上半期は『ヴィンチェンツォ』、下半期は『イカゲーム』、そして今まさに話題沸騰中の『地獄が呼んでいる』などのNetflix配信作品を筆頭に、世界中で韓国ドラマ旋風が巻き起こった2021年。本記事では韓ドラ班が年末年始スペシャルとして（選びきれず泣く泣く）選んだ、今観るべき全力リコメンドの良作韓国ドラマをピックアップ！
そこで今回はスペシャル企画として、ホリデーや年末年始がとびきり楽しい時間になる、沼落ち必須の韓国ドラマと、“おいしいお酒”の「うち飲み向上員会」のコラボレーションも実施！ 韓国ドラマに欠かせない「ソジュ・メクチュ・マッコリ」や、ドラマ内のお酒にまつわるエピソードを語っているので、そちらもお見逃しなく。あなたのベスト・オブ・韓国ドラマと、ベスト・オブ・酒に出合えます。本記事で紹介する韓国ドラマも2021年のベスト作品をピックアップしているので、この時期にまだ見てないものは今すぐに、そして再びチェックして！
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【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班／エディターK
母の影響により第1次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界にどっぷり浸かり、気付けば韓流ドラマ歴18年。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。永遠の推しは俳優ソン・ジュンギ。若手女優&俳優の発掘が趣味の領域に。
哲仁王后／従来にないコメディ&シリアスを取り入れた時代劇
時代劇はお好きですか？ 韓流ドラマは好きでも、時代劇はあまり……という人が私のまわりにも結構いるのですが、そんな人にもぜひ見てほしいのが本作。とにかく抱腹絶倒！ しかもキュンキュンもじ〜んも詰まっている、最初から最後までのめり込んで楽しめちゃうコメディ時代劇の大傑作。
物語の舞台となるのは朝鮮王朝第25代王哲宗の時代。ご存じの方も多いとは思いますが、韓流時代劇は実在の人物を登場させつつも、巧みかつ大胆なアレンジメントを加えているものが多く（韓国では「フュージョン時代劇」と呼ばれている）、で、この作品も例外なく、始まりからしてフュージョン。現代の女好き（ここ、ドラマのポイントです！）オレさまキャラの青瓦台シェフ（チェ・ジニョク）が、ライバルの策略にはまりプールへと転落。気づいてみたら、自分の魂が哲宗（キム・ジョンヒョン）の妃となるキム・ソヨン（シン・ヘソン）の身体に入っていた！という展開。歴史の解釈として、哲宗王時代は外戚（王妃の血縁）である権力者の安東キム氏一族が政権を独占、それゆえに、権力の腐敗が蔓延しており、在位中を通し一族に実権を奪われていた哲宗は歴史上何もできなかった王とされています。
で、ドラマでは、政務中もエロ本ばかり読んでいるという歴史通りのダメ王ぶりを装いながら、実は腐敗政治を改革しようと暗躍しているという設定。その王妃となるソヨンは安東キム氏一族の出。それゆえ哲宗にとってソヨンは形だけの王妃で、心を通わせているのは側室のファジンなのですが、ソヨンは実は幼い頃から哲宗に想いを寄せているという。そんな状況で、女好きオレさまシェフの魂が混入しちゃうわけだから、周囲も時代も混乱しないわけはなく。で、素晴らしすぎるのが、ソヨンを演じるシン・ヘソンのオレオレ男の入った王妃っぷり。恋敵のファジンに仲良く迫ったり（シェフの好みなタイプ）、女官に囲まれウハウハしたり、かと思うと哲宗にはタメ口でぞんざいな態度。さらに、もともとのソヨンの魂が少しずつ目覚めてミックスしてくるため、お話もロマンスもぐんぐんと複雑に。さてさて、ソヨンの哲宗への想いはどうなるのか。そして、哲宗の想いと改革に向かう孤高なる野望は？ 何度も何度も爆笑しながら、見始めたら結末までノンストップ確実です。（さすらいのライター山崎）
