【教養としてのジュエリー学 vol.3】LOUIS VUITTONのLV VOLT

1854年の創業以来、ラグジュアリーの世界に君臨するルイ・ヴィトン。その歴史に、ジュエリーの文脈で新たなチャプターを書き加えるのが、フランチェスカ・アムフィテアトロフ。グローバルな感性によって生み出されるクリエーションは、新アイコンの名にふさわしい佇まいを放つ。

「LV ヴォルト アップサイド ダウン」ブレスレット〈YG、ナイロンコード〉¥507,100

「LV ヴォルト アップサイド ダウン」リング〈WG、ダイヤモンド〉¥605,000・〈PG〉¥319,000・〈YG〉¥319,000・ブラウス(参考商品)/ルイ・ヴィトン クライアントサービス(ルイ・ヴィトン)

フランチェスカ・アムフィテアトロフが手がけたユニセックスのファインジュエリー コレクション「LV ヴォルト」はグラフィカルかつモダンなデザインが特徴。新作のリングとコードブレスレットは、イニシャルを逆さまにすることで意外性のあるコンポジションを表現。カラフルなコードがスポーティなブレスレットは、手持ちのジュエリーとの重ね着けも楽しい。



メゾンコードをモダンに再解釈した新アイコンに注目

岡部(以下O) 最近ルイ・ヴィトンのファインジュエリーが面白く、注目しています。元ティファニーのフランチェスカ・アムフィテアトロフが、ウォッチ&ジュエリーのアーティスティック・ディレクターに就任したのが2018年。以降、クリエイティブなジュエリーを数多く発表してきました。

本間(以下H) フランチェスカを迎え、ハイジュエリーも強化しています。昨年の第1弾に続き、今年第2弾が披露された連作「ブレイヴァリー」では、トランクのデザインをはじめとするメゾンコードを踏襲しながら、稀少性の高いジェムストーンをふんだんに用いたクリエーションを披露しました。

O 「ブレイヴァリー」は、創業者ルイ・ヴィトンの生誕200周年を記念して発表されたコレクションですね。メゾンのアイコンであるモノグラム・フラワーを模した複雑なカットのダイヤモンドが登場して驚きました。

H ジェムバイイングの確かな目利き、そして卓越したクラフツマンシップは老舗のハイジュエラーに引けをとりません。ファッションやレザーグッズのイメージが強いと思いますが、ジュエリーも由緒あるメゾンとしての誇るべき作品を生み出しています。

O デザインの独創性も見事ですよね。モダンかつ大胆で、クラシカルなジュエリーとは一線を画している。その文脈を受け継ぐフランチェスカのクリエーションが、「LV ヴォルト」。今回はミニマルなリングと、コードブレスレット、いずれもデイリーに使いやすいアイテムにフィーチャーしています。

H ぱっと見てルイ・ヴィトンだとわかる、アイコニックなモチーフを取り入れながら、抽象性もありコンテンポラリーな印象。この辺りのバランス感覚は、フランチェスカが得意とするところでしょう。ミニマルなシルエットのリングは、直線的なモチーフとやわらかな曲線の調和が絶妙。ピンク、イエロー、ホワイトゴールドのバリエーションが揃うので、素材違いでスタッキングするのもおすすめです。

O オールジェンダーなデザインも魅力的。ペアでつけるのもよさそうです。

H 確かに。ペアジュエリーは大抵女性向けが凝っていて、男性向けはシンプルなものが多いですがこちらはその差がない。性別や世代を問わず取り入れられるのがいいですね。新作のコードブレスレットもそうで、さらに簡単につけ替えできるインターチェンジャブルなコードなので、シーンや着こなしに合わせて楽しむことができます。

O 実物を見たときに、開閉システムが予想以上に精巧な構造で驚きました。スムースに着脱するためには少し慣れが必要かもしれません。

H ブレスレットは思いのほか日常のふとした動作ではずれやすい。あえて取りづらい構造にすることで、安定した着用感や長く愛用できる配慮がなされているのだと思います。

O ちなみに私も普段コードブレスレットを使っているのですが、金属よりも肌なじみがいいので、時計やほかのジュエリーとレイヤードしやすく出番が多いです。「LV ヴォルト」は、ミラーポリッシュのゴールドがラグジュアリーでありながら、カラフルなコードがスポーティさも演出。夏のスタイリングにスパイスを与えてくれそうです!

※この特集中、以下の表記は略号になります。
YG(イエローゴールド)、WG(ホワイトゴールド)、PG(ピンクゴールド)

本間恵子
時計・ジュエリーを専門とするジャーナリスト。ジュエリーデザイナーという経歴に基づく鋭い目利きと、圧倒的な知識を武器に、幅広いメディアで活躍する唯一無二のエキスパート。

岡部駿佑
美しいものをこよなく愛するエディター。専門分野はランウェイとジュエリー&ウォッチ。SPUR.JPでのYouTube連載も好評を博し、デジタルとプリントを横断して活動中。

SOURCE:SPUR 2022年6月号「教養としてのジュエリー学」
photography: Masanori Akao 〈whiteSTOUT〉 styling: Lisa Sato 〈BE NATURAL〉 hair & make-up: Ryoki Shimonagata model: Niina text: Shunsuke Okabe

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