Part1:ダイバーシティを体現するアップカミング・モデル

誰かが決めた美の基準は通用しない。モードを切り拓く新鋭に直撃!

Mama Cax/ママ・カックス

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ありのままの自分を個性に。ゴールを常にアップデート

「誰にも話さなかった。ランウェイを歩くことに不安があったし、みんなが見ていると考えたら、もっと緊張してしまうと思って。その分、あまりの反響の多さに感動したの」と話すのは、ママ・カックス(@mamacax)。年前に本格的にモデルを始め、Chromat2019年春夏コレクションではランウェイデビューを果たした。14歳で骨と肺にがんが見つかり、右足を切断し、義足となった彼女は、自身の経験からありのままの自分を受け入れることの大切さを学んだという。「モデル業界のダイバーシティは広がっている。でも、オーディションのたびに、私が義足になった理由を話す必要はないと思う。病気を克服したのは私の一部で、すべてではない。今の姿を見て、平等に判断されるものであると思うから」

年前に始めたブログでは、The ALLELES Design Studioなどの前衛的なレッグカバーをアクセサリー感覚で着こなす、彼女の大胆でカラフルなスタイルが注目を集めた。現在は、旅行好きな彼女がドキュメントするトラベル・ブログとして進化している。「旅をテーマにしたブログが多数ある中、人種の違いや障がいがあっても安全に訪れることができるのかといった、知りたい情報を発信しているものはほとんどなかった。誰かと同じことをしても、埋もれてしまう。メディアは何であっても、自分らしいユニークな視点を提供する必要があると思う。オーセンティックなものは、決して色あせないから」

モデル、ブロガー、そして、心と体のバランスを大切に、多様な美の在り方を唱えるウェルネス・アクティビストとしても活躍の場を広げ、11月にはニューヨークシティマラソンに参加すると意気込む。新たなチャレンジに邁進し、ポジティブな魅力にあふれた彼女に秘訣を尋ねると、「目標を定めたら、スタートラインは今日ではなく、昨日だったと思うことにしているの。だからこそ、今すぐ取りかからないと!」

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1 ショッピングはオンライン派! ASOSのドレスはユニークなテキスタイルとデザインにひと目惚れ
2 「カラフルで遊び心のあるデザインがお気に入り」というミニドレスはZARA。靴は快適な履き心地でどんな装いとも相性のいいNYブランド、iRiを愛用3 Reformationのオールインワンには、ASOSのジャケットを合わせて。Poppy LissimanのサングラスやSTAUDのバッグなど、ポップな小物を合わせるのがカックス流

Mannat & Sirat/マナット&シラット

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常にひと足先のグローバルな舞台へ!わが道を行くインディアン・ツインズ

9歳でインドからマイアミに引っ越してきた双子のマナットとシラット(@mannatsirat)。彼女たちのモデル活動は、インスタグラムに投稿した何げない一枚のツーショットから始まった。「モデルについて両親は決して『ノー』とは言わなかった。でも『なんで?』と問われ、すぐには理解してもらえなかった」(シラット)。インドのファッションは、祖母も母も同じスタイルが基本。自由な見た目が当たり前のアメリカで生活を始めた頃は、文化の違いに戸惑った。「毎朝、ココナツオイルを塗って髪を結うのが習慣だったけど、『なんで髪がそんなにオイリーなの?』って学校でからかわれることもあった」とふたりは笑う。言葉の壁が気にならなくなった頃、自分たちらしい個性を表現することにも躊躇がなくなっていた。そんな彼女たちの転機となったのが、今年ローンチしたTHE MARC JACOBSのキャンペーン。「キャスティングに協力していた知人から連絡があって、ちょうど友達と集まっていたから、『またかけ直していい?』と聞いたら、『いや、大事な話だから!』って。急遽、翌日にシラットと空港で待ち合わせて撮影に直行したの」(マナット)。10組の双子のモデルを起用したビジュアルに出演して一躍脚光を浴びた。現在は、シラットは統計学を、マナットは広告を学ぶ学生でもある。アメリカではインド人の職種には偏りがあり、南アジア出身のモデルもまだまだ少ない。「ファッションでも何でも興味のある仕事を目指していいんだ、ということを伝えたい。それに、インドのデザイナーとも積極的にコラボレーションしていきたい」

1 モデルとして出演したSandyLiangのショー帰りのふたりをキャッチ。古着スタイルが定番

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2 (左・マナット)「中学生の頃からブレザーが一番おしゃれだと思って、大きいサイズも集めていたの。最近やっと活躍するときが来たんだ」(右・シラット)「ユニークなデザインのバイクシャツは、私たちの生まれた1997年のものなの!」

Maxima/マキシマ

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しなやかにメッセージを発信するトランスジェンダーモデルの新星

「子どもの頃から憧れていたモデルという職業。今は、ただ洋服を着るだけでなく、自分の声を届ける役割も担っていると思う」。LGBTQ+に特化したモデルエージェンシー、ニューパンデミックスに所属するマキシマ(@maxima_cortina)。今年1月に本格的にモデルを始めたばかりだが、翌月にはスティーブン・クラインが撮影したDSQUARED2のサングラスキャンペーンに大抜擢された。2020年春夏コレクションでは、ニューヨーク・ファッションウィークのほか、ミラノでマルニのランウェイに登場と、その勢いは止まらない。「モデルになってから、トランスジェンダーである自分の方向性に迷いたくなかった。数あるエージェンシーの中でも、LGBTQ+のコミュニティを理解し、活躍の場を広げる目的を掲げるニューパンデミックスはユニークで重要な存在だと思う」。大学でペインティングを学んだ彼女のバックグラウンドは、「現在のモデル活動にも役立っている。被写体としてのアティチュードにも通じているから」。テルファーやマルニをお気に入りのブランドに挙げ、私服は落ち着いた色みでアンドロジナスなスタイリングが好きと話す。「男女の枠を超えたノンバイナリーな美を創造するデザイナーの洋服を身につけたい。着ることは、とてもパーソナルで、その考えを体現することでもあると思う」。いつかかなえたいプロジェクトを尋ねると、「ジャンルの異なる人々を取り上げ、それぞれのストーリーをシェアするマガジンを作ってみたい」と語る。柔軟な感性と志をもって活動する彼女のこれからにも期待したい。

1 TELFARのリバーシブルTシャツとレザーショーツのお気に入りスタイル。祖母から母、彼女へと譲り受けたネックレスは家族のルーツであるイタリア製

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2 ヴィンテージのアイテムに合わせたタンクトップもTELFAR。最新コレクションのムービーにも出演! PF Flyersのスニーカーはボーイフレンドからのギフト

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