セブンよ今夜もありがとう

今朝、出勤したらばデスクの片隅に見覚えのない木片がひとつ。コルクの栓だろうかいや違う。しげしげと眺めた数秒後、ゴミ箱に投入しようとしたその瞬間、視線の先にあったのが致命的な部分を失ってしょんぼり本棚に佇む「ツボセブン」でした。

20代から愛用している木製ツボ押し器具です。東急ハンズで名前にひと目ぼれして添い遂げて、かれこれ15年。鉄板みたいに凝り固まった肩や腰を毎晩ほぐしてくれた戦友が、週末、誰もいないオフィスでひとり大切なパーツを「もう、無理!」とぽろりさせていたことに切なさと愛しさが込み上げて、棒切れを抱きしめた月曜日の朝なのでした。

幸い簡単に修理はできたのですが、改めて周囲のデスクを見回すとなにかしらのマッサージ器具が常備されているわけです。パリコレのバックステージに簡易マッサージブースが設けられていてモデルが殺到していた情景や、入稿明けの丑三つ時に先輩と連れ立って出かけたルビーパレス、初めての上海出張で体験した3時間半の人生最長マッサージで出会ったゴッドハンドなどの思い出が駆け巡り、つくづく皆疲れてるなぁ、と。

そんな働きマンたちの心の叫びが詰まったジェーン・スーさんの新刊書。分かる分かる、と共感いっぱいの一冊です。20代のころ私はジェーンさんと同じ神保町の片隅の凄腕整体に通っていたのですが、ジェーンさんはあの技を覚えているかしら。その後、独立して、劇的に値上げしたことを知っているかしら。猛烈に働いたぶんだけ東京の癒しを熟知するジェーンさんの「読むマッサージ」を片手に、独りじゃないって素敵、と心強さに身が奮い立ちました。

年度末、ちょっとお疲れのかたに特におすすめです。では皆さま、ちょいちょい自分へのご褒美を差し込みつつ、元気に一週間いい仕事ができますように。

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エディターIGARASHI

おしゃれスナップ、モデル連載コラム、美容専門誌などを経て現職。
趣味は相撲観戦、SPURおやつ部員。

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