芸術の秋は、藤田理麻さんとともに

毎年、秋になると楽しみにしているのが伊勢丹新宿店で開催される藤田理麻さんの絵画展。黒いキャンバスに広がるカラフルな作品は、繊細でありながらパワフルで、見ているだけで元気を貰えるものばかりです。今年で27回目となる個展は『カルナ(サンスクリット語で思いやりの心)』がテーマ。藤田さんはロサンゼルス在住なのですが、新型コロナウイルス感染症が蔓延していく状況のなか、自分自身への思いやりが他者への思いやりにつながると改めて感じたとのこと。「自分さえ良ければいいと思っていても、人間は決して幸せになれないですし、逆に他者のことばかり気にして、自分をケアしないと人間は幸せになれません。ただ単に自分を甘やかすのではなく、深い場所で自分を許すことは容易ではなく、このような意味での『思いやりの心』は忘れがちなことなんです」と藤田さん。そんな慈愛に溢れた絵を見れば、変に強ばってしまった体の力がすっと抜けるような、心が癒やされるような体験ができるのではないか、と今から楽しみです。

私自身と藤田さんとの出会いは2012年のこと。藤田さんがインド北部のチベット難民が暮らす街・ダラムサラに絵本を届けに行く、という取材を担当したことがきっかけでした。夢で『チベットのために何かをしなさい』という啓示を受けて以来、チベットの子どもたちのために絵本をつくり、チベット語の継承やチベット難民の問題を世界に伝えようと尽力をしている藤田さん。「精神的に辛い日が続いていますが、絵を描いている時は、すべてを忘れ、どこか他の次元に行けるため、絵を描くことが唯一のサンクチュアリです」という彼女が完成させた新作20点が見られる個展は、本日11月4日から11月10日まで、伊勢丹新宿店本館6階=アートギャラリーにて開催。ぜひ週末の予定に加えてみてください。

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エディターMORITA

物心がついた時からパンツ派。今、一番興味があるのは、どうやったら居心地のよい部屋で暮らせるのか。美容、アート担当です。

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