【精神科医に聞く】五月病シーズンから“鬱陶しい時期のメンタル”を整える思考整理術! “なんか全部イヤ”になる前に

5月の連休が明けたあと、なんとなく無気力感や焦燥感に悩まされている人も多いのでは? 「ちゃんとしなきゃ」という焦りや、うまくいかないことから来る自己嫌悪に陥り、人によっては休養が必要になることも。

「五月病」といわれるそうした不調は、心身の疲れからくるヘルプサイン。そんな自分を責めることなく向き合うための「思考の整理術」を、精神科医の星野概念さんに伝授いただいた。

5月の連休が明けたあと、なんとなく無気力感や焦燥感に悩まされている人も多いのでは? 「ちゃんとしなきゃ」という焦りや、うまくいかないことから来る自己嫌悪に陥り、人によっては休養が必要になることも。

「五月病」といわれるそうした不調は、心身の疲れからくるヘルプサイン。そんな自分を責めることなく向き合うための「思考の整理術」を、精神科医の星野概念さんに伝授いただいた。

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お話を聞いたのは、この方!

星野概念プロフィール画像
精神科医など星野概念

精神科医として働くかたわら、執筆や音楽活動も行う。いくつかの場所での連載や寄稿のほか、『こころをそのまま感じられたら』(講談社/2023)などの著作もあり。音楽活動はさまざま。対話や養生、人がのびのびとできることについて考えている。

五月病は、頑張りすぎてしまう人ほどなりやすい“心身の黄色信号”

【精神科医に聞く】五月病シーズンから“鬱の画像_1

──そもそも、五月病とはなんでしょうか?

五月病とは、医学用語の病名ではなく現象を表しています。4月から新たな生活が始まり、慣れない環境に適応しようと“過剰に”頑張ってしまうことがありますよね。そうすると、ゴールデンウィーク明けに眠れなくなったり仕事に意欲的になれなかったり、理由はわからないけれど心身が疲弊している。人によっては生活に支障をきたし、「適応障害」を起こすこともあります。1〜2か月無気力感が続いたり眠れなかったりする場合は、安全に相談できる専門機関にアクセスしてください。

──五月病になりやすいのは、どんな人ですか?

キツいこともなんとか乗り越えてきた経験があり、真面目に頑張ることができる人ほどなりやすいです。心身の健康は、自律神経がバランスを調整することで保っています。頑張り続けると、交感神経が優位になりずっと戦闘態勢モードに。そんなときは、副交感神経が優位になるように休息を心がけて、心身を緩めてください。

5つのシチュエーション別|心のモヤモヤと向き合う「思考の切り替え」をレッスン

心身が疲れていると、「なんでこうなんだろう」と思考もマイナスな方向に引っ張られがち。そんなときに必要なのは、客観的な視点。ネガティブに陥りやすい5つのシチュエーションごとに、自分にかけたい適切な言葉や行動のヒントを、星野さんに聞いた。

1. 朝起きて、会社や学校などにどうしても行けないとき

▶︎【こう考えよう!】心も身体も限界間近。思い切って休んだり専門機関に相談したりしよう

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今までは何の問題もなく会社や学校などに行けていたのに、どうしても行けなってしまうのは無理が生じているサイン。きっと「なんの前触れもなく」ではなく、なんとか気持ちを立て直した時期を経てこの状態になっていると思うので、心身も限界間近です。そこで無理をしてしまうと、人生を長い目で見たときに大きなダメージを負ってしまう可能性があるので、まずは思い切って休んでほしい。

ただ、「言うは易く、行うは難し」ですよね。仕事に穴をあけられない場合は、職場の人に相談できると理想的。難しい場合には、専門機関に頼り活用するのも良いですね。頭の中がパニックになっていると思うので、話すことで自分のことを客観的に見てもらい、一緒に状況を整理してもらう必要があると思います。

2. 仕事や家事に対して「やる気」がまったく起きないとき

▶︎【こう考えよう!】全部やろうとするのではなく、やれることからやってみる

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不安に襲われたり、心に余裕がなかったりするときは「すべきこと」を細かく考えにくくなります。全部やろうとすると、途方もないので、「やれることからやってみる」という思考に切り替えると少し前に進めると思います。

