【人生100年時代のジュエリー vol.05】Van Cleef & Arpels(ヴァン クリーフ&アーペル)

ロマンティックなクリエーションと卓越したクラフツマンシップで知られるヴァン クリーフ&アーペル。アイコンコレクションの知られざるルーツに迫る。

20代で買うなら

つるんとなめらかなカボションカットのターコイズが存在感を放つリング。台座とアームには、クスクスから着想したビーズをあしらい、エキゾチックなムードを演出。

「ペルレ」リング〈WG、ターコイズ〉¥385,000/ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク(ヴァン クリーフ&アーペル)

50代で買うなら

立体感のあるスパンコールに見立てた、繊細なクリエーション。ゴールドとオニキス、クリソプレーズをダイヤモンドでつなぎ留めて。

「ブトン ドール」イヤリング〈YG、オニキス、クリソプレーズ、ダイヤモンド〉¥3,154,800/ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク(ヴァン クリーフ&アーペル)

伝統に裏打ちされた、珠玉のカラーストーンジュエリー

岡部(以下O) 今回フォーカスするのは、ヴァン クリーフ&アーペル。個人的に、すごくフランス的だという印象のメゾンです。

本間(以下H) ほう、どうしてそう思うのでしょうか?

 どの作品にも詩的かつロマンティックなメッセージが隠されているところでしょうか。フェミニンな曲線美を巧みに生かしたデザインも印象深いですよね。

  確かに、フランスの文化と密接につながった作品が多いです。でも、実はファンタジーにあふれるクリエーションだけでなく、斬新なジュエリーも数多く作っているんです。たとえば「ペルレ」コレクションは、60年代後半に制作された、クスクスにインスピレーションを得たヘリテージ作品が前身なのです。

 「ペルレ」って、食べ物のクスクスがルーツなんですか! ぱっと見た印象で、伝統的なミル打ちがモチーフかと思っていました。

 フランスでは古くから、地中海に面したアフリカ大陸が異国情緒の象徴とされてきました。60年代は前衛的なジュエリーがトレンドになっていたこともあり、このデザインもきっと、当時の顧客の目に新鮮に映ったんでしょうね。

 そう言われてみると、カラーストーンの使い方もどこかエキゾチックな印象です。今回選んだターコイズのリングですが、色の均一さに驚きました。

 そのとおり。最高品質のカラーストーンとダイヤモンドしか使わないのがヴァン クリーフ&アーペル。フランス随一のクラフツマンシップで知られるメゾンだけに、細かな彫金の仕上げも見事です。

 本間さんが選んだ「ブトン ドール」も、ディテールの美しさが際立つ作品ですね。

 クチュールの世界から想を得たジュエリーの一つ。スパンコールをゴールドやカラーストーンで表現しているんです。このモチーフは、1930年代に制作された「バレリーナ クリップ」にも採用されています。

 フリンジのようにしなやかに揺れますね。

 ヴァン クリーフ&アーペルのジュエリーは、世代を問わず使えるタイムレスなものが多いですが、50代であれば華やかなカラーストーンのイヤリングがおすすめ。イヤリングってコスメティックのような存在だと思っているんです。顔まわりをぱっと華やかに見せてくれるので。

 イヤリングはコスメティック! いいフレーズですね。これから使わせていただきます(笑)。

Profile

本間恵子

時計・ジュエリー専門ジャーナリスト。ジュエリーデザイナーという経歴に基づく鋭い目利きと、圧倒的な知識を武器に、メディアでの執筆やテレビ出演など幅広く活躍するエキスパート。

岡部駿佑

美しいものをこよなく愛するエディター。専門分野はランウェイとジュエリー&ウォッチSPUR.JPでYouTube連載もスタート。デジタルとプリントを横断して活動。

※この特集中、以下の表記は略号になります。WG(ホワイトゴールド)、YG(イエローゴールド)

SOURCE:SPUR 2021年8月号「人生100年時代のジュエリー」
photography:Masanori Akao〈whiteSTOUT〉 styling:Lisa Sato〈bNm〉 text:Shunsuke Okabe

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