雨ニモマケズ! 1泊2日で八ヶ岳へ(前編)【井之脇海と、山の話 第6回】

 八ヶ岳へ1泊2日で行ってきました。僕が全山登りたいと思っている日本百名山にも選ばれている、八ヶ岳。八ヶ岳を登れば、岩手山、丹沢山、富士山、霧ヶ峰、乗鞍岳、焼岳、霧島山、開聞岳に続いて9座目です。どのルートをたどろうかと調べていると、「八ヶ岳」という名前の山ってないんですね。南北に長い連峰全体のことを八ヶ岳といって、その名前がついたのは八つの峰からできているからとか、“たくさん” という意味からとか、どうやら諸説あるようです。

 夏沢峠というところで南八ヶ岳と北八ヶ岳に分かれ、南と北で山の雰囲気が違うそう。南は、険しい岩稜の山。逆に、北は穏やかな森の山。僕が好きなのは険しい山なんですが、今回は悪天候の予報だったので、森の木々が雨風をしのいでくれる北八ヶ岳に。

 八ヶ岳は池がたくさんあってきれいだよ、と聞いたのでコースは「白駒池」からスタート。八ヶ岳の池には伝説を持つものがあり、この白駒池には父親の病気を治す代わりに白馬に乗って娘が池に沈んでいったという話をはじめ、いくつもの伝説があるそうですよ。“揚げパンがおいしい”と一緒に山へ行くヘアメイクの小林さんに教えてもらった「高見石小屋」で休憩をして、展望台がある「中山峠」を経て、宿泊予定の山小屋「黒百合ヒュッテ」を目指す3時間半の行程。9時にスタートして、昼過ぎには山小屋に到着してのんびりする予定です。山で泊まる機会がこれまでなく、山小屋に泊まるのも初めて。今までの自分にはなかった山での過ごし方なので、楽しみです。

 毎回、晴天に恵まれてきたこの連載ですが、今回は風がすごい! スタート地点の白駒池駐車場では車を降りた途端、寒いくらいの強風。車の陰に隠れて靴を履いたりしていたくらいの風だったけど、不思議なもので登山道に入ってしまえば、急に静かに。樹林帯が守ってくれているんですね。途中休憩した高見石小屋で小屋の方に「中山峠の展望台は風速15mですよ。体をもっていかれるからがんばってね」と教えていただきました。風速15mってどんな感じなんだろう……。「その風速を体験しておけば、今後の登山に自信が持てますよ」とも言っていただいて。展望台で眺めのよさではなく、風の強さを体感する。そんな不安交じりの楽しみがあるのも登山のよさなのかもしれません。

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1 雨風を遮る木々がない中山展望台。風速15mの世界は、やや強めの台風の中を歩く感じ。あまりの風に、思わず笑いが 
2 連載2回目で足に合わせてオーダーした名店「ゴロー」の登山靴。「歩きやすい!」

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北八ヶ岳の森はコケの森といわれており、なんと500種ものコケが自生している

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霧が幻想的な白駒池にて

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3 高見石小屋で名物の揚げパンとコーヒーで休憩。井之脇さんが選んだ揚げパンの味はきなことチーズ  4 黒百合ヒュッテに到着し、荷物を置いて天狗岳を目指す。が、山頂は雨風がひどいようで断念 5・6 激しい雨と風だったが森の中を歩いていると悪天候が嘘のように静か。「霧がかかっていて見晴らしが悪い分下を向いて歩いていました。僕、あまりキノコとかコケとか気がつかないタイプなんですよ。でも、今回はゆっくり休みながら歩いて、ミクロな植物の世界はきれいだな、と思いました」

Profile
いのわき かい●俳優。1995年神奈川県・横須賀生まれ。幼い頃から子役として活躍し、日本大学芸術学部では映画を学ぶ。父の影響で登山を始め、日本百名山制覇が目標。今回の八ヶ岳で、9座目。フジテレビ開局60周年特別企画ドラマ「教場」出演予定。

SOURCE:SPUR 2019年11月号「井之脇海と、山の話」
photography: Kazuhiro Shiraishi hair & make-up: Takeharu Kobayashi edit: Tomoko Yanagisawa

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