステージを去り、Suchmosがツアーの締めくくりに選んだのは、「誰のためでもなく 自分のために生きよう」と歌う「Life Easy」。温かな余韻を残す映画のエンドロールのように、そして1人ひとりの人生へ寄り添う讃美歌のように響き渡る。
Suchmos
最後にSuchmosは「楽しませてくれてありがとう。また楽しいことをしよう。この星のどこかで会いましょう」と感謝を伝え、「度肝を抜く」「圧倒する」というタイトル通りの熱狂が繰り広げられたツアーの幕を下ろした。