若手デザイナーの登竜門、フェスティバル・ディエール第32回の受賞者は?

モードと写真のイエール国際フェスティバル International Festival of Fashion and Photography in Hyèresて何でしょう?昨年5月5日の投稿5月12日の投稿でもご紹介したように、南仏の街イエールで開かれる“祭典”では、10人のファイナリスト達が、コンテストの最終段階にのぞみます。単に審査結果発表をする他のファッション・アワードと違い、この通称“フェスティバル・ディエール”では、若手デザイナー達がプレゼンテーションとショーを発表します。

満場一致でグランプリ(プルミエール・ヴィジョン審査員賞)を獲得したのは、ジュネーヴから参加したヴァネッサ・シンドラー(Vanessa Schindler)。際立っていたのは、何と言ってもそのオリジナル素材です。彼女は研究を重ねるうちに、リキッド状のウレタンをファブリックの表面に流すと、まるでラテックスのようなヌメヌメとしてしなやかな素材になることを発見しました。しかも液体が乾く前に形を作ることができ、“3Dプリンターでオブジェを作るように”してモチーフを倍増させたそうです。今回のフェスティバルで全体的に目立ったのはオリジナリティのある手仕事ですが、その一人が刺繍の工房で経験を積んだドイツ人、ギジヌ・フォースタリン(Gesine Försterling)。彼女はワークウエアをインスピレーションとしたメンズウエアを手織りで作り上げ、ジャーナリストの評価は高かったもののグランプリは逃してしまいました。しかし、一人7体から成るメインのコンテストとは別に、クロエ・ガールをイメージした一体をそれぞれが発表するクロエ部門で、クロエ賞を獲得。

また、今年モード部門に新しく加わったのが、スワロフスキーによるアクセサリー部門です。この部門の審査員団を率いるピエール・アルディは、作品だけでなく、若手デザイナー達の話を聞くのが面白かったとか。グランプリに輝いたのは、オブジェのような靴を創ったスイス人のマリナ・シュデル(Marina Chedel)。また、パブリック&イエール市民賞は、帽子とバッグのウェンディ・アンドルー(Wendy Andreu)に贈られました。

ちなみに、フェスティバル中に始まったさまざまな展覧会やイベントは、月末まで開かれています。今年の主要イベント、ティム・ウォーカーの写真展やスキャパレリの衣装展についての詳細は、来週お届けしましょう。お楽しみに!

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ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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