絵はがきの力

 出社するとまずメールボックスを開けて、テニスの激しいラリーのように受信メールに返信をビシバシ打ち返す(時々拾えてないこともありますが…)。と、同時に連投されるLINEのやりとりもスタート…。そんな慌ただしいやりとりを続けていたある日、こんな絵はがきが届きました。送ってくださったのはイラストレーター、グラフィックデザイナーとして活躍されている黒田征太郎さんです。昨年のSPUR9月号に掲載された『6人が向き合った、「戦争」』というテーマでインタビューをさせていただいたのですが、大阪にて無事インタビューを終え、一週間ほど経った頃だったと思います。聞くと、一緒にインタビューをしたライターさんの元にも届いたとのこと。こんな絵はがきをさらっと出せるなんて、なんとカッコイイ大人だろう!と感動を分かちあいました。

 

  黒田さんは昨年亡くなられた野坂昭如さんと「戦争童話集 ~忘れてはイケナイ物語り~」を出されていたり、「ピカドン・プロジェクト」といった取り組みをされています。ご自身も戦争経験者である黒田さんが描かれたこの絵はがきには、どんな言葉よりも、胸に突き刺さるような力があり、時々ふっと仕事の合間にも頭をよぎるのです。だからデスクに置いておいて、時々眺めたりしています。

   電話に、スカイプ、フェイスブック、メールやライン、そして手紙やはがき……。人とつながる選択肢は気がつけば随分と増えて、手紙やはがきを送る機会って私の生活では急激に減りました。「既読」とかも明示されず、届いたかどうかもわからない、読んでくれたかどうかもわからない手紙やはがきは、確かに今の生活では不便なところもある。けれど、そこには受け取る側に何も強要しない純粋な真心だったり、あるいは気楽さがあるように思えます。すっかり忘れてしまっていましたが、絵はがきが届くって、こんなに胸に響くことなんだ!と改めて教えていただきました。

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エディターASADA

主に美容担当。山登りなど自然に触れることが好き。最近は健康とかインナービューティとかいう言葉にめっぽう弱くなりました。

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