今回韓ドラナビゲーターが選んだのは、“今、心からお勧めしたい韓国ドラマ４作品”！ ジャンルを問わず、ただ単純に「面白い！」と思った基準から熱量満タンにリコメンド。韓国最高の名門ロースクールを舞台に、前代未聞の殺人事件の真相を暴いていくキャンパスミステリードラマ『ロースクール』や、日本ではあまり馴染みのない“産後ケアセンター”を舞台に、出産と育児、そして女性の人生を壮大に、面白く、感動的に描いた『産後ケアセンター（原題）』など。沼視聴必至のドラマを要チェック！
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班／エディターK
母の影響により第1次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界にどっぷり浸かり、気付けば韓流ドラマ歴18年。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。永遠の推しは俳優ソン・ジュンギ。若手女優&俳優の発掘が趣味の領域に。
ロースクール／2021年上半期韓ドラでNo.1！
韓国の法廷ミステリーはやっぱりめちゃくちゃ面白い。で、秀作目白押しの作品のなかでも、これはトップクラス。舞台となるのは、韓国一の名門ロースクール。模擬裁判の授業中に教授が死亡する事件が発生し、同じロースクールの教授ヤン・ジョンフン（キム・ミョンミン）が殺害容疑で逮捕されるところから物語がスタートします。
ドラマは、その教授と教え子たちが事件の真相に迫っていくという内容なのですが、これらの人物の描き出し方が実に巧妙かつ魅力的で、それが他のミステリーとはまた違った面白さを紡ぎ出している大きなポイント。ジョンフン教授はその授業の厳しさで生徒からも恐れられている存在で、教え子たちは人には言えない事情をそれぞれに抱えている身。なおかつ、あちこちに仕組まれたさまざまな伏線と、過去と現在を複雑に交錯させる演出で、ドラマ序盤は、あいつもこいつも怪しい！と観るほどに翻弄されていくという構成。そして、ひとつずつ明らかにされていく事実。法は必ずしも正義ではないという現実。法とは、正義とは、そして、人間としてあるべき姿とは。法曹界を目指す未来のエリートたちはどう動くのか、どう思うのか。大団円に向かってすべての伏線がパズルのごとく次々と組み合わされていく展開が圧巻かつ爽快。
私的には2021年上半期に観た韓流ドラマのなかでもNo.1。あの超大ヒット作『ヴィンチェンツォ』超えといっても過言ではありません。（さすらいのライター山崎）
産後ケアセンター（原題）／私たちの人生の主人公って誰？
韓国では出産した母子の７割以上が入る産後ケアセンター。そこで巻き起こるワーママVS専業主婦、完全母乳VSミルクの子育て論争をかなりリアルに、ブハッと笑える視点を交えて描いています。絶妙な「ギャグと真面目」のバランスの虜になり、すでに鑑賞３周目（笑）。
女性初の最年少常務に昇進した41歳のオ・ヒョンジンは、なんと自然妊娠は厳しいと言われていながら就任日に妊娠が発覚！ 嬉しい気持ちと、仕事への思いの狭間で悶々とした日々を過ごします。その葛藤も切ないものの、三途の川（妄想）で死神を船から落としたり、破水する寸前まで（しかも自走）商談に赴いたり、とにかくパワフルな姿が面白くて愛らしくて、元気をもらえる！ 仕事で忙しいヒョンジンに代わり、せっせとマタニティ体操を習いに行く夫キム・ドユンの姿も最高に可愛いです。癒し度1000%。
ただ、今まで仕事にすべての情熱を捧げてきたヒョンジンにとって、産後ケアセンターはまるで別世界。会話の主語は全て「子供」。必死に話を合わせようにも、胎教はゾンビ映画のBGM、ベビーシャワーはB級グルメ系の居酒屋、何より母としての知識ゼロ。追い討ちをかけ続けられるヒョンジンに、妙に親近感が……。今まで何の躊躇もなくできていたこと、当たり前にあった居場所、自分だけの自由が消えてしまった感覚。結婚、妊娠、出産、そして人生とは？ 面白さの中に深く深く考えさせられるポイントが潜んでいて、本気で笑えて泣ける感覚が心地よい。出産経験があってもなくてもどっぷりハマれるドラマです。（エディターK）
ドラマスペシャル＜KBS＞／ネクストブレイク俳優の宝庫！
１話完結のオムニバス形式で描かれる全８作品の短編ドラマ集。新進気鋭の制作陣とネクストブレイク俳優を組み合わせたケミが新鮮で、あふれ出るフレッシュな才気とエネルギーを、若手らしからぬ抑制効かせた表現で程よく抑えながら、じんじんと感動させるクオリティの高さ。
どれも捨てがたい味わいある作品ですが、私的ベストは以下の３つ。第１話『僕らが季節なら』は、今ではトップ俳優のチャン・ドンユン、チェ・スビン、ジニョン（B1A4）主演の初恋もので、幼なじみ→大人になる→変わりゆく関係……と、繊細に揺れ動く高校生の心情を丁寧に映し出した作品。喉の奥がくーっと締め付けられるほろ苦さと切なさが余韻となって後を引きます。続くは第４話『チョン・マダムの最後の１週間』。7年間身を潜めて暮らしている逃亡犯チョン・マダム。時効まであと１週間と迫ったところで、義父に虐待を受ける少女と出会ったことから物語が展開。名アジュマ（おばさん）女優ラ・ミランと名子役シン・リナの演技が絶品。大いに笑わせ、そして泣かせてくれます。
最後は第８話『丸刈りの恋愛』。脳腫瘍が再発したヒロインとひも男の“不治の病”系恋愛ものですが、単なるお涙頂戴に陥らないセンスが秀逸。特に、ひも男演じるキム・ジョンヒョン（『愛の不時着』）のダメダメ男子なのに憎めないキャラっぷりが素晴らしく。ラストは不治の病系なのに爽やかな心地よさまで。その展開、本当に上手いぞ。（さすらいのライター山崎）
ゴー・バック夫婦／“幸せになったその後”のリアルな生活
本作は、大学卒業後に結婚したマ・ジンジュと、夫チェ・バンドが、離婚を決めた翌日に18年前の青春真っ盛りだった20歳にタイムスリップしてしまうお話。
希望溢れる未来を夢見て結婚したふたり。ところが、現実はソースの付いたヨレヨレのTシャツ&スウェットという部屋着姿でベビーカーを押すジンジュ。パワハラ&モラハラ炸裂の上司や、いわゆるお得意様のご機嫌を取りながら家族のために一生懸命働くバンド。なんで側にいる人の優しさほど、日常というベールに包まれて見えなくなってしまうのでしょう……。どちらが悪いわけでもないのに、互いへのストレスが日に日に蓄積。いつからか本音をぶつけられなくなり、心の中のしこりが巨大化したその時。運悪くバンドの浮気（勘違い）を知ったジンジュが泣き崩れ、喧嘩別れのようにあれよあれよと離婚が成立→青春時代へリターン。
最初こそ互いに出会わない最高の人生をリスタートさせると元夫婦は大はしゃぎ。ただふと気付きます。この世界には愛息子のソジンだけがいないことを……。忘れていた記憶のピースを辿りながらもう一度人生と向き合っていくのですが、その過程が笑えて泣けて共感できる！ そして本作はオンマ（母）との絆の物語でもあり、終盤は母の愛に号泣リフレイン。さらに「ウソと偽りの間に真の気持ちがある」など、各話のタイトルにも注目必至です。夫婦のことを“戦友”と示している最終話にもグッときます。定番のタイムスリップ系かと思っていると（私のように）痛い目に遭うかも。（エディターK）