五月の青春／タイトルの意味を何度も問うて泣く
1980年「５・18民主化運動」の時代を描いた本作。当時の韓国全羅南道の道庁所在地・光州市で起こった大規模な反政府運動に対し、軍の武力鎮圧によって多くの死傷者と行方不明者を出した事件が物語の核に。日本で生まれ育った私には到底知り得ない現実が描かれていて、簡易な言葉で表せるような作品ではありません。けれど本作は間違いなく、何年経っても色褪せることのない名作韓国ドラマであると感じています。これほどタイトルの『五月の青春』という言葉の意味を何度も何度も痛感し、その重みが心に突き刺さるドラマは初めてでした。
とある理由から故郷の光州に帰省したソウル大学医学部主席入学者のヒテ（イ・ドヒョン）が、留学の夢を抱く救急室看護師のミョンヒ（コ・ミンシ）と出会い、物語は大きく動いていきます。光州を牛耳る資産家の一人娘という一面と、秘密裏に労働運動と民主化運動を先陣する学生という一面を持つスリョンや、ミョンヒに密かに心を寄せるスリョンの兄で実業家のスチャンなど、登場人物全員が心に傷を抱えながら、時代や現実と必死に戦っている。ヒテとミョンヒのロマンスに一瞬心がほぐれたかと思いきや、それは迫り来る嵐の前の一瞬の安らぎにしかすぎず、その事実がまた苦しい……。
本作は“家族”が大きな軸になっており、ミョンヒアボジの「風除けみたいな人生––」の言葉は頭の中でずっとリフレインしています。ネタバレになるので深く書けませんが、ミョンヒの祈祷文も涙なしでは聞けず……そして、かけっこと家族が大好きなミョンヒの弟ミョンス。きっとミョンスはこの先、誰よりも深い苦しみと悲しみのなかで生きなければならないんだろうと思うと、この文を書いている今でも涙が頬を伝います。ヒテもミョンヒも、スリョンもスチャンも、みんな苦しんでいて、決して忘れることのない５月と背中合わせで必死に生きているという事実が、心をえぐるように突き刺さるんです。特に最終回はエンドレス号泣。
ヒテの「〜しなければ」の後悔の念や、「生死を決めるのは人間じゃない」の言葉。生涯忘れることはないであろう名言と、実力者たちの演技に魅せられて、こんな名作に出会えたことへの感謝の気持ちでいっぱいです。毎年５月にこの作品を思い出し、そして見返してはまた涙することと思います。（エディターK）
マイネーム: 偽りと復讐／目に見えているものは偽りか、真実か？
2021年はNetflixの年でしたね。話題の韓国ドラマを全世界でほぼリアルタイムで観ることができるのはもちろん、その莫大な資金力を投入してドラマの制作まで関わってしまうという。以前ご紹介した『D.P.-脱走兵追跡官-』（私的‘21年ベスト５入）もそうですが、潤沢な資金と、かなりハードな表現でも果敢に挑戦できる配信スタイルのおかげか、内容も映像もぐんと奥深く、映画を超えるクオリティの高いドラマも続々。で、もちろん本作もそのひとつ。
主人公となるのは、韓国最大の麻薬犯罪組織の幹部構成員を父に持つユン・ジウ（ハン・ソヒ）。唯一の肉親である愛する父を目の前で殺されたことから、ジウの凄まじく狂おしい復讐劇が展開されるという韓国ノワールものです。で、このジウを演じるハン・ソヒです。人気作『わかっていても』でソン・ガン演じるナップンノム（恋愛の美味しいところだけ楽しみたい悪い奴）との関係に思い悩む美大生ナビ役が記憶に新しいところですが、あの綺麗で明るい普通の女子大生が一転、粗野な荒くれ組員野郎たちを一人でボコボコにしちゃうというハードな役どころ。一見か弱きビジュアルながら、復讐のために身体をいじめ抜いて鍛え上げ、自らもナイフでグサグサ刺されながらも、身を挺して闘う凄まじいアクションシーンがかなりリアルで生々しく。で、ドラマは、ジウが復讐のため父の親友だった組織の会長ムジン（パク・ヒスン）の配下となり、彼を後ろ盾に麻薬捜査官として警察に潜入、アンダーカバーとしてムジンに捜査の情報を流しながら、犯人を探していくというストーリー。
