【デリケートゾーンのニオイ】夏に気になるその原因と対策を産婦人科医が解説! よくある悩みQ&Aにも回答

汗やムレ、おりものや生理経血などによって発生し、私たちを悩ませるデリケートゾーンのニオイ。暑い時期にはなおさら気になるのでは? そこで、産婦人科医である白金高輪海老根ウィメンズクリニックの院長・海老根真由美先生に、デリケートゾーンのニオイが発生する仕組みや原因、今日からできる対策・対処法について教えていただいた。

汗やムレ、おりものや生理経血などによって発生し、私たちを悩ませるデリケートゾーンのニオイ。暑い時期にはなおさら気になるのでは? そこで、産婦人科医である白金高輪海老根ウィメンズクリニックの院長・海老根真由美先生に、デリケートゾーンのニオイが発生する仕組みや原因、今日からできる対策・対処法について教えていただいた。

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話を伺ったのは……

海老根真由美先生プロフィール画像
日本産科婦人科学会産婦人科専門医、白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長海老根真由美先生

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターで講師・病棟医長を務めた後、2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。「一人一人のライフスタイルに合わせた、心と身体のトータルケア」をポリシーに、女性のさまざまな症状、悩みに寄り添い続けるとともに、女性の健康管理のリテラシー向上に力を注ぐ。

「白金高輪海老根ウィメンズクリニック」公式サイト

デリケートゾーンのニオイ、その原因は?

「デリケートゾーンには、アポクリン汗腺やエクリン汗腺という分泌腺が集中していて、汗や皮脂が溜まりやすいことから、構造的にニオイが生まれやすい場所なんです」と海老根先生。加えて、下着や生理用品でムレやすいことや、ホルモンバランス、体調の変化なども影響する。

まずはニオイの原因が、「膣の外」と「膣の中」のどちらにあるか、認識することが重要とのことで、それぞれのケースをチェック。

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●「膣の外」に原因がある場合

⚫︎汚れ(恥垢)
デリケートゾーンに溜まる汚れを「恥垢(ちこう)」と呼ぶ。はがれ落ちた皮膚、皮脂、汗、おりものなどが混ざり合って、自然とできるもの。ただし放置すると雑菌のエサとなり、ニオイやかゆみ、炎症の原因に。

⚫︎下着、生理用品によるムレ
デリケートゾーンは前述の通り汗をかきやすい。下着の中でムレたりかぶれたりすることで炎症を起こし、それがニオイの原因になることも。

⚫︎すそワキガ
デリケートゾーンにあるアポクリン汗腺からの分泌物が原因で発生する体臭のこと。アポクリン汗腺から分泌される汗には、脂肪やたんぱく質、アンモニアなどが含まれており、これらが皮膚上の常在菌によって分解されることで、特有の強いニオイを発生させる。またワキガのある人は、陰部にも同じアポクリン汗腺が分布している場合があるため、同様のニオイが生じることも。生理周期や更年期などホルモンバランスの変化や生活習慣によって、ニオイが強まるケースもある。

●「膣の中」に原因がある場合

⚫︎膣炎
膣内は「乳酸桿菌(ラクトバチルス)」という善玉菌が、常在菌として多く保たれた状態が理想的。ところが睡眠不足や疲労、ストレスといった心身への負荷や、性感染症、抗菌薬の使用などをきっかけに膣内細菌叢(膣内フローラ)のバランスが崩れると、「細菌性膣症」や「膣カンジダ症」といった膣炎を起こす場合も。

⚫︎性感染症
ある日突然ニオイがキツくなったという場合には、性感染症の可能性も考えられる。この場合の代表的な病名としては、「淋菌感染症」「クラミジア感染症」「トリコモナス膣炎」などがある。

“あるある”なニオイの悩み。8つのQ&A

デリケートゾーンのニオイにまつわる、さまざまな悩み。多くの人が感じるであろう8つについて、その対処法を海老根先生に聞いた。

Q1. 生理中とおりものが多いとき、どちらもニオイが気になります。どんな対策をしたら良いですか?

