癒やし効果絶大! “ラブコメセラピー”の指南書を旅のお供に #深夜のこっそり話 #1525

映画(&ドラマ)鑑賞が日常の一部です。日々、様々な作品をウォッチしていますが、実は、昔からラブコメが苦手でした。そんなある日、長い旅路のお供をKindleで探してこちらの本と出合ったことをきっかけに克服。今では、ハマりにハマっていて、ラブコメを観ることが多忙な日常のなかでの“癒やし”となっています。

『新しい出会いなんて期待できないんだから、誰かの恋観てリハビリするしかない』(ポプラ社)著:ジェーン・スー 高橋芳朗
旅の相棒かつ新しい世界を教えてくれた、『新しい出会いなんて期待できないんだから、誰かの恋観てリハビリするしかない』(ポプラ社)著:ジェーン・スー 高橋芳朗

私に、ラブコメの世界への扉を開いてくれたのは、コラムニストのジェーン・スーさんと音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんの共著『新しい出会いなんて期待できないんだから、誰かの恋観てリハビリするしかない』です。12のテーマごとに選ばれたラブコメ映画34本を、おふたりが独特の視点で語る対談エッセイ集です。

インパクトのある本のタイトルを裏切ることなく、12のテーマもユニーク。「人の数だけ愛のかたちは存在するのよ」、「いくつになっても恋に落ちる気力体力を見習いたい」など、永遠かつリアルな題材に興味津々。で、早速、iPad mini にダウンロード。目次を一通り見て、ラブコメビギナーである私は、第5章「やっぱり観ておきたい! 永年愛され続ける王道作品」のなかで、「普遍的なテーマ“男女の間に友情は成立するのか”について」という括りで取り上げられていた『恋人たちの予感』についてのレビューが気になり、読み始めました。

ラジオパーソナリティとしても活躍される、ジェーンさんと高橋さん。おふたりの対談は、まるで“読むラジオ”といいますか、心地よいリズムですっと頭にはいってくる。作品の持つムードや立ち位置を、それぞれ独特の表現で言語化してくれるので、とにかくわかりやすいのがツボ。作品へのリスペクトと愛が、面白おかしく、そして優しく伝わってきます。ですので、レビューを読み終えてすぐに、上述の『恋人たちの予感』をオンデマンド視聴してしまいました。そして、また本に戻りおさらい。何なら、レビューサイトでみんなのあーでもないこーでもないといった感想もチェック。ひとつの作品を深掘りするその一連の流れがとても楽しくて、4時間弱あった移動時間もあっという間に過ぎていきます。

ラブコメ映画の“ゲームチェンジャー”、ラブコメ史上最強のサウンドトラックとして、高橋さんも太鼓判を押す『恋人たちの予感』。男女の関係を友情・愛情で線引きすることについてのひとつの回答を示してくれます。ラブコメの女王、メグ・ライアンが着こなす80年代ファッションも見所。photo: Photofest/アフロ
ラブコメ映画の“ゲームチェンジャー”、ラブコメ史上最強のサウンドトラックとして、高橋さんも太鼓判を押す『恋人たちの予感』。男女の関係を友情・愛情で線引きすることについてのひとつの回答を示してくれます。ラブコメの女王、メグ・ライアンが着こなす80年代ファッションも見所。photo: Photofest/アフロ

「ラブコメ映画には、観ている人の心を世知辛い現実から引き離し、束の間でも幸せにする効果があります。それが大義名分と言ってもいいくらい」と、ジェーンさん。古くは『水戸黄門』もそうですが(笑)、起承転結がはっきりしているからこそ安心してみられる、人間ドラマ。舞台が煌びやかなマンハッタンだろうがどこだろうが、繰り広げられるのは、人を愛する楽しさ、喜び、ときに滑稽さやはがゆさ。人と人が出会い惹かれあったりすれ違ったりするだけなのに、人生はこんなにドラマティックなんだ!と、癒やされモードに。

ラブコメ全盛期の頃、私はまだ若くスノッブさにより物事を斜めに見てしまいがちだったので馴染めなかったのかもしれません。大人になるにつれいろんな恋を知って、よけいなあれこれが取っ払われた今、どんな主人公にも共感してしまう(笑)。必死に恋愛する、彼・彼女らに寄り添って、笑って泣いてドキドキすることで自分を振り返ることを、“ラブコメセラピー”として楽しむことができています。

今後はジェンダーレスの流れから、また新しいラブコメカルチャーが現れるかもしれません。新時代における名作の誕生を待ちつつ、こちらで紹介されている名作34作品のコンプリート鑑賞を狙います!

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エディターYOSHIMURA

食べること、カラダを動かすこと、旅することが大好物のアクティブ派。その反動か、ワードローブは甘め嗜好。花柄アイテム&ワンピースがクローゼットを占拠しています。

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