バラのにおいがするとか言われたい

というあなたに新作をご紹介。バラの香水というと王道のイメージですよね。ロマンティシズムのど真ん中を行く潮流から進化して、レザーとの邂逅によるクールな解釈、またはグルマンな処方による甘酸っぱい演出など、近年「ひとくせある」モダンなローズが数多く誕生しています。この春もローズ系香水は豊作。今回は「モダンな透明感」にこだわって3作をご紹介。

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ボトルネックのセルペンティは白。磨りガラスとクリアガラスのコンビも美しい。ブルガリ ローズ ゴルデア ブロッサム ディライト オードトワレ ¥14,080(75ml)/ブルガリ パルファン事業部

【清潔感とバラ】アルベルト・モリヤス氏によるブルガリのバラ。バラがなめらかに香る2019年作ローズ ゴルデア ブロッサム ディライト オードパルファムを、また一歩軽やかに解釈したオードトワレがこの春誕生しました。オードパルファムのトップがパパイヤとバイオレットリーフ、ジャスミンだったのに対し、新作はスズランとグレープフルーツがキラキラしながら弾けます。

ストーリーは「バラのつぼみが花開くまで」。だからまるでソープのような清潔感と、伸びしろを感じさせる無垢なローズフローラルの共存をかなえました。ハートノートはバラとピオニーのみずみずしいハーモニー。日常を明るく前向きに祝福するようなローズが香ります。ドライダウンは、ホワイトムスクとシダーウッドで穏やかに。太陽がまばゆく光を注ぐ時間帯の、健康的なセンシュアリティを物語るバラが出来上がりました。

モリヤス氏といえば作風の幅広さには定評がありますが、ごく繊細で揺れ動くフェミニニティの設計も実に見事で、彼のローズ系香水に触れるたび、女性主人公を一人称で描いた太宰治の短編小説を思い出してしまうのです。

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ローズ ダマルフィ オード パルファム スプレィ ¥31,900(50mL)/トム フォード ビューティ

【気取っていないのに、色っぽいバラ】トム フォード氏の邸宅にはバラの庭園があって、大切に手入れをしているそう。そのガーデンで出会ったバラに触発されて、この2月、ローズの3部作が新たにプライベート ブレンドに仲間入りしました。

今回紹介するのは、薄ラベンダー色のジュースが爽やかなローズ ダマルフィ。透明感は抜群なのに、ほどよく肌感があって色っぽい―それがアマルフィのバラです。ジューシーなイタリアンベルガモットとマンダリン、ほろ苦いピンクペッパーがトップノート。続いてローズとヘリオトロープの甘みが押し寄せ、一気にロマンティックなムードに。トム フォードのオリジナルエッセンス「ローズ・オン・ローズ」とのブレンドで、バラの芳香にぐんと上質な厚みが加わります。でも、ダークな雰囲気は一切なく、アマルフィ海岸の何気ない昼下がりを思わせる心地よさがあるんですよ。爽やかだけれど、複雑でほんのりミステリアス。こんなローズを創るなんてさすがトム!と膝を打つはずです。このスプレィの向こう側に、ショートヘアで小麦色の肌の素敵な人が、本を片手に海辺のチェアで昼寝をしているような。そんな情景が心に浮かびます。

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トム フォード プライベート ブレンド コレクションの新作ローズ三部作!
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ラルチザン パフューム メモワール ド ローズ オードパルファム ¥22,550(100mL)<数量限定発売>/ブルーベル・ジャパン

【飾りすぎないバラ】最後にラルチザンの「バラの記憶」。おしゃれです。とてもおしゃれなバラ。むしろローズが苦手、という人におすすめしたい新作です。マンダリン&ベルガモットとローズの出会いはどこまでもフレッシュで、自由。一方でコットンムスクがクールな落ち着きを底支え。ワンプッシュまとえば、ありきたりな属性を忘れさせてくれるようなモダンローズです。シトラスとのブレンドで、花の女王であるバラがゴージャスな夜会服を脱ぎ捨てて、上質なTシャツで目の前に現れた―例えるならそんな感じです。調香師のクリストフ・レイノーはこんなふうに語っています。「私がバラを心から愛しているのは、どんな物語でも描くことができるから」。素敵な言葉ですね。 

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こんなギフトを贈られたら、と想像するだけで胸が高まりますよね…

あなたのなりたいのは、どんなバラ? 新しい季節、なりたい自分を想像しながら新しい香りを選んでみてください。

エディターIGARASHIプロフィール画像
エディターIGARASHI

おしゃれスナップ、モデル連載コラム、美容専門誌などを経て現職。
趣味は相撲観戦、SPURおやつ部員。

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