高級時計の新作が集結する最大の展示会として世界中から注目を集める、「Watches and Wonders Geneva」。今年は全65ブランドが出展し、6000人の小売業者と1750人のジャーナリストが訪れた。ファッションウィークに匹敵するこのイベントに、SPURから編集長の池田が参戦。新作の傾向と、注目モデルをその眼で確かめた。
I 20ブランド以上に伺いました。特に印象に残ったのは、原材料の高騰など世界情勢の影響を受けながらも、それを感じさせない「こんな時計が欲しかった!」と思わせる新作が揃ったこと。その象徴がシャネルの「J12 28MM」です。
N 既存の36㎜、33㎜に続いて28㎜が登場したんですね。
I 時計が時を計測するだけのツールから解放されつつある今、小径化の流れはファッションを楽しむアイテムとして時計の可能性を拡大しそうです。
N ファッションとの関わりを感じさせる素材や色はありましたか?
I 素材では、日常使いできるカラーストーンが気になりました。文字盤にあしらったモデルはもちろん、アワーマーカーにさりげなく配したロレックス「オイスター パーぺチュアル 28」もいい感じです。そして色はブラウン系。なかでも光の当たり具合で印象がガラリと変わる、ヴァン クリーフ&アーペル「ミッドナイト ユール ディシ エ ユール ダイヨール」のブラウンがロマンティックでした。それ以外に、ベージュのニュアンスカラーも目立っていましたね。この色みの時計は、この秋のトレンドのグレーやレッドの服にもコーディネートしやすいと思います。
N このヴァン クリーフ&アーペルのモデルは、デュアルタイムゾーン機構によって地球上の異なる2地点で刻まれる時間を表示し、心を旅へといざなってくれるようですね。こういった技術のように、高級時計における匠の技がしばしば話題に上りますが、新作で気になるものは?
I 外観の話になりますが、オートクチュールを彷彿させる特別なノウハウが、繊細で美しい仕上げのブレスレットやストラップに発揮されてました。カルティエ「サントス デュモン」のブレスレットモデルは、1.15㎜のリンクを394本連結していて、つけた瞬間しなやかさに感動! N デザイン面ではいかがでしょう?
I ハイライトが気になりました。たとえばパテック フィリップの「ゴールデン・エリプス」は60年代に発表された人気モデルなんですが、現行の製品はメンズのラージサイズのみ。そこに今年、ユニセックスなミディアムサイズが再登場したんです。これは女性にもおすすめ!
時計&モード好きの眼が選ぶ機械式時計の新潮流
N 「ゴールデン・エリプス」は、薄いのに機械式ムーブメントを搭載していますよね。機械式時計って難しそうな印象が強いんですが、こんなおしゃれなモデルならすんなり受け入れられそう。
I スタイリッシュな機械式時計、いいですよね。時計も服と同じで、やっぱり語りたくなる存在に惹かれるじゃないですか。それでいてファッション感の強いモデルが増えているのがいいなと。言うならば"モードな機械式時計"。オープンワークを駆使したエルメスの「H08 スケルトン」は、洗練されたデザインと色使いに加えて、マニュファクチュールによる本格的な自動巻きの醍醐味を味わえます。しかもその機構を見て楽しむことも!
N クォーツ以外の手巻きと自動巻きは、どちらも機械式時計。最近は簡単に操作できるモデルが増えていますので、これまでの難しいという先入観を捨てて親しんでいただけたらうれしいですね。
I これからはSPUR読者の皆さんにも、どんどん機械式時計をおすすめしていきたいと考えています。どうぞお楽しみに!