たとえば、「この業務まとめシートの全部を作成するのは難しいけれど、一つのカテゴリーだけならできそう」「料理を作るのは難しいけれど、洗濯物を洗濯機に投げ込むことはできる」など。仕事や家事の中でも「これならできそう」というものがあるはず。どんなことなら手をつけられそうか自分と対話して、小さなことでもできることから始めてみるといいと思います。

3. 忙しくてやることが山積み、どこから手を付けていいかわからないとき

▶︎【こう考えよう!】オーバーヒートしないために、人に話して問題から距離を取る

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山積みになっているタスクを前にすると、不安や恐れから「やることだらけで大変だ! こんなにできるわけない!」とネガティブ思考に陥りがちです。どうしよう、どうしよう、と気持ちが焦ってその考えがグルグルと頭を占拠し、こんがらがってしまう。それなのに「休んでいる暇はない」と自分を追い込んで、結果的に自律神経が乱れてオーバーヒートすることがあります。そこまでいくと、眠れなくなるなど身体が危険な状態に。

なので自分で考え込まず、一度誰かに今の状況を話して、問題から距離を取ることをおすすめします。そうすると少し落ち着いて、第三者視点で全体像を認識しやすくなり、手を付けられる道筋が見えてきます。

4. 周りの人がテキパキ動いているのを見て、自分はできていないと焦るとき

▶︎【こう考えよう!】「ロールモデル」として、その人の働き方を検証してみる

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“人は人”という考え方が大前提です。しかし、実際は職場で同僚と比べられたり、自ら比較したりしてしまうもの。なので、物理的にアプローチして、“人は人”という言葉を手帳に書いておいたり、デスクトップに付箋をつけたりして、自分のペースでやるという意識を強く持つことが一つ。

あとは逆に、テキパキ働いている人を「ロールモデル」の対象として捉えてみるのも一つのアイデア。その人の働き方のいいところを研究する、という思考にチェンジしてみるのはどうでしょうか。一歩引いて、自分の心のモヤモヤを検証してみると、圧倒されている状況から「働き方のヒントを探そう」という視点に変えられると思います。

5. 休日になにもできず、寝て過ごしてしまったとき

▶︎【こう考えよう!】「今日は充電する日だったんだ」と肯定する

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ふだんは休日を充実させようとアクティブに過ごしている人が、休みの日にまったくなにもできなかった場合は、自分でも気がつかないほど調子が悪くなっている証拠。僕たちはマシーンではないので、全部想定通りに動けるわけではないし、予定が遂行できないこともあります。なにもできないときは、心身の疲れを身体が察知して、強制的にストップをかけたんだと思います。なので、休日になにもしなかったときは「今日は充電する日だったんだ」と考えてあげてみてください。

スケジュールに「休み」という予定を入れて、強制的に休息時間をつくろう

──五月病に悩む方に、おすすめのセルフケアの方法を教えてください。

まず、スケジュールに「休み」を組み込むこと。「休めるときに休もう」「自分を労ろう」というのは、余裕がないとできないもの。30分〜1時間でもいいので、曜日と時間を決めて、強制的に仕事やタスクを手放す予定を入れてみてください。意識的に副交感神経を優位にする時間をつくりましょう。メールや業務連絡が来るツールからログアウトしてもいいと思います。

ほかには、入浴もいいです。お湯に浸かると血流が良くなって副交感神経が優位になりますし、頑張り続ける状況から強制的に離れられます。散歩や瞑想などもおすすめです。

相談されたときは、「私だったら」と自分を主語にして話してみる

──気持ちが落ち込んでいる周囲の人が気になったときや相談されたとき、どう声をかけたらいいでしょう?

背中を押す方向だと逆効果になる可能性もありますし、かといって無視もしたくない。そういうときは、「私だったら」と主語を自分にして、相手と同じような状況だった場合に取る行動について話してみては。「私だったら休んじゃうかも」などの言葉は、相手へのジャッジメントにはならないので、“ちょうど良い”と思います。