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基本は、やさしく汗や経血を洗い流すこと。朝晩行うのが理想的です。膣の中はもともとpH3.8〜4.5程度の弱酸性に保たれていて、常在菌のラクトバチルスが酸をつくることで、大腸菌などの有害な細菌の侵入や増殖を防いでいます。一般的な石けんはアルカリ性なので、それで洗うと膣内の酸性環境が崩れ、守ってくれているラクトバチルスまで弱らせてしまいます。すると雑菌が増えて、かえってニオイが強くなることも。弱酸性の専用ソープを使うこと、そして洗浄後は皮脂や潤いも一緒に落ちるので、保湿剤で補うこともセットで行ってください。

また生理の場合は、日中同じ生理用ナプキンを長時間使用すると、通気性が悪くなり、ニオイの原因につながります。そのため、こまめな交換を心がけましょう。月経カップなどの膣内に入れて経血を受け止めるアイテムは、装着中は経血が空気に触れないため、酸化によるニオイ発生を回避しやすいです。

Q2. 夏は特に、ショーツの中がムレやすく臭いが強く感じられ、不快です。どんな対策ができるでしょう?

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デリケートゾーンは汗をかきやすく、ムレやすいところ。ポリエステルやナイロンは熱や湿気を溜め込みやすいので、それらに起因するニオイを予防するためには、通気性の良いコットン素材がおすすめです。ただし速乾性はあまりないので、汗をかいたらこまめに着替えるだけでもだいぶ違います。

また、デリケートゾーンの皮膚や粘膜は敏感なため、洗剤が刺激になる場合もあります。香料などの少ない洗剤や柔軟剤、敏感肌向けのものを選ぶのもひとつの方法です。

Q3. セックスのときに、相手に「なんか臭う」と思われたくないです。特に直前のタイミングで、どんなケアをしたら安心でしょうか?

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一日過ごしているうちに、デリケートゾーンには、汗や皮脂、尿やおりものなどの成分が付着しています。そのため直前のケアとしては、デリケートゾーン用のソープでやさしく洗うこと。それが難しい場合には、デリケートゾーン用のウェットティッシュ等で拭き取るだけでも、手軽なニオイケアになります。

Q4. セックスをした後、自分のデリケートゾーンのニオイが気になることもあります。どんなケアをしたら良いでしょうか??

男性器にはさまざまな雑菌が付着しているため、性行為によって膣内の細菌バランスが乱れ、ニオイの原因になることがあります。予防のためには、行為の前後にデリケートゾーンの外側をやさしく洗い清潔に保つことがおすすめです。ただし、ゴシゴシ洗ったり、膣の中まで洗浄したりすると、膣内環境を守る善玉菌まで減らしてしまう可能性があるため注意しましょう。

また、性行為のたびにニオイや違和感が生じる場合は、パートナーと自身が持つ細菌のバランスが影響している可能性もあります。一度婦人科を受診し、必要に応じて細菌検査を受けるという方法もあります。

Q5. デリケートゾーンにも垢がたまるという話を聞きました。普通に洗うだけでは取りきれていないということですか? その場合、どう洗うのが良いでしょうか?

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デリケートゾーンにたまる垢は「恥垢(ちこう)」と呼ばれ、はがれ落ちた皮膚や皮脂、汗、おりものなどが混ざり合ってできるものです。誰にでもできる自然なものですが、放置すると雑菌のエサとなり、ニオイや炎症の原因になります。

特に、小陰唇の裏側やクリトリスの包皮まわりは自分では見えにくいので、洗い残しが起きやすい部分です。専用ソープを泡立てて、該当部分を意識しながら指の腹でやさしく洗いましょう。細かい部分には綿棒を使うのもひとつの方法です。ただし洗いすぎは乾燥のもとになるので、注意してください。

Q6. 自分が「すそワキガ」に該当するか、自己判断できる目安やポイントがあれば教えてください。また、病院を選択する場合は何科を受診すれば良いのかも知りたいです。

「すそワキガ」のニオイの特徴として、鉛筆の芯のようなニオイ、ツンとした酸っぱいニオイ、チーズのような発酵臭、玉ねぎのような刺激臭……などと例えられることが多いです。他に、家族にワキガ体質の人がいる、耳垢が湿っている、下着に黄色いシミがつきやすい、清潔にしていてもニオイが気になる、といった点が複数当てはまる場合は可能性が高いといえます。ただし、「急にニオイが変わった」というような場合は、感染症のサインであることが多いので要注意です。ニオイに違和感を感じたときは自己判断せずに、まずは婦人科を受診してください。

Q7. 30代を過ぎてニオイが気になり始めたという人もいます。思春期、妊娠中、更年期など、年齢やホルモンバランスの変化とデリケートゾーンのニオイは連動しますか?

