ここ数年、女性アイドルグループはまさに群雄割拠の時代を迎えている。そして、作り手である女性プロデューサーたちにも注目が集まっている。彼女たちが手がけるアイドルはなぜ共感を呼び、熱狂を生むのか。プロデューサーやウォッチャーの声を手がかりに、その現在地をひもとく。
ここ数年、女性アイドルグループはまさに群雄割拠の時代を迎えている。そして、作り手である女性プロデューサーたちにも注目が集まっている。彼女たちが手がけるアイドルはなぜ共感を呼び、熱狂を生むのか。プロデューサーやウォッチャーの声を手がかりに、その現在地をひもとく。
女性であることがどう影響するのか
アイドルとしての経験値がプロデュースに生きる?
つや 一方で、アイドル経験者がプロデューサーになることで、労働環境や人権意識が改善してきたという話もありますが、実際はどうなんでしょう?
上岡 重要な論点ですね。私は、単に「プロデューサーが経験者だから/女性だから、メンバーに寄り添える」という話には同意しかねます。男性であれ女性であれ、プロデューサーは基本的に権力を持つ立場だから。アイドル経験者だから労働環境や人権意識については安心、というのは成り立たないのではないでしょうか。
つや プロデューサーがアイドル経験者だから/女性だから安心ということではなく、その人自身を見ないとわからないということですね。ただ、その一方で、運営やプロデュースの在り方が変わったからなのかはわかりませんが、結果的にアイドルグループの空気感が変化してきている部分もあるように感じます。MVのビハインド映像を見ていたりすると、本当に仲がよさそうなグループが増えました。
上岡 昔は逆でしたよね。「仲よしでやってるんじゃない」と言われることがあったり、メンバー同士の連絡を禁止している現場もあります。でも今は、むしろ交流の時間を作る現場も増えています。遠征の合間に遊びに行ったり、みんなで過ごす時間を意図的に設けたり。メンバー同士の関係性を、パフォーマンスにどう生かすかという考え方に変わってきている気がします。
つや その背景には、グループを長く続けるという発想もありますよね。アイドルグループって、脱退や解散の繰り返しじゃないですか。でも今は、サステイナブルに活動することへの意識が強くなっている。指原さんも、=LOVEを立ち上げた当初「信じられないくらいの時間をかけて頂点に連れていきたい」と話していました。そういう意味で私が時代の節目だと感じたのは、過激なパフォーマンスやセンセーショナルな打ち出しをするグループの解散が増えたこと。もしかしたら今後、さらに解散が続くかもしれません。
上岡 グループを長く続けるという発想が出てきた一方で、メンバー自身が主体的に関わるケースも増えました。昔からメンバーが作詞や衣装制作をすることはありましたが、今はそれが「メンバーの才能」として評価されるようになってきている。興味深いのは、振付師や衣装デザイナー、審査員、プロデューサーとして活躍する元アイドルが増えているということ。アイドルとしての経験がセカンドキャリアにつながってきました。
つや みんなの意識がそこまで向くようになってきたのは、いいことですね。今日話していて、改めて「女性プロデューサー」とひと括りにしてしまうことの難しさを感じました。
上岡 ただ、その一方で、女性プロデューサーだからこそ生まれやすい関係性というのはあるのかもしれません。それは「女性ならではの感性」という話ではなくて、ロールモデルとして機能しやすいということ。昔からいた女性プロデューサーの例として、小林清美さんのことを思い出すんです。
つや というと?
上岡 元peach sugar snowの広瀬愛菜さんが卒業ライブで「私はアイドルになりたかったんじゃなくて、清美先生になりたかったんだ」と話していた言葉がすごく印象的だったんです。女性のプロデューサーや先生って、単に作品を作る人というだけではなく、人間形成に影響を与える存在になりやすい。ロールモデルとして想像しやすいからこそ、よくも悪くも影響力が大きいんですよね。
つや なるほど。今日の話を通して感じたのは、「女性プロデューサーが増えた」というよりも、これまで見えにくかった女性たちの仕事が見えるようになった、ということかもしれません。
上岡 本当にそうだと思います。これまで積み重ねてきた仕事や経験が、ようやくきちんと評価されるようになってきた。その結果として、今の注目があるのかなと思いますね。