ドラマのキーとなるのは、ジウと彼女を見守るムジンの関係性。それに加えて、もうひとつぜひ注目してほしいのが、麻薬捜査官でバディを組むことになる同僚の刑事ピルトの存在。実はピルト役を演じるのは『梨泰院クラス』のチャンガグループ長男のクズ野郎役だったあのアン・ボヒョンなのですが、こちらも本作では一転、復讐しか頭にないジウに、人の温もりを伝える人間味あふれるキャラクター。組織の頂点にあるムジンとは対極とも言える存在なところがミソでして。その彼の登場がジウの復讐劇をどう揺さぶるのか。激動のラスト回は胸をグサグサ刺されるような狂おしさ。ぜひお見逃しなく。（さすらいのライター山崎）
賢い医師生活／全キャラクターに感情移入してしまう不朽の名作
さすらいのライター山崎もこちらで書いておりますが、１話でハマらなくとも３話まで見進めたらきっと、いや絶対沼落ちするはず……。それほど全身全霊をかけて薦めたい作品なのです。私は『恋のスケッチ〜応答せよ1988〜』で心を射抜かれたシン・ウォンホ監督に絶大な信頼を寄せているのですが、本当に日々の生活に疲れ切った心がふわっと温かくなると言いますか、登場人物たちの言動に笑って、泣いて、癒されます。観ていると明日への活力が湧いてくるような、そんなヒーリングパワー抜群の良作です（この癒し感は『海街チャチャチャ』と近しいものがあります）。なんとしてもシーズン３を放送して欲しい。
（勝手な）推測ですが、“司法とは何か”を訴える復讐をテーマにした本格アクション&サスペンス『ヴィンチェンツォ』や、悪人が次から次へと出現するこれまで観たことがないほど過激な愛憎劇『ペントハウス』（どちらも私的2021ベスト韓ドラ５にノミネート）に比べると、派手なシーンがないぶん、確かに１話からどっぷり浸かれるか？と聞かれたら否かもしれません。けれど３話まで観ると、不思議と自分も物語の一員になっていて、登場人物に面白いほど感情移入できちゃうのが、本作にしかない強み&旨みだと思っている次第です。
99ズ（主要キャラ５人のグループ名）をメインに、それぞれの仕事、恋愛模様、人生そのものを、まるで身内のような感覚で観てしまうのです。周囲の『賢い〜』ペンに聞いても同じような回答が返ってきます。繊細な脚本の力と演者の圧倒的な演技力で、まるでサバイバルオーディション番組やリアリティ番組かのように、物語を“自分ごと化”できてしまう。
生と死が常に共存するユルジェ病院が物語の軸となっているのでお察しの通り、どうしようもなく泣けるシーンも……。ただ、それだけじゃない。人々の日常を丁寧に描いているからこそ、全員幸せになって欲しいと願ってしまう。好きすぎて「知り合いか？」レベルで、キャラ一人一人の性格や好きなところを一晩中述べられる自信ありありです。それくらい、全員愛しく思える。そんな作品です。何年経っても色褪せない不朽の名作だと思いますので、未視聴の方は今すぐでなくとも、気が向いた時にぜひハンカチとともに。（エディターK）
まだまだあります！ 韓ドラ班が（必死の思いで）セレクト。2021年激オシ韓ドラ！
これまでに韓ドラ班がご紹介したドラマに加えて、本記事でご紹介した『哲仁王后』『五月の青春』『マイネーム: 偽りと復讐』など、徹夜覚悟で一気見したい2021年良作韓国ドラマ10選のなかから、とっておきの１作品をぜひ見つけてみて！
年末年始必見！ ベスト・オブ・韓国ドラマ2021発表！！
【さすらいのライター山崎が選んだ５選】
大人気の韓国ドラマを観ながら飲みたいお酒BEST６！ あの韓ドラに出てくるお酒も登場!!【うち飲み向上委員会vol.9】はこちらから＞
photography:Ayumu Yoshida, Kotoko Suzuki styling:Mayu Yauchi