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女性ホルモンのエストロゲンが40代から更年期に向けて減少していくことに伴い、膣の粘膜に蓄えられるグリコーゲンという糖が作られにくくなります。これが分解されてラクトバチルスの栄養源になっているので、グリコーゲンの量が減れば善玉菌自体が減ってしまいます。かわりに大腸菌などの雑菌が増えて、ニオイが強まりやすくなるのです。

そのほか、エストロゲンの分泌が増え始める思春期には、おりものの量が増えたり、汗腺や皮脂腺の働きが活発になり、ニオイが気になりやすくなることも。
妊娠中もエストロゲンの分泌が増え、骨盤内の血流も増加。それによっておりものの量が増え、ニオイが強くなるケースが多いです。感染から身体を守るため、膣内のラクトバチルスが増えて酸性環境が保たれるので、おりものの増加が必ずしも異常のサインではありませんが、気になる場合は婦人科の受診をおすすめします。

また更年期が近づくと、女性ホルモンの減少によって皮膚が乾燥しやすくなるため、かゆみやひりつきといった膣や外陰部のトラブルも起こりやすくなります。洗浄だけでなく保湿を意識したケアをより重視することが大切です。

Q8. ニオイ対策のためには、デリケートゾーンすべて(VIO)の脱毛も効果的でしょうか?

毛にニオイの原因(経血やおりものなど)が付着するのが気になる方にとっては、VIO脱毛は有効な選択肢のひとつです。ただし毛には汗を地肌に留めず拡散する役割もあるので、脱毛することで肌同士が汗で張り付く不快感を抱く場合もあります。どちらが良い悪いという話ではなく、あくまで選択肢のひとつです。自分が心地よいと思えるケアを選ぶのが一番なので、合うかどうか試してみて判断するのが良いでしょう。

ニオイ悩みでの「婦人科受診」では、どんなことをする?

このデリケートゾーンのニオイは放置していても大丈夫なのか、自分で判断するのは難しい。「少しでも異変を感じたら、まずは一度、気軽にクリニックに相談してみて」と、海老根先生はアドバイスする。とはいえ、婦人科受診にハードルを感じる人もいるのでは? そこで、クリニックによって違いはあるけれど、海老根ウィメンズクリニックで行っている診察内容を紹介する。

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①カウンセリング
まずは問診票をもとに、気になっていることを先生に伝えるところからスタート。リラックスした話しやすいムードで、生理周期やおりものの状態、普段のケアや使用アイテムなどについて会話を進める。

②診察
診察台へ移動し、実際にデリケートゾーンの状態をチェック。視診と触診を交えて、コンディションを確認する。

③菌検査
ニオイやかゆみ悩みがある場合は、ラクトバチルスなどの常在菌のバランスに乱れがないか、雑菌が繁殖していないかを検査。実際に体験した際は、膣内を優しく拭い分泌物を採取するだけなので、痛みは感じなかった。結果が分かるのは数日後。

④セルフケア方法のアドバイス
陰唇などの形や状態に合わせて、洗い方のポイントや、ジェルでの保湿の仕方をレクチャー。「小陰唇が小さめなので、性交痛を感じやすいかも。保湿する際に膣口をマッサージするのがおすすめ」などのアドバイスも。海老根先生いわく、泡でやさしくなでるように外陰部を洗い、保湿ジェルは足の付け根や肛門付近まで全体に広くのばすケアを朝晩行うのが理想的だそう。


「日頃からデリケートゾーンのニオイやおりものを確認する習慣をつけておくと、変化に早く気づいて対応できます」と海老根先生。ニオイの感じ方は主観的なもの。さらに自分では気づきにくく、判断が難しい。だからこそ、気になったら気軽にクリニックで相談してみるのが良さそうだ。