ロマンティックがとまらない、バターブレンドコーヒーの時間 # 深夜のこっそり話 #1303

ここ最近、所用で定期的に上野方面へ出向いているのですが、その前後においしいものを求めて、界隈をリサーチしています。

さかのぼること数週間前、甘味処をホッピングしたり、パンダスイーツをコレクションしたりするなか、ふと耳にした、「ダンケ珈琲店」の存在。吉祥寺から上野に移転したのはいつだったか。看板メニューの「バターブレンドコーヒー」はいまだ味わえずじまい。これはいい機会だと、足を運ぶことにしました。

「ダンケ珈琲店」があるのは、アメ横の路地裏。“コロナ前”に比べると人通りは少なくなったものの、独特の活気が漂うアメ横の雰囲気から一転、引き戸をひいてお店に入ると、カウンターオンリーのそこは隠れ家というより秘密基地。調度品はどれもデコラティブで、店内に流れるクラシックがよく似合う。何かドラマが生まれそうなムードです。

椅子に座るとカウンター越しの棚にはアンティークのカップ&ソーサーがずらり。店主によると、好みのカップ&ソーサーで飲み物を提供してくれるシステムだそうで、私は、目があった(笑)ウェッジウッドのジャスパーのアンティークのカップ&ソーサーを指名し、念願のバターブレンドコーヒーとともにオーダーしました。

バターブレンドコーヒーとは、珈琲豆を焙煎するときに、最上の乳脂肪であるバターを豆に染みこませる、神戸にある本店「御影ダンケ」のマスターの寺口孝雄さんが考案したオリジナルのブレンド手法です。バターをからませることで、コクと奥深さがうまれ、コーヒーの苦みがマイルドになり、独特の味わいが生まれます。

上野の「ダンケ」の個性といえば、スイーツメニューの充実っぷり。この日は、マスターが、鎌倉にあるチーズケーキの名店の師匠から学んだという、これまた看板メニューのチーズケーキをチョイス。酸味のあるサワークリームまとった、デンマーク産のチーズクリームを使ったコクのあるチーズケーキは、“余計な味がしない”真摯な味わい。おっとり柔和な見た目とは異なり、かなり重厚的。なるほど苦みの強いコーヒーより、バターブレンドコーヒーのまろやかさが、相手役として最適です。

気がつけば、ちょっとしたブレイクのつもりで立ち寄ったのに、スマホをいじることもなく、物思いにふけって長居していました。個人経営の喫茶は、その人の好きがぎゅぎゅっと詰まっていて、その世界観に浸るのが楽しい。クラシック音楽とアンティークの器とおいしいコーヒーとスイーツがかなでる甘美な異空間は、ちょっとした旅気分にも。ロマンティックなひとときを楽しみに、また訪れたいと思います。



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エディターYOSHIMURA

食べること、カラダを動かすこと、旅することが大好物のアクティブ派。その反動か、ワードローブは甘め嗜好。花柄アイテム&ワンピースがクローゼットを占拠しています。

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