“美食の街”、千葉県いすみ市で「郷土ガストロノミー」を堪能。古民家を改修した一棟貸切のオーベルジュ、季舟庵がオープン

外房に位置する千葉県いすみ市に、築200年の古民家を改修した一棟貸切のオーベルジュ、季舟庵がオープンした。生産者・地域住民・国内外の観光客を繋げ、地域の魅力を発信する「地産地紹」を標榜するこのオーベルジュでは、フランス料理の伝統といすみの郷土料理を織り交ぜた「郷土ガストロノミー」が楽しめる。

東京駅から約90分、南房総ののどかな自然が楽しめる千葉県いすみ市に、この春、築200年の古民家を改修した一棟貸切のオーベルジュ「季舟庵」がオープンした。

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元の建物の魅力を生かした改修を行なった季舟庵の宿泊棟。

季舟庵は特急「わかしお」で1時間17分、大原駅から車で7分の場所に位置する、江戸時代から続く築200年の古民家を改修したオーベルジュ。カップルや家族、友達同士で貸切りにできる、全3部屋、最大10名宿泊可能なプライベートヴィラだ。敷地内の高台にはテントサウナを設置することもできるので、観光やアクティビティで疲れた身体を貸切サウナと里山での外気浴で癒すことができる。

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いすみ市で獲れた猪のグリル。

もちろん、最大の魅力は地元の農家や酪農家、漁師、猟師から新鮮な食材を仕入れ、ミシュラン2つ星のお店で副料理長を務めた中屋雄介シェフが、フランス料理の手法で作り上げる、ここでしか味わえない郷土ガストロノミー。海外などで学んだ経験豊富なソムリエが産地を巡ってセレクトしたいすみの地酒や、自然に寄り添う農法で生産されたナチュラルなワインなどを、料理に合わせて楽しむことができるのも嬉しい。

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濃い旨味を持つ千葉の蛤をいかした前菜。エスプーマにも蛤の出汁が贅沢に。春の味わいが楽しめる。
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写真は甘さを引き出した菊芋のピュレとともに供されるキョンのロースト。ライムのピュレがつまったさくらんぼのつけあわせの爽やかな味わいとのハーモニーが楽しめる。オーベルジュの醍醐味。
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いすみ市大原にある木戸泉酒造。

ここで味わうことができる食材は、こだわりのある地元の生産者のものがほとんど。自社で栽培する果樹や薬草・ハーブ、全国の信頼できる生産者の作る豊かな恵みを使い、発酵や蒸留という技術を用いてものづくりを行うMitosaya 薬草園蒸留所、自然醸造による高温山廃酛で、麹菌・乳酸菌・酵母菌の3つの菌がのびのび発酵する酒母造り手法を50年以上変わらず守り続ける木戸泉酒造などは県外での人気も高い。

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季節にあわせた旬の野菜づくりをするオーガニック農家、Farmあき。

いすみ市で唯一のジビエ専門の食肉解体処理施設であるちばジビエの森、資源を無駄にしない循環型酪農に取り組み、飼料の国産化100%を目指す高秀牧場、いすみ市の近隣で手に入る肥料のみで育てる、少量多品目の野菜を路地栽培するfarmあき、農薬や肥料に頼らず自然の調和と循環の力を使い、できるだけ稲本来の力があらわれるような栽培を行うつるかめ農園、伊勢海老の漁獲量日本一を誇るいすみ市大原で昭和29年から新鮮な魚介類の畜養・出荷・卸売りを行なってきた丸大水産なども、「地産地紹」を目指す季舟庵に協力。千葉の食と文化が、ここから国内外へと発信されていくこととなる。

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いすみ市で乳牛を170頭飼育する酪農牧場、高秀牧場。

ここで味わえる食材の生産者たちは美しい里山や里海を守るために、地域で資源を循環させるための試みも積極的に行なっている。季舟庵でもその一員として、コンポストを活用したり、余った食材を牛の飼料にしたりといった取り組みを行なっていく予定だ。また、酒粕を食べた牛のチーズと、その酒粕を生み出した日本酒を合わせて出すなど、地域の食文化を五感で味わう体験も提供していくというから楽しみだ。なお、宿泊のみやディナーのみの利用ができる日もあるので、ぜひ問い合わせを。

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蔵を改修したレストラン棟。

建物の改修を手がけたのは2022年のグッドデザイン賞で金賞を受賞した「大蓮公園」のデザインチームの一人でもある中島立人。「全てを新しくするのではなく、朽ちているところ、物理的に使えない部分をアップデートすることで建物の良さを引き出した」と中島は話す。また、スタッフのユニフォームは「自然との共生」をコンセプトに、北海道ならではの自然、釣りをテーマとするブランド、SOUTH2 WEST8とコラボレーション。さまざまな切り口で新しいことにチャレンジしているオーベルジュで、南房総の自然を五感で味わい尽くしてみては。


季舟庵(きしゅうあん)

住所:千葉県いすみ市釈迦奴谷856
料金:1泊2食付き (1名)¥37,400〜
食事=シーズナルコース ¥16,000、ペアリング ¥10,000(アルコール)、¥8,000(ノンアルコール)
※全て税込・サービス料別
www.kishu-ann.com

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