【マリーエレーヌ ドゥ タイヤック】のジュエリー、「カボション」リング|人生を彩る名品図鑑

卓越したクラフツマンシップ、比類なき完璧なデザイン、素材への飽くなき追求……。時代を超えタイムレスな輝きを放つ名品には必ず、“愛され続ける理由”がある。連載「人生を彩る名品図鑑」では、そんな名品が名品たる所以を徹底解剖。

今回紹介するのは、マリーエレーヌ ドゥ タイヤックのジュエリー、「カボション」リング。

一生を添い遂げたい、“お守りジュエリー”の代表格

宝飾界の常識を軽やかに打ち破る、カラーストーンジュエリーの先駆

マリーエレーヌ ドゥ タイヤック 「カボション」リング

今でこそ、カラーストーンジュエリーはプレシャスなアイテムとして、ダイヤモンドジュエリーや地金ジュエリーなどに匹敵するほどの人気を誇っているが、その人気を牽引したブランドのひとつとして真っ先に名が挙がるのが、マリーエレーヌ ドゥ タイヤックだろう。

ロンドンのモード界でキャリアをスタートさせ、ジュエリーデザイナーのディニー・ホール、クチュリエのヴィクター・エーデルシュタイン、そして帽子デザイナーのフィリップ・トレイシーらと仕事をともにしたマリーエレーヌ。そんな彼女のキャリアの転機となったのは、インド・ジャイプールへの旅だ。旅先で多彩なカラーストーンに魅せられ、マハラジャの時代にさかのぼる伝統的な技術を継承するインドの最高峰のジュエリー職人と出会った彼女は、自身のジュエリーブランドを立ち上げるべく、ジャイプールへの移住を決意。その後1996年に晴れて、自身の名を冠したジュエリーブランドを創設する。

マリーエレーヌ ドゥ タイヤック ブリオレット・カットのペンダント
22金イエローゴールドの雫の枠の中に、ブリオレット・カットのさまざまな色石を配した、アイコニックな「千夜一夜」ピアス

当時はまだ、ダイヤモンドをはじめとする貴石を用いた伝統的なジュエリーが主流であった宝飾界。そんな中で、カラーストーンのピュアな美しさに可能性を見出したマリーエレーヌは、“貴石”や“半貴石”という保守的な区別にとらわれず、トルマリンやカルセドニーなど、これまで脇役のような存在だった色石に光を当てていく。

さらに自分の直感を信じ、カラーストーンを本来ダイヤモンドにしか適用されていなかったブリオレット・カット(しずく型)で仕上げた、ユニークなジュエリーを発表。その独創的なスタイルとインドの職人たちの確かなクラフツマンシップは高く評価され、彼女が手がけるジュエリーは瞬く間に、目の肥えたジュエリーラバーの間で支持されるようになった。その人気を証明するように、ニューヨークのバーニーズ、ロンドンのブラウンズ、パリのコレットでも彼女のジュエリーを買い付けるように。こうしてブランドの人気が高まるとともに、世界中にカラーストーンジュエリーの魅力を知らしめたのだ。

名品として語り継がれる初期作、「カボション」リング

革新的で大体な発想で、宝飾界の常識を打ち破ったマリーエレーヌが手がけるジュエリーは、石そのものの美しさを最大限に引き出すために、ブリオレット・カットを含め、独創的なカッティングを採用していることが特徴だ。

マリーエレーヌ ドゥ タイヤック 「カボション」リング
「カボション」リング

中でもアイコニックな作品として知られるのが、1997年に誕生したブランドの初期作であり、現在でも愛され続けている、彫刻のように美しいカッティングの「カボション」リング。思わず目を奪われるジェムストーンの鮮やかなカラーを引き立てるように、リング部分には純度が高く温もりのある22金イエローゴールドを採用。あえてストーンを台座にセットせず、ストーン自体にリングを通すという斬新なデザインにも、常識にとらわれないマリーエレーヌの研ぎ澄まされた感性が垣間見える。

マリーエレーヌ ドゥ タイヤック 「カボション」カットのカラーストーン
彫刻的な美しさが光る、カボション・カットのカラーストーンたち

装飾を廃しストーンを主役にしたシンプルなジュエリーながらも、抜群の存在感を放つこのリングは、その独創性が認められ、2015年にはパリの装飾美術館のパーマネントコレクションに選定されることに。つまりこのリングは、単にブランドを代表するシンボリックなジュエリーではなく、デザイン史に名を刻む傑作としても認められているのだ。

マリーエレーヌ ドゥ タイヤック 「カボション」リング

現在、ブランドの拠点は、創業の地であるジャイプールからパリへと移されているが、アイテムが作られているのは、ジャイプールのアトリエのまま。インドの職人たちが丁寧に手仕事で製作する一点もののリングは、それ自体がプレシャスな存在。同じものはひとつとしてない稀少性に加え、眺めているだけでエネルギッシュなパワーが伝わるカラーストーンの神秘性も相まって、自分だけの“お守りジュエリー”としても愛されている。また、ミニマルなデザインだからこそ時代やトレンドに左右されず、一生をかけて愛せるジュエリーという点も、「カボション」リングが名品として支持される理由だろう。

SPUR厳選! 「カボション」リング “カラーストーンカタログ”

1997年の発表以来、「カボション」リングが愛され続ける理由として、採用しているカラーストーンのバリエーションの豊富さも挙げられる。そこでここからは、「カボション」リングを彩る7つのストーンを紹介。それぞれの石の特徴もチェックしながら、あなただけの運命のリングを見つけて。

アメシスト

マリーエレーヌ ドゥ タイヤック 「カボション」リング アメシスト
「カボション」リング〈K22YG、アメシスト〉¥573,100

古来より高貴な色として親しまれてきた紫色のアメシストは、キリスト教の司教が身につける宝石としても有名。「隠された能力を引き出す」とも言われている。その鮮やかな発色は、誰もが見惚れる美しさだ。

アクアマリン

マリーエレーヌ ドゥ タイヤック 「カボション」リング アクアマリン
「カボション」リング〈K22YG、アクアマリン〉¥630,300

ラテン語で「海の水」という意味を持ち、澄んだ青色が特徴のアクアマリンは、船員や海兵が航海のお守りとして身につけていたというエピソードも。明るい場所と暗い場所、自然光とライトの下で色の見え方が変化するのも魅力。

グリーン トルマリン

マリーエレーヌ ドゥ タイヤック 「カボション」リング グリーン トルマリン
「カボション」リング〈K22YG、グリーン トルマリン〉¥944,900

「ネガティブな気持ちを癒す」と言われるトルマリンは、カラーバリエーションが豊富。中でもグリーン トルマリンは、まるで深い森に誘うような、穏やかで落ち着いた発色が魅力。

ラベンダー クォーツ

マリーエレーヌ ドゥ タイヤック 「カボション」リング ラベンダー クォーツ
「カボション」リング〈K22YG、ラベンダー クォーツ〉¥652,300︎

ラベンダー クォーツは紫色のアメシストを熱し、霞がかった紫青色に変化させたもの。アメシストより柔らかな発色で肌に馴染み、眺めているだけで優しい気持ちになれる。別名は「スコロライト」。

ローズ クォーツ

マリーエレーヌ ドゥ タイヤック 「カボション」リング ローズ クォーツ
「カボション」リング〈K22YG、ローズ クォーツ〉¥573,100

身につけるだけでロマンティックなムードを高めてくれる、透明感あふれるピンク色のローズ クォーツ。「愛」を象徴する石と言われ、恋愛成就や、永遠の愛を願い身につける人も。

レモン クォーツ

マリーエレーヌ ドゥ タイヤック 「カボション」リング 
「カボション」リング〈K22YG、︎レモン クォーツ〉¥652,300

スモーキー クォーツを熱し照射処理を加えることで、黄色に変化する神秘的なレモン クォーツ。「浄化」の石としても人気で、気持ちを落ちつかせて前向きになりたい時にぴったり。

クリソプレーズ

マリーエレーヌ ドゥ タイヤック 「カボション」リング クリソプレーズ
「カボション」リング〈K22YG、クリソプレーズ〉¥705,100

古代には宝飾品や城の装飾に用いられていた気品あふれるクリソプレーズには、「怒りを鎮めて希望をもたらす」という言い伝えが。ミルキーで豊かな発色なので、存在感のある石を探している人におすすめ。

エムアッシュテ
https://www.mariehelenedetaillac-jp.com/
03-5468-2703


“カラーストーンカタログ” 参考文献:『宝石図鑑』(著)KARATZ、(監修)小山 慶一郎 ¥2,640/日本文芸社